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バッド・バニーを起点に、今のレゲトン/ラテンミュージックシーンをチェックしてみよう!

 こんにちは。もう何度か当noteで紹介しましたが、今日もこの人とそれに関する話題です!

 はい、新作『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』をリリースしたばかりのバッド・バニーですね。彼の新作については…

 この記事に詳しく書いています。本作について、現時点で世に出ている日本語記事では1番詳しいレビューではないかと思っています(笑)。

 この作品、ストリーミング数見てもらえればわかるんですけど、ものすごい売れ方してます。先週発表されたビルボードチャートでは、惜しくも2位 (1位はリル・ベイビー『WHAM』) だったんですけど、これはリリース日の関係でバニーの集計期間が通常より2日半短かったので、来週には1位と2位が逆転すると見込まれます。ウィーケンドがアルバムを出す週までは、バニーの1位が続くのではないでしょうか。


 そして本作からは、特にこの2曲がヒットしていますね。このアルバムが、「レゲトンを軸としながらも、プエルトリコの伝統音楽にまで音楽性を拡張した傑作」であることは先週の記事でも解説した通りです。紛れもなく、彼は現在のレゲトンやラテンミュージックシーンを牽引する存在なのですが…

レゲトン/ラテンミュージックシーンには、
まだまだ面白いアーティストがたくさんいます!

 今日は現在のレゲトン及びラテンミュージックシーンの入門編、やっていきましょう!


 まずはバニーと同じプエルトリコ出身のラウ・アレハンドロ。彼は昨年11月にリリースした、

『Cosa nuestra』

 アルバム『Cosa nuestra』が全米6位を記録。プエルトリコ人ミュージシャンとして、バニーに次ぐワールドワイドな存在ですね。本作はレゲトンだけでなく、R&B、トラップ、ダンスポップ、そして中南米の伝統的なサルサやボレロまで、多様な音楽ジャンルをクロスオーバーしており、筆者も大好きな作品です。彼もバニー同様、レゲトン界のオルタナティブな存在として注目されています。

 本作からこの2曲が目下ヒット中です。いずれもSpotifyグローバルチャートのTOP50にランクインしています。


 続いては紹介するのはカロルG。彼女は、プエルトリコと並ぶレゲトン大国、コロンビア出身の女性シンガーです。バッド・バニーが「レゲトンキング」なら、カロルGは「レゲトンクイーン」。バニーほどではないものの、彼女もラテン系アーティストで屈指のセールスを誇っていて、

『MAÑANA SERÁ BONITO』

 現在彼女の最新作となっている、23年リリースのアルバム『MAÑANA SERÁ BONITO』は、ビルボードで1位を記録する大ヒット。レゲトンアーティストがビルボードのアルバムチャートを制覇するのは、バッド・バニーに次ぐ2人目の快挙でした。

 アルバムからは、特にこの2曲がヒットしていましたね。バニーやラウ・アレハンドロがオルタナティブなレゲトンスタイルでウケているのに対し、彼女はわかりやすい正統派のレゲトンがウケてます。楽曲そのものは、「3-3-2」の基本的なレゲトンのリズムパターンを繰り返したものが多いのですが、彼女の類稀なるメロディーセンスによって、シンプルなレゲトンでも飽きずに聴けるんですよね。

 昨夏にシングルでリリースされた『Si Antes Te Hubiera Conocido』は、メレンゲのリズムを用いた爽快なラテンポップ。現在までロングヒット中のこの曲をきっかけに、次のアルバムでは、非レゲトンのラテンソングも増えてくるのでしょうか?


左からBad Bunny、Karol G、Rauw Alejandro

 バッド・バニー、ラウ・アレハンドロ、カロルGの3人が、現在のレゲトンシーンの「BIG3」ですね。彼らがセールス面でも音楽面でも、レゲトンを次の次元に導いています。

 数年前であれば、J・バルヴィン、オスナ、アヌエルAAも「BIG3」に肩を並べる存在でしたけど、近年グローバルなヒットからは遠ざかっているので、今回は除外しました。過去の彼らの代表曲、現在でもストリーミングでもの凄く再生されてるんですけどね。


 そして「BIG3」以外にも、まだまだ楽しみな存在はたくさんいます!

 2024年最大のレゲトンヒットソングが、チリ出身のフロイメナークリスMJによる『Gata Only』。フロイメナーはこの曲で一気に頭角を表した新人アーティストです。ちょっと一発屋な感じもするんですけどね(笑)。弱冠23歳のクリスMJは同国最大のレゲトンスターで、既に国際的なヒットをいくつも飛ばしています。

 現在「BIG3」に最も近いアーティストが、コロンビア出身のフェイドでしょう。彼も近年ヒット曲連発の人気アーティスト。次のアルバムで全米トップ10入りが期待できる逸材です。

 そしてレゲトン生誕の地、プエルトリコ出身のマイク・タワーズも忘れてはいけません。もうこのシーンでは不動の人気を誇ってますね。もう少し音楽的に覚醒すれば、「BIG3」に並ぶ存在になりそうなんですけどね。

 そしてこのシーンを語る上で忘れてはいけないのが、タイニーですね。彼はシンガーではなく、プロデューサーなのですが、自身名義の作品も多数発表しています。バッド・バニーとはデビューアルバムの頃から手がけている盟友で、彼こそが「レゲトンブームの影の立役者」なのかもしれません。


 中南米のレゲトンシーン出身ではないものの、ラテンミュージックといえば、この人達も外せませんよね。

 スペインのロザリアですね。彼女は元々がフラメンコシンガーで、今ではジャンルに囚われないかなり異端なスタイルなので、「BIG3」に入れづらかったんですけど、彼女も加えて「四天王」としてもいいかもしれません。22年にリリースされ、批評筋から大絶賛された『MOTOMAMI』は、必聴のアルバムです。

 最後に紹介するのはカリ・ウチス。コロンビア生まれ、アメリカ育ちのシンガーで、70年代風のソウルからレゲトン/ラテンミュージックまで、幅広い音楽性を有しています。英語とスペイン語を使い分けられるのも彼女の強みですね。昨年リリースした全編スペイン語のアルバムが全米2位まで上がっていて、人気の高さが伺えます。


 いかがでしたか?レゲトン/ラテンミュージックシーンの層の厚さをお分かりいただけたかと思います。今回は現行シーンに絞った解説をさせていただきましたが、いつか体系的にレゲトンの歴史についても書いてみたいと思っています。いつになるかわかりませんが、楽しみにしていてください(笑)。

 ではまた。


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