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注目作が多かった!「先週のリリースまとめ」(2025年2月第2週)
こんにちは。先週は大物のリリースこそなかったものの、注目に値する作品が数多くありました。ということで「先週のリリースまとめ」、今日もやっていきましょう!
Squid
『Coward』
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注目の作品が多かった先週、批評筋から最も評価された作品がスクイッドの『Coward』。彼らは現行UKロックの震源地、サウスロンドンのシーンから現れたポストパンクバンドで、本作が3枚目のアルバムになります。
彼らの音楽的な素養の高さ、そして飽くなき実験精神を感じるアルバムで、批評家ウケがいい作品なのは理解できます。が、キャッチーに訴える要素が弱いんですよねぇ。これが楽曲の覚えにくさに繋がっている気がして。同じくサウスロンドンシーンの代表格、ブラック・カントリー・ニュー・ロードみたいなわかりやすさが欲しいです。
Sharon Van Etten
『Sharon Van Etten & The Attachment Theory』
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こちらも批評筋から好評の作品ですね。アメリカのSSW、シャロン・ヴァン・エッテンと彼女のバックバンドによる、セルフタイトルのアルバムです。
インディー寄り、SSW風なロックが主軸のアルバムですが、エレクトロの要素もふんだんに織り交ぜたポップさも兼ね備えていて、個人的にはスクイッドのアルバムより好きですよ。
Oklou
『Choke Enogh』
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フランスのプロデューサー兼SSW、オーケールーのデビューアルバムも先週評判が良かった作品の1つです。
FKAトゥイッグスにアンビエントな質感を足した感じですね。良質なエレクトロポップアルバムで、筆者は本作を先週のベストに挙げたいと思います。彼女やFKAの作品を聴くに、トランスが最近のトレンドになりつつあるようです。
Heartworms
『Glutton for Punishment』
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続いてはジョジョ・オームという女性によるソロプロジェクト、ハートウォームス。こちらもデビューアルバムになります。
本作を手掛けたのは、今やUKロックの最重要プロデューサー、ダン・キャリー。基本的にゴス色の強い作品ですが、そこにキャリーのポストパンク的なエッセンスを加えて再構築したサウンドが魅力ですね。熱狂的なカルトファンがつきやすいタイプだと思います。
Inhaler
『Open Wide』
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そして最後に紹介するのは、アイルランド出身のロックバンド、インヘイラーの『Open Wide』。今週リリースの作品では、これが最も商業的な成功を収めると予想されています。
王道なポップロック路線ではありますが、この手のバンドでは頭一つ抜けていますね。ハリー・スタイルズのファン達が、少し背伸びして聴いて欲しいタイプのバンドです。きっかけがあれば、日本でも人気出そうなタイプなんですけどね。
今回から、「先週のリリースまとめ」シリーズを少しだけリニューアルしています。それは「1つの作品をラフな解説に留め、出来るだけ多くの作品を紹介する」ということです。
これまでもこのシリーズをやってきて、筆者のリスニング備忘録という意味でも非常に有意義なものだったんですけど、まだまだ紹介したい作品も山ほどあったんですよね。よって今後は、「出来るだけ多くの作品を紹介する」という点に力を入れ、1つ1つの作品は軽い紹介程度に留めていきたいと思います。
本シリーズで紹介したものの中から、特に力を入れて紹介したいものは、「月間ベストアルバム」の記事で詳しく紹介する予定です。そちらも楽しみにしていてください。
そして今週は、この話題についても触れないといけませんね。
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毎年恒例、NFLスーパーボウルが日本時間の9日に開催されました。世界中の音楽ファンが注目するハーフタイムショーでは、ケンドリック・ラマーがパフォーマンスを行いましたね。
彼のライブは、NFLの公式YouTube動画から視聴可能です。まだ視聴されてない方は是非観ていただきたいのですが…、今回のパフォーマンスに関しては賛否両論というのが実際のところです。
SNSで見かけた否定的な意見をいくつかピックアップすると、まず「スーパーボウルには相応しくない」という意見。これはその通りだと思います。アメリカ最大のスポーツイベントで、挑発的とも捉えられるパフォーマンスを行ったのは間違いないですからね。お祭り色の強いハーフタイムショーを期待していた人は、今回のパフォーマンスに違和感を抱くのも無理はありません。
次に、「何が伝えたいのかわからなかった」「内容が難しすぎる」という意見。これも正しい意見だと思います。というより、ケンドリックはあえてメッセージ性をわかりにくくしていたと思います。アメリカ社会、トランプ政権、黒人やヒップホップのカルチャー…。あらゆる示唆に富んだ内容ではあったものの、何かはっきりとしたメッセージを主張してはいないんですよね。これはスーパーボウルという世界中が注目する舞台に対する、彼なりの配慮であったと思います。彼の伝えたいことは、「観た者の解釈に任せる」ということなんでしょう。
そして、「ドレイクに対する公開処刑だ」という批判ですね。これも言いたいことはわかりますが、ビーフはヒップホップのカルチャーとして広く認められたものだし、ドレイクもそれに乗っかった結果でもあるわけで。
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そういった批判はあったものの、筆者は今回のパフォーマンス、非常にクールでクレバーだったと思います。一応この記事はハーフタイムショーの解説記事ではないので(笑)、もっと詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
ではまた。