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Laura Marlingの全オリジナルアルバムをフィジカルで聴く。
Laura Marlingってどんなミュージシャン?
イギリスのフォークを基調とした美しきSSW。
世界的にはかなり著名でブリット・アワード最優秀ソロアーティスト受賞や、マーキュリー音楽賞・グラミー最優秀フォークアルバムノミネートなど、とても評価の高いSSWだが、日本ではまだ人気も知名度も共に高くなく、なんと来日公演すら行われていない…。
1990年生まれのローラは2025年現在まだ34歳という若さだが、2008年18歳でのデビューから2024年の最新アルバムまで、すでに8枚ものアルバムをリリースしている。彼女の情報をもっと知りたくて、アルバムも国内盤を探すんだけど、なかなか見つかりません…。
*あとで分かったことだが、5thアルバムが初の国内盤リリースだそうだ。
オリジナルアルバム
Alas, I Cannot Swim 『アラス、アイ・キャンノット・スイム』(2008)
I Speak Because I Can『アイ・スピーク・ビコーズ・アイ・キャン』 (2010)
A Creature I Don't Know 『ア・クリーチャー・アイ・ドント・ノウ』(2011)
Once I Was an Eagle『ワンス・アイ・ワズ・アン・イーグル』 (2013)
Short Movie 『ショート・ムーヴィー』(2015)
Semper Femina『センパー・フェミナ』 (2017)
Song for Our Daughter 『ソング・フォー・アワ・ドーター』(2020)
Patterns in Repeat 『パターンズ・イン・リピート』(2024)
1 Alas, I Cannot Swim (2008)
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プロデュースはなんと!Noah and the Whaleのフロントマン、チャーリー・フィンク。というか、ローラ・マーリングがノア・アンド・ザ・ホエールに在籍していたことを僕は知らなかったので、このアルバムをただただ素晴らしいSSWの見事なデビュー作として聴いていた。
クレジットを見ると、Noah and the Whaleからはチャーリー・フィンク以外にもトム・ホブデンも参加、またフォークバンドMumford & Sonsからはリードシンガーのマーカス・マムフォードも参加しており、何気に豪華なメンバー。
『Goast』
2 I Speak Because I Can (2010)
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若干20歳でもう2ndアルバム。プロデュースはイーサン・ジョンズ。
ローラの美しくも芯の強い歌声を最大限にいかすためか、余分なことはせずフォークギターと曲、そして歌がシンプルに響く構成となっている。まぁ、オーケストラと一緒に演奏したこの堂々としたパフォーマンスを見たら納得ですね。
『Hope in the Air』
3 A Creature I Don't Know (2011)
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前作から1年半を経てリリースされた3rd。
冒頭の「The Muse」は静かなフォークギターから始まり、ぶっきらぼうな歌が重なる。そしてバンジョー、チェロ、ブラシのスネアドラムと音が更に重なることでダンサブルになる。予想外の立ち上がりが良い意味で期待を裏切る。一方でローラらしい、アコギで聴かせる「Don`t Ask Me Why」や「Night After Night」の静かでしっとりとした世界もいい。でもやっぱり「Sophia」と「All My Rage」のエンディングは格別だ。ローラのヴォーカリストとしての魅力がすべて詰まっている。張りのある高音域やファルセット、ビブラート、コーラス。あまりにも美しく見事だ。
『Sophia』
4 Once I Was an Eagle (2013)
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全曲1発録りで曲間もシームレスに繋がるため流れるような統一感と一体感に長大な1曲を聴いているかのような錯覚に陥る。テンポも自由なのがまた一層心地よい。とりわけ1~4曲目までの流れが素晴らしく、同じリフをモチーフにしてそれぞれ違う曲に仕上げている。その仕上がりが素晴らしく、それぞれの楽器の乾いた野太く深い音がすこぶるいい。プロデュースしたイーサン・ジョーンズとの信頼感が大きいのだろう、と想像する。アルバムのビジュアルデザインも1st~3rdまでと違った印象なのだが、今まで同様にAlex Cowperが担当している。
『I Was An Eagle』
5 Short Movie (2015)
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初の国内盤リリース!にも関わらず、リアタイで聴いておらず…。
結果的にこの5thアルバムは8枚の中で一番最後に入手した。ライナーを読んでいくと、5thまでの道のりやこのアルバムが初のセルフプロデュースとなった経緯がわかる。このアルバム制作に入った際、4thまで一緒にやっていたプロデューサーのイーサン・ジョーンズに新曲を聴かせたところ「いいと思う、けど何かが足りない」と言われ、ショックを受けながらアルバム制作をストップし、音楽から一時離れて作り直したそうだ。
『Walk Alone』
6 Semper Femina (2017)
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26歳のときにリリースした6thアルバム「センパー・フェミナ」。この年齢で6thアルバムというのがそもそもすごいことだが、アルバムの内容も素晴らしい。プロデュースはブレイク・ミルズというギターリスト。
3曲目の「Wild Fire」が象徴的な曲だが、5曲目「Always This Way」やラストの「Nothing Not Nearly」などローラの歌が合う素晴らしい楽曲が並ぶ。
『Wild Fire』
7 Song for Our Daughter (2020)
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36分という短いアルバムだが中身が濃い。
長年のコラボレーターでアルバムプロデューサーでもあるイーサン・ジョンーズも何曲かドラムで参加しているようだ。通算7作目だが、ローラのようにアルバムが出るたびに最高傑作を更新できるアーティストもそうそういないだろう。
『Held Down』
ローラ・マーリングの曲の中でも最も好きな曲、いや、自分が知っているフォークソングの中でも1,2位を争うほど好きな曲だ。この曲を聴いたとき、本当の意味でローラ・マーリングの凄さを知ったのかもしれない。彼女のビブラートは絶品です。
8 Patterns in Repeat (2024)
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2023年初頭、実際に母となったローラが自宅レコーディングした音源を中心に完成させ、翌2024年にリリースした8thアルバム。7th「ソング・フォー・アワ・ドーター」の頃はイメージでしかなかった娘が、リアルになったわけだ。7曲目「Caroline」の見事なアルペジオ、ローラの父親が50年前に書いたという曲を再解釈した「Looking Back」、一日の終りに静かに聴きたくなる「Lullaby」など終盤は見事。そしてアルバムはドラムによるビートが一切入っていない、全体的にたおやかさを感じる静謐なアルバムだ。
『Caroline』
ローラ・マーリングを語るとき、よく引き合いに出されるのは言わずもがなだが、ジョニ・ミッチェル。間違いなく影響を受けているし、ローラも公言している。素晴らしい影響の受け方をし、それは見事にローラ・マーリングというSSWの血となり肉となっている。
これほど素晴らしいシンガー・ソングライターが8枚ものアルバムをリリースしているのに、来日がまだというのはなんとも残念でならない。近い内に日本で彼女のライブを見れることを願っています。。。