Kings of Convenience の全アルバムをフィジカルで聴く
Kings of Convinienceってどんなミュージシャン?
1999年ノルウェー・ヴェルゲン出身の、インディー・フォーク・デュオ。
二人が初めて出会ったのは11歳。そして16歳で再開した二人は、「スコッグ」というバンドを結成するもしばらくして解散。その後は二人で活動し、99年に『BRAVE NEW WORLD』という7インチでデビューし、そしてUSインディ・レーベルのキンダーコアから『キングス・オブ・コンビニエンス』を限定リリース。その後2000年にEP『LIVING IN A ROOM』でUKデビュー。イギリスを中心に徐々に注目を集め、2001年ついに『QUIET IS THE NEW LOUD』でメジャー・デビューを果たす。
繊細で美しいハーモニーに素朴で柔らかなぬくもりを感じるギター、そしてシンプルに構成された楽曲による牧歌的で心地よい世界観が魅力。
オリジナルアルバム(メジャー)
Quiet Is the New Loud『クワイエット・イズ・ザ・ニュー・ラウド』(2001年)
Riot on an Empty Street『ライオット・オン・アン・エンプティー・ストリート』(2004年)
Declaration of Dependence『デクラレーション・オブ・ディペンデンス』(2009年)
Peace or Love『ピース・オア・ラヴ』(2021年)
メンバー
アイリック・ボー(ヴォーカル・アコースティックギター)右
アーランド・オイエ(ヴォーカル・アコースティックギター)左
1 Quiet Is the New Loud(2001年)
この『クワイエット・イズ・ザ・ニュー・ラウド』がリリースされた2001年といえば、ストロークスが『イズ・ディス・イット』で大ブレイクし、ロックンロール・リバイバルというムーブメントが湧き上がった年。また、ダフト・パンクの『ディスカバリー』やジミー・イート・ワールドの『ブリード・アメリカン』なども売れ、ダンサブルでエモでロックンロールな年だった。そう思うとこのフォークデュオ、キングス・オブ・コンビニエンスはシーンの中心から距離を置き、静かなアコースティックギターによるアンサンブルと美しいハーモニーを奏でる独特な存在だったと言える。
「Winning a Battle, Losing The War」
最初の出会いはこの曲。
当時、このジャケに惹かれ音も聴かずにCDを入手した。この頃は比較的ラウドなロックやネオソウル、ヒップホップにハマっていた自分にとってはあまりにもその静けさが衝撃だった。なんて心にしみる音楽なのだろうと。当時、20代特有の“ここではない何処か“、を求め迷い、意味もなく疲れ果てていた心にジャストフィットした。あぁ、これで良かったんだと。
「I Don`t Know What I Can Save You From」
オーソドックスなアコギのストロークに、シンプルな単音のリフが乗る。
重たい雰囲気はなく、変わってしまった君へ、ただただ「僕は、君をどう救ったらいいかわからない」と歌うその囁きは正直で、どうしょうもない虚しさが伝わる。
2 Riot on an Empty Street (2004年)
1stが話題となり、ニュー・アコースティック・ムーブメントの旗手!?なんて一部メディアに担がれてしまったキングス・オブ・コンビニエンス、2004年の2ndアルバム。基本的には1stとアプローチに変化はないが、アコースティックによるナチュラルさと繊細なハーモニーによる、世界観の“深み“が一層増した。
#5、#12のファイストがゲストボーカルとして参加した事によって、静かな彩りが生まれたところもまた良い。そして、1st同様にジャケが素晴らしく、2枚並べてると様々な”イケナイ”スト-リーを想像してしまうw。
「Misread」
これほどまでに音数を削ぎ落とし、耳に残るリフ(しかもピアノ)とリズムとこのメロディセンス。天才か?と声が出てしまったw。
そのシンプルさは健在で、そして少しダンサブル。
「I`d Rather Dance With You」
これまたシンプルなバンドサウンドと静かに体を動かしたくなってしまうような、ほどよくダンサブルなところが良い。歌、ベース、ピアノ、ドラムはアーランド(PVで変な踊りしている彼w)。ギターと一部ベース、ピアノ、そしてパーカッションがアイリック。彼らは基本となる楽器をほぼ自分たちで演奏してしまうところがまた世界観の統一性を作る要素となり、素晴らしい。
3 Declaration of Dependence(2009年)
前作から5年の歳月を経てリリースされた3枚目『デクラレーション・オブ・ディペンデンス』。ため息が漏れてしまうほど儚く、美しく、優しい音色。どの曲もたおやかな出で立ちが浮かび上がるような楽曲に、もうこの世界にずっと浸っていたい、戻りたくない、そんなことを感じるアルバム。
「24-25」
これほど美しい立ち上がりのアルペジオをあまり聴いたことがない。そしてそこに重なる儚いハーモニー。極めつけはリヴァーブに包まれたギター・ソロ。なんという美しさなのだろうか。
「Rule My World」
アルバム1曲目からずっといい曲が続き、どうしたものかと思っていたら5曲目にこのRule My Worldのイントロが…。もう、参りましたw。
4 Peace or Love(2021年)
もう新譜を聴くことはないのかもしれないな、と何処かで諦めていた。そして、新譜への期待すらなくしていた。
そんな頃、なんと12年ぶり4枚目のオリジナルアルバムが出た。全面的に肯定的な良い意味で、”何も変わっていない”。
ポップセンス溢れる素晴らしいハーモニー、静かで優しいギターアルペジオ、牧歌的で穏やかな時間に包まれる世界観。あぁ、これを待っていたんだ、とつくづく感じた。もうこんなにも待たせないで下さいw。
「Rocky Trail」
アルバムリリース前にシングルとして「Rocky Trail」がリリースされた。この曲を聴いた瞬間の喜びったらなかった。これぞ、キングス・オブ・コンビニエンス。この軽快でいて儚さをまとったフォーク。
嗚呼感無量。
「Fever」
アルバムのジャケを見て、またしてもこのセンスに打ちのめされる。彼らの静かな世界観を見事に表している。そして、この「Fever」2001年デビュー直後の彼らのようで感動してしまった。
さて、今回は大好きなフォークデュオ、キングス・オブ・コンビニエンスを紹介。1st以外は輸入盤のCDとLPなので機会を見つけて国内盤を探し、ライナーノーツなどを読んでもう少し詳しく彼らのことを知りたい。
もしもまだキングス・オブ・コンビニエンスの世界未経験の方がいらしたら、本当に素晴らしいのでぜひ聴いてみてください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。