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【ミュージカル講座 14】ザ・ラスト・ファイブ・イヤーズ

さて、今回はオフ・ブロードウェイミュージカルの傑作を題材にしますよー🎶


ザ・ラスト・ファイブ・イヤーズ
The Last 5 Years


作曲/作詞/脚本:ジェイソン・ロバート・ブラウン
演出:デイジー・プリンス (オフBW初演)


世界中で数多く上演され、2014年には映画化もされるほど絶大な人気を誇る本作✨


早速解説していきましょう!!



あらすじ

登場人物は2人のみ。新人作家のジェイミーと女優として成功を夢見るキャシー。
ジェイミーは若干23歳にして自分の書いた本が出版社の目にとまり、作家としてのキャリアを築き始める。一方、キャシーはオーディションに落ち続け、中々自分の思い描いた人生を進めない。彼女はジェイミーの成功を隣で見続け、自分の将来に対して不安や焦りを感じ始める。キャシーが引け目を感じていることを知ったジェイミーは、彼女を心から愛し、一生隣で応援し続けるとプロポーズをし、晴れて2人は夫婦になる。しかし、幸せな日々は長くは続かず、すれ違いが多くなってくる。物理的にも精神的にも距離が離れてしまった2人は、やがてそれぞれの道を歩むこととなる…。




作品概要

初演は2001年。
はじめにシカゴで上演され、その翌年にオフ・ブロードウェイで幕が上がりました🎭

ストーリーとしてはありがちな内容に思えるのですが、本作の優れている点は、登場人物2人の時間軸が逆になっているというトリックにあります‼️

つまり、ジェイミーは2人の出会いから別れを振り返る目線で物語が進んでいくのですが、キャシーは2人の別れから出会いを振り返る逆の目線で作られているのです😲

2人は作中で一度だけ時間軸が交わるのですが、それ以外では基本的に各々の世界で空想の相手に話しかけます。

作品の構造上でも登場人物たちのすれ違いを表現している、というわけですね👏


ちなみに、
オフ・ブロードウェイミュージカルとは、マンハッタンの40~54丁目、6~8番街の中に位置する100~499席の中劇場で上演されたミュージカルのこと。
500席以上の大劇場で上演されるとオン・ブロードウェイ、99席以下の小劇場で上演されるとオフオフ・ブロードウェイと呼ばれる。




魅力

本作の魅力はやはり、作曲ジェイソン・ロバート・ブラウンによる素晴らしい楽曲の数々🎤🎶

彼は21世紀になってから頭角を現し始めた天才作曲家👏

その音楽スタイルはロックやポップスを基調とし、リズミカルでダイナミックな曲が印象的ですね🎼

そして実はこのミュージカル、シアターファンの中では、ブラウン自身の自伝を描いたミュージカルなんじゃないかと考えられています🤔

本人は「個人的な内容を反映させた作品じゃない」と反論しているのですが、シカゴでの初演時、ブラウンの元妻テレサ・オニールは「作品の内容が実際の彼らの関係に類似している」として訴訟を起こし、ブラウンは作品の一部を変更することになったのです😅

さらに、ジェイミーの最後のソロ曲「I could never rescue you」(直訳:あなたを救うことができなかった) のメロディは本作のオープニングとエンディング、さらに2人の時間が重なるプロポーズの時にも使われ、本作のメインモチーフとなっています。

つまりこの作品って、ジェイミーからの目線で描かれた作品だとも解釈できますよね?

これはブラウンが自分の姿をジェイミーに反映させて書いたから、だとも考えられます🤔


まあ真相は何にせよ、多くの人に共感される素晴らしい内容・楽曲だと言うことは間違いありませんね😁✨




記録・受賞歴

2002年のドラマデスク賞 (オフ・ブロードウェイ作品で受けれる最も権威ある賞) にて、6部門ノミネート、そのうち楽曲賞と作詞賞を受賞しています✨

今までに上演された国はおよそ20カ国以上‼️(※個人調べ)

日本でもシーエイティプロデュース製作の下、2005年に初演され、07年、10年、21年と再演を重ねている大人気作品ですね👏😆


現在、Broadway HDにてロンドンプロダクションの本作が視聴できます👍


僕も見ましたが、すごくおもしろい演出をされているので、ぜひチェックしてみてください🧒🏻🎹👩🏻



では、今回はこの辺で💨

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