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【ミュージカル講座 13】ディア・エヴァン・ハンセン

今回は現代に生きる多くの人が共感するミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」を題材にします!



ディア・エヴァン・ハンセン
Dear Evan Hansen



作曲・作詞:ベンジ・パセク、ジャスティン・ポール
脚本:スティーブン・レヴェンソン
演出:マイケル・グリーフ
振付:ダニー・メフォード



SNS時代の孤独を描いた、現代ミュージカルの真骨頂‼️

主役のエヴァンは高校生ですが、若い人のみならず、スマホが普及した現代の多くの世代が共感する内容だと思います。

アメリカではミュージカルの認識は「ショー」のカテゴリーになるのですが、本作はどちらかと言うとしっかりとした「演劇」という印象を僕は受けましたね🤔




あらすじ

母子家庭で育った高校生のエヴァンはいわゆる「コミュ障」で、セラピストから「ペップトーク」という自分で自分宛ての手紙を書くよう言われていた。この手紙が後に大きな誤解を生んでしまう。
夏休みにパークレンジャーをしていたエヴァンは、木から落下し腕を骨折してしまっていた。しかし、友達のいない彼はそのギプスに誰からもサインをもらえないでいた。(アメリカでは早く完治するよう祈りを込めて友人たちはギプスにサインをする) そんなある時、クラスメイトであるコナー・マーフィーが自殺をしてしまい、その原因を知るため、コナーの両親がエヴァンに会いに来る。二人は友達ではなかったのだが、コナーの着ていた服からエヴァンが自分宛てに書いた手紙が発見され、さらに生前、コナーがほとんど無理矢理エヴァンのギプスにサインをしていたことから、彼の両親は二人が親友だったと勘違いしてしまう。錯乱するコナーの母親を前に、エヴァンは「彼とは親友だった」という“フリ”をしてしまい、彼の存在が忘れ去られないように「コナープロジェクト」を発足する。その時のエヴァンのスピーチが人々の胸を打ち、SNSによって拡散され、学校でも一躍有名人となり、密かに想いを寄せていたコナーの妹、ゾーイ・マーフィーとも急接近することになる。

しかし、そんな日々は長くは続かなかった。エヴァンはゾーイとの関係に没頭するあまり、プロジェクトを蔑ろにしてしまい、共にプロジェクトを運営する仲間から「果たして、本当に二人は親友だったのか?」という疑いが生じてしまう。必死に反論するエヴァンは、コナーが自殺した際に持っていたエヴァンが自分で書いた手紙を持ち出し、「これが彼の遺書だ」と言ってしまう。それがSNSで拡散されてしまい、コナー両親に誹謗中傷が集まり、マーフィー家で大口論となってしまう。エヴァンは耐えきれず、全て嘘だったと自白。ショックを受けたマーフィー家は何も言わず、その場を立ち去る…。




作品概要

初演は2016年。
同年3月にオフ・ブロードウェイで先に上演されると瞬く間に大好評となり、5月に一度クローズをし、12月にはオン・ブロードウェイで開幕を成し遂げるという超大人気作品✨✨

作曲・作詞のパセク&ポールは最近ブロードウェイ界を賑わす新進気鋭のコンビ🎶

「ラ・ラ・ランド」や「グレイテスト・ショーマン」のヒットで一気にその名が世界中に知れ渡りましたね👍 

彼らは大学生の時に知り合い、本作のアイデアもその頃から練っていたそうです😲

ストーリーは、原作のない完全オリジナル作品となっており、パセクが高校生時代に実際に経験した「同級生の死」と、9.11テロの時に「SNSで情報がリアルタイムで得られた」ことからインスパイアされ、本作の基本的なプロットが誕生しました👏

そこから、テレビ作家のレヴェソンと組み、彼らの頭文字を取った「PPLプロジェクト」を発足💪

約5年もの制作期間を経て、オン・ブロードウェイでの上演にこぎつけました💨

レヴェンソンは本作が初めてのミュージカル制作だったため、アイデアを話し終わった後、まずは普通のストレート芝居として脚本を書き上げ、そこからパセク&ポールが歌になりそうな箇所を曲にしていく、というプロセスだったそうですよ💡

だから、たぶん冒頭でも書いた通り、ミュージカルというよりは「演劇」の要素が強いのかもしれませんね🤔 



魅力

今はもう降板していますが、主人公エヴァン役のオリジナルキャスト、ベン・プラットの演技力が一躍注目の的となりました☝️ 

2015年のワークショップから2016年のオフブロードウェイ公演、そしてオンブロードウェイ初演まで一貫してエヴァンを演じ続けていたこともあり、もうベンは本当にエヴァンにしか見えないほど、役を自分のものとしていました‼️‼️

NYタイムズ紙や批評家たちからも高い評価を受け、トニー賞ではミュージカル主演男優賞も受賞しています👍

テレビのインタビューでベンは、エヴァンが歌う「Words fail」の中で、嗚咽しながらも歌うその迫真の演技は “意図的に技術で表している” と答えています。

曲の魅力を損なわないように、感情とメロディーの絶妙なバランスを保ちながら、「この部分で鼻水をすする」や「泣きながら歌うことで響きが良くなるからここで効果的に使う」など、かなり緻密に計算して演じていたそうな…‼️🙄

そして今年の11月にはそのベン・プラットがエヴァンを演じる映画版が公開されますね😆✨


ミュージカルではよく、「喋るように歌う」ことが理想的だとされていますが、彼はそれを完全に体現することができるミュージカル俳優の一人。

彼の歌&演技には要注目です‼️‼️




記録・受賞歴

2017年のトニー賞では9部門ノミネート、作品賞を含む6部門で受賞をしています✨

さらにグラミー賞ミュージカルシアターアルバム賞も受賞し、イギリスのローレンス・オリヴィエ賞も受賞しています👏😆

日本での公演はありませんが(アマチュア公演を除く)、いつか必ず上演されると思ってます😁


今はもう降板しているかもしれませんが、ブロードウェイではエヴァン役を本当の16歳の俳優が演じ、「あまりにリアルすぎる」と話題にもなりましたね😅笑

NYに行ったらぜひ観劇してほしいおすすめミュージカルです!


では、今回はこの辺で〜

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