HAIIRO DE ROSSI / The Time Has Come
2021年発売。
ビートメイカーにOlive Oil、Pigeondust、1Co.INR、beefy808。
客演に椿、DARTHREIDER、壱タカシ、ハシシ、massiroを迎えた作品。
前作「HAIIRO DE ROSSI」というセルフタイトルのアルバムも抜群の内容でしたが、今回も本人が語っている通り傑作です。
元からレコード化されることを前提とした曲数や曲のテイストが、早くLPで聴きたいと想像を膨らませてきます。
1曲目の始まりは、完全にJAZZのレコードに針を落とした時そのもの。
Time has come
芸術は生きる為に必要
ラップはこんなリリックから始まりますが、この言葉こそ彼が今作で改めて世に伝えたいことなのではないでしょうか。
2曲目も1曲目に続きOlive Oilのビートですが、こちらもなんともビートのイカれ具合が絶妙です。
いつも思うのは、HAIIRO DE ROSSIはJAZZエッセンスのあるビートを完全に自分のものに出来てしまうなあということ。所謂ジャジーなビートはいまもよく出てきますが、それでもここまでビートとラップが一体化するのは彼の他にはなかなかいません。本当に多くのJAZZを聴いてきた人間しか成しえない業です。
3曲目の椿との曲もタイトル通りゴスペル感のあるビートの上でお互いの繊細で強いリリックが映えています。相性めちゃくちゃ良いのでは。
4曲目はDARTHREIDERのラップの強度に惹かれました。フックがめちゃくちゃ気持ち良い。
5曲目は先行カットされていた曲ですが、アルバムの中で聴くとまた一段とよく聴こえます。
6曲目はゲストに電波少女からハシシとFinal Weapon Companyからmassiroを迎えた一曲。私はこの曲を一番聴いています。イントロも格好いい。Pigeondust特有のざらついたビートの上でバースやフックを含め全員のバランスが非常に良く、リリックも胸を打ちます。
7曲目は彼の温かさが滲み出た曲です。
この曲のリリックでとても印象的だったのは、
映画を観てた
君はコーヒーを淹れてた
平和に見えた
これが続けばと思えた
映画を観てた
君はコーヒーを淹れてた
平和に見えた
これが続けばと思えた
というラインです。
同じラインを2回繰り返すのは彼のラップの手法で時たま使われますが、そのどれもが素敵な言葉で紡がれていて、思わずハッとさせられることが多いです。今回もそうでした。
8曲目はアウトロ的な意味合いを含んでいるインスト曲。この曲の意図するところをずっと考えていますが、いまいち自分の考えをまとめ切れずにいます。ただ単純に、アルバムの最後の締めとしてとても良い曲だと思います。
とても良作で何度も繰り返し聴きたくなるようなアルバムでした。
早くレコードの音質で聴きたいです。