新・オーディオ入門36 オーディオラック
『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎について初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。
近頃はアナログレコードが人気ですが、レコードプレーヤーほど振動に対して神経質なコンポーネントはありません。レコードに刻まれた1mmにも満たない溝に針を落とし、溝の側面にある1ミクロン程度の凹凸を電気信号に変換するというオーディオコンポーネントです。そんなレコードプレーヤーが不安定なラックに置かれていたら、当然再生音は歪みが増し、さらには、ハウリングが起こる可能性もあります。ハウリングとはスピーカーから再生された音や振動がレコードプレーヤーを振動させ、その振動をカートリッジがピックアップして電気信号に変換し増幅されて、またスピーカーから再生されて・・・という無限の繰り返しによって『ボッ・ボッ・ボッ』という連続した低周波発振音が音楽に重畳する現象です。このような場合の振動対策は『振動を止める』と『振動を伝えない』という2面作戦が必要です。丈夫で十分に重量のあるオーディオラックを使用してレコードプレーヤーへの振動を止めます。その上で、ゴム等でできた柔らかなインシュレーターをレコードプレーヤーの脚に使用して振動を伝えないようにするのです。両方の対策を同時にとることが重要で、どちらかだけでは効果は半減します。
さらに理想的なオーディオラックを目指すのであれば、ラック自身に余分な付帯音がないことも重要です。当社試聴室ではサウンドマジック製の防弾ガラスを棚板に使用したオーディオラックを使用しています。
現時点での究極のオーディオラックと言えるかもしれません。このラックは棚板1枚が11㎏もあり、それが直径38mmの真鍮の無垢の支柱で支えられています。支柱を交換すれば高さの変更も可能です。棚板を叩いてみても『コツ・コツ』という音が僅かにするだけ。さすが防弾ガラスだけあって1Kgの鉄球を1m上から落としても割れることはないそうです。見た目も美しく非の打ちどころがないのですが、問題は価格です。棚板が3段のタイプで286,000円(税込)と高価です。