【ごとうゆりか個展初日トークショー】ごとうゆりか × 千原徹也 ×ヤマモトショウ
2016年8月12日から17日まで行われていた、ごとうゆりかの個展イベント。「夢遊っ子のゆめ 僕のアンニュイvol.わんっ」@新宿眼科画廊
初日は、れもんらいふ代表の千原徹也と、作詞家、作曲家で、元ふぇのたすのヤマモトショウをゲストに招き、今までのごとうゆりかの作品や、これからの展望について語られました。
千原徹也(以下、千原) 今日はごとうさんの集大成的な感じ?
ごとうゆりか(以下、ごとう) そうですね、れもんらいふを卒業させていただいてから最初の個展です。
一回私の作品を公に全て出して、そこからまた新しく作っていきたいなとおもって、私の今までとこれからの区切りとなる個展です。
千原徹也(ちはらてつや)
アートディレクター、グラフィックデザイナー、株式会社れもんらいふ代表
1975年京都府生まれ。京都でデザインをはじめたあと、2004年に上京。大手広告会社やファッション関係のデザイン事務所を経て、11年にデザインオフィス「株式会社れもんらいふ」を設立。広告、装丁、ファッションブランディング、WEBなど、デザインのジャンルは多岐にわたる。
千原 一番最初れもんらいふ来たの、学生の時だよね。
ごとう そうですね、大学生の時インターンで働き始めました。
千原 もう結構経つよね。あの時は「れもんらいふ」って名前になってた?
ごとう なりたてでしたねぇ。窓際の一角でデザイナーさん2人と私で仕事してました。
千原 あぁ、あの狭いときね。あの時れもんらいふは場所がまだなかった。
左からごとうゆりか、千原徹也、ヤマモトショウ
ヤマモトショウ(以下、ヤマモト) れもんらいふは当時どこにあったんですか?
千原 ラフォーレ原宿近くの交差点にあるラコステの上に広告代理店があって。そこを二席だけ間借りさせてもらっていたの。
ヤマモト そうなんですね。
千原 あの時ごとうさんは仕事何してたんだっけ?
ごとうゆりか
画家・イラストレーター・アートディレクター・ファッションデザイナー・スタイリストetc..
多摩美術大学グラフィック学科卒業。2016年装苑ニューカマーに選出され、六本木ヒルズ森美術館セーラームーン展ヴィジュアルイラスト、テレビ朝日「夢眠ねむと根本宗子のねむねも」出演、でんぱ組.inc相沢梨紗イベント参加、大森靖子LIVEグッズ、きゃりーぱみゅぱみゅ振袖イラスト、高島屋、その他広告・雑誌・衣裳デザイン・店内内装デザインなど絵を拠点にマルチに活躍中。
ごとう インターン一発目のしごとが、飯嶋久美子さんの装苑の撮影のお仕事でした。「リカちゃんの彼氏のケンを探して」って言われて(笑)
撮影に使用する備品の人形が必要で、ネットで様々な年代のケンを探してカタログを作って、千原さんに「どのケンがお好みですか?」って聞いていました。
ちょっとキャバクラみたいな。(笑)
一同 (笑)
千原 そのあと、大学卒業後は一旦れもんらいふを離れたんだっけ?
ごとう 大学卒業後もバイトでお世話になっていました。
千原 あぁ、その時移転して青学の近くになったんだよね。
あの時は一番会社にいたよね。
ごとう すごい大変だと思いましたね。本当朝から深夜まで働いていて。
1日が1日じゃなくて365日ずっと働いているって感じで、社会ってこんなに大変なんだって思いました。
千原さんが会社を作ったばかりで、経営と仕事をまわすっていう姿を見ていて、社長ってすごいなと思いました。
千原 あの時代は特に大変だったよね。あの後就職したよね?
ごとう ボシュプルメットという会社に務めました。
千原 そっか。ショウくんとごとうさんはいつ出会ったんだっけ?
ヤマモト ごとうさんがれもんらいふを卒業した後ですね。ふぇのたすのメジャーデビューが決まって、最初のデビューシングルのMVを作るときに千原さんと一緒に仕事できればと思ってて。
その時ごとうさんもスタッフとして入っていて、それが一番最初かな。
ヤマモトショウ
作詞家、作曲家、音楽プロデューサー。バンド「ふぇのたす」のギター、シンセサイザー、作詞・作曲・編曲担当としてユニバーサルミュージックからメジャーデビュー。バンド活動の傍らシンガー、アイドル、声優、バンドなど多数の楽曲提供、プロデュースなどを行う。2015年9月のふぇのたす解散後より本格的に作詞、作曲家として活動を開始。
ごとう そうですね。イラスト提供とスタイリングをしました。
あの時も大変でしたね。ボーカルのみこちゃんがオシャレですごい可愛かったんだけど、他のひとがあんまりオシャレに対して興味が無いというか。
ヤマモト そう、そのとおり(笑)
あ、それごとうさんのところまで伝わってたんだ。
今はじめて聞いた話ですね。
ごとう バンド皆のバランスってあるじゃないですか、
ショウ君とみこちゃんとメンバーでどんな感じで合わせようかと思って。
そう、その時はれもんらいふの永瀬さんと一緒に仕事してましたね。
千原 あぁ、最近メキメキ出てきているよね。
ごとう みこちゃんがふぇのたす卒業して she is summer っていうアーティストをやっているんだけど、永瀬さんがそのアートディレクションをやっていますね。
千原 まぁある意味れもんらいふはいろんなアーティストの出会い酒場だよね(笑)
ごとうさんってわりと端っこで座っているタイプなんだけど
ショウくんとごとうさん仲良いなと思ってたよ。
ごとう 結構、喧嘩していましたよ(笑)どうしてですか?
千原 去年サザンのライブを一緒に見に行ったでしょ?
あそこに貼ってある「葡萄」のTシャツ を16人で着ていったよね。吉澤嘉代子さんとかもいて。
終わった後、電車乗ったら二人がしゃべっていたから、あの時、吉澤さんか誰かがあの二人いい感じだねみたいな(笑)
写真:れもんらいふ 永瀬由衣氏のinstagramより
ヤマモト たぶん話してるのが珍しかったんですよ。
僕も端っこに居るタイプで。(笑)
ごとうさんとは中学校がお堀を挟んで隣同士だったり共通点が多くて
歳も近いし、同級生で地元一緒の人みたいな。
ごとう 話が面白いんですよね、この人。哲学的というか。
ヤマモト 静岡出身の方がいる中で申し訳ないんですけど、静岡出身の人っていい人っていうか、温厚っていうか。ぶっちゃけた話そんなに面白くないんですよね。自分も含めてね(笑)
千原 あ、なんか…分かる(笑)
ヤマモト まぁ、控えめなんだと思うんですよ。グイグイこないというか。
そういうのもあって、静岡から東京に出てきて、静岡の人と仲良くとかならなかったんですけど、唯一静岡の人で面白いなと思ったのが、ごとうさんなんですよ。
ごとう そういえば、私も静岡の人で友達がいない…。
ヤマモト もちろん静岡出身のミュージシャンの人とかもいるんですけどね。
静岡は暖かいところだし、穏やかな性格なのかなぁと思うんですけど。
ごとうさんを見て尖った人もいるんだなぁって。
ごとう 尖ってないですよ(笑)
千原 いやいや、尖ってましたよ(笑)
尖ってるから、この子はどうしていけば良いのかなって思ってた。
ごとう 改めて私ってれもんらいふの時、どんな印象でした?
千原 最初のころは普通の大学生だなって印象だったけど、だんだんなんかね、ちょっとやばい感じに…(笑)
ごとう やばい感じ(笑)
千原 だんだん、そうね、絵のトーンとかができていって、個性ができていって。
最初の方は可愛い印象だったんだけど、だんだん個性が強くなっていったというか。
ごとう そう、その時は悩んでいたんですよね。
千原 一回ごとうさんから相談うけたのが、
青い表情の女の子とか、今までと違ったもの描き始めたときに「私大丈夫かな」って相談をもらって。
ごとう その絵を描いた後、すごく不安になってしまって、これでは仕事にならないんじゃないかなと思ったんですよね。
千原 まぁ、そんな中でもだいぶぼくは描いてもらったよね(笑)
きゃりーの振り袖のデザインとかもね。
ごとう そうでしたね、年末に。
千原 成人式に間に合うようにって作ったから超時間なかったよね。
ごとう すごいスパルタでしたよね。(笑)
■「売れ線って本当にあるんですか?」
ごとう これからの仕事の上でも参考にしたいんですけど、
売れ線って本当にあるんですか?
例えば、楽曲って売れる売れないとかあるじゃないですか。
それって個性を振り切りすぎると売れなくなったりしてしまうとか…
ヤマモト 個人的な考えとしては、振り切ったほうがいいんじゃないのかなと思ってる。
曲書いてても、誰でも作れるっていうよりは、
この人に頼まないとできないというもののほうが、面白いし良いと思うんだよね。
誰でも書けるものをあえて作ると、やっぱり微妙になる。
ごとう そうなんですね。
千原 まぁすごく売れてる人がこの中にいないと説得力無いけど(笑)
ヤマモト そうですね(笑)ただ売れそうって話は結構あって、ミュージシャンの間で。
千原 あ、そうそう。だからね、「桜」って曲を書くと売れる。
ヤマモト そうなんですよね。僕は「桜」って曲を書いたことはないんですが、たとえば「桜」ってタイトルをつける時にはもう気合を入れる時というか、もう売るぞと覚悟を決めた時ですね。
これで売れなければどうしようもない。(笑)
ごとう それってわかりやすい曲が売れるってことですか?
千原 やっぱね、卒業シーズンはセンチメンタルになっているから、
「桜」って曲をそこに乗せてくるというか。
何かを呼び起こす「桜」が日本人にとってわかりやすいというか。
■「一人だと不安になるから、会社を作ったところはあるな。」
ごとう 千原さんの会社から卒業した時に思ったのが、自分自身の絵と、千原さんのところで描いた絵との差がすごいというか、その違和感が苦しかった。
この自分でいいのかって感覚がありました。
千原 絵を描いている人は難しそうだよね。
自分自身のタッチと、依頼されて描く絵への向き合い方とか。
ごとう そうなんです。そこをジャッジしてくれる方がそばにいる環境があると、「ここに向かえば良い」って思うんで、そこを信頼して突き進めばいいとは思うんだけど、一人だけで伝えようとすると、不安になるし。
千原 そうだよね。僕も一人だと不安になるから、会社を作ったところはあるな。
そういえばこれは僕が独立してから知ったんだけど、
大御所の人たち、ああいう人たちへは高いんじゃないかと思って、あまり発注しなくなる傾向にあるらしいんだよね。
ヤマモト 確かに頼みづらいかもしれないですね。
千原 そう、だから有名人の人たちって意外と仕事ないですよ。
逆にそれなりに書ける人とか、若い人を使ったほうが費用も安くあがって、発掘感もあるし、いいじゃない。
カメラマンとかイラストレーターとか、大御所になってくるほど仕事が無いんですよ。
僕も大御所じゃないけど、「千原徹也」って仕事を頼みづらそうな名前がある。
それを「れもんらいふ」で少し頼みやすいようにしてるんだよね。
ごとう なるほど。
千原 そう。だからごとうさんもなんか付けたほうがいいんじゃない?
例えば仕事とアーティストの名前を分けてみたりとか。
ごとう アーティスト名かぁ…。
ヤマモト それはぼくも同感で。ぼくもふぇのたすを解散して、頼みづらいかはわからないんですけど、名乗りづらい。
今まではふぇのたすの山本です、って言っていたのが、山本ですって言うのと印象が違うじゃないですか。何の山本なんだって(笑)
作曲家っていうのもなんか違う気がして。
千原 そう、一人でも何か名前をつければ良い。
ヤマモト そうなんですよ。なので、ぼくも会社を作りました。
「アプリオリミュージック」ってレコード会社を作って
多少これで名乗りやすくなりましたね。
「アプリオリ」ってのは哲学の用語なんですが。
ごとう どういう意味なんですか?
ヤマモト まぁ、いいじゃないですか(笑)
先見的というか、物事の先にあるものっていう意味なんですけど。
ごとう なんだ、もうちょっと深い話が出るかと。(笑)
一同 (笑)
■「紙3つくらい並べて同時にやってみたら?」
千原 ごとうさん、最近はどういう仕事が多いですか?
ごとう 最近御朱印帳を作りました。
ここには無いんですけど。
千原 御朱印帳ってなんですか?
ごとう 神社やお寺にいって「ここに行った」っていう判をもらうノートみたいなものですね。
ヤマモト 御朱印帳、うちの母親も欲しがってました。密かに流行ってますよね。
ごとう 最近はそれくらいかなぁ。とにかく、個展のことに集中してましたね。
あとは絵本を作りたいと思っているので、展示していますけどその作業でしたね。
千原 イラストレーターの人は一つ一つの仕事が大変だよね。
ごとう そうですね、気持ちの入れ替えとか特に。
ヤマモト 同時進行で仕事とか出来るの?
僕は同時進行とかいろんな人の曲とか書いたりして、
同時期にプロジェクトを回すことがあるけど。
ごとう 私はそういう進行はできないですね…。
自分の中で別の存在は無いものとして考えないと、気持ちが込められないというか。
千原 でも紙3つくらい並べて同時にやってみたら?
気持ちを切り替える為に同時にやる人もいるし。
ヤマモト 僕は複数やっていると調子が良くなるというか、
曲が良くなったりもしますね。
ごとう 私は布とかあっても、この繊維に穴が開くほどやりたい…執念深いというか。
嫌いになりたくないのに、嫌いになるまでずっと見る。
それくらい集中しちゃうんですよね。
千原 確かにね、そういう絵なんだよ。
ごとう ある意味、邪念がこもっています(笑)
千原 僕も同時進行20個くらいやってるけどね。
ヤマモト それは多いですけどねぇ(笑)
千原 バタバタだよね。一つに集中してると他方から電話が来るような。
ヤマモト 僕で言うと、全然違うモードの歌詞を同時進行で書いていますけど、冷静に考えると変ですよね。
でも、むしろ切り替えることによって集中できる部分もあるというか。
どっかで判断しているんですよ。
千原 なんか忙しいときってあれもこれもできちゃうっていうか、
忙しいときに限って合間を縫ってシン・ゴジラ見ちゃうとか。
逆に、暇な時はなんもできない。
ごとう ゴジラ…(笑)
ヤマモト 僕も時間があったら逆に何もしないですね。
千原 時間詰め詰めの中に無理矢理いくからね。
僕、一日最低5件は打合せがあるよ。全然違うプロジェクトで。
こういっちゃあれだけど、喋るの疲れてくるもんね。
ヤマモト ありますよね笑
ふぇのたす時代の打ち合わせの時は、遅い時間だと千原さん疲れてるなと思ってましたけど、それ言うのもなって。(笑)
ごとう タクシーに千原さんと乗った時に、千原さんあっという間に寝てましたね。
ヤマモト そこで寝ないとねぇ。
千原 ただ、今はそれが良いのかなぁ。
仕事の中身に関してもそのペースでその内容でやっているから活性化しているというか。止まるとほんと止まっちゃうんだよね。
ごとう 私は時間ある時、生活全部考えて、なんで私はここにいるんだろうとか思っちゃいます。
千原 それが危ないんだよね。(笑)
そういうの考える暇を与えないようにするというか。
ごとう 窮地に陥ると、自分はどう這い上がろうとするんだろうとか考えます。
千原 あぁ、それが作品になるんだね。
ごとう ただ、そういうの世間はあまり受け付けないというか
もっと軽いほうが受け入れやすいんじゃないですか?
千原 うーん、それはそうかもね。
歌とかも叫んじゃったりしてるのは受け付けづらいかも。
ヤマモト 叫びも考えてやっているとは思いますよ。
そんなに人間って叫ばないですよ。笑
叫ぼうと思っても、案外呪縛のようなもんが叫ばせない。
千原 ごとうさんは叫びたくなることとかあるの?
ごとう 私は踊り出しますね。
千原 それはあるね(笑)
やまもと 俺も踊るよ、道とかで。
一同 (笑)
■「個展の見どころは?」
千原 この個展の見どころはなんだろうね?
ただ、こうやって眺めると、全然違うもの描いてても共通点みたいなものはあるもんですね。
ヤマモト 僕としてはふぇのたすのMVでやってもらったのは、かなり思い出深いものがありますけれども。
千原 挫・人間さんのとかさ、
そういうポジとか上手にやるよね。
ごとう そうなんですか、ただ自覚が無い(笑)ただ楽しい感じで作っています。
私って制作物自体が気に入っているというか、制作する間に出来るひとつの関係性みたいなものが好きで。
作品に仕上がってしまったら納品なんですけど、それは埋葬というか、消化させるっていう行為で、あとはみなさんの記憶にどう残るかなぁって考えています。だから、今はこの個展自体が見どころですね。
千原 飾られている作品だけじゃなく、この状況っていうかね。
ごとう そうですね、
きっかけが無いとこれだけ人って集まったりしないじゃないですか。
そういう空間が見どころです。
千原 この絵はなんていうの?
ごとう これ学生の時のです。大学2年のときかな?
千原 これいいですよね。
ぼくこの間さ、学生の油絵の審査やってくれって言われて、
油絵500点くらい見たんだけどさ。
あれ、超良い。
ごとう 私も出せばよかった笑
千原 幼稚園生から小学生、中学生、高校生と全部に賞を与えるんだけど、
見事に歳が上になれば感性が鈍っていくなと感じたんだよね。
ごとう そうなんですか。
千原 小学生低学年あたりがやっぱり面白いかな。
絵が下手なのは練習すれば上手くなっていくんだけど
ぐっとくるのは上手い下手じゃなくて感性的なものなんだよね
油絵協会入ってくれたら賞ものだったね。
ごとう ありがとうございます。
では質問コーナーにしましょう。
==質問コーナー==
--- ごとうさんは動物の絵が多いですが、絵柄、偏見もあるようなものを孕んでいると思うんです。どう感じていますか?
ごとう かわいいなって(笑)奇形が好きなんですね、
奇形の子とかって偏見があるじゃないですか。その基本的な概念というか、多数決で決められるものだと思うんですね。
気持ちさえあれば、特に奇形を気にすることではないと思います。
あの絵は多分夜中に化けてでてきますね、
あれ人間だと思うんですよね。
あれは妖怪…
千原 京都にしずかっていう喫茶店があるんですよ
入ると猫の匂いするんだよ。
入ると腰曲がったおばあさんがでてきて
ごとう 猫ばあさん(笑)
私も人間じゃないかもしれない…気をつけてくださいね。
一同 (笑)
--- 作品をレイアウトするときにどういう順番にして、どういうことを大事にして並べましたか
ごとう 展示の準備は3人位に手伝ってもらったんですけど、
実は私はパニクってて一回真っ白になりました(笑)
その後あんたしっかりしなさいって言われて、だんだんとこうなりましたね。アートディレクションしてスタイリングもして、ヘアメイクとかも原案考えて。ビジュアル撮影とかポスターとかもざっくりやらせてもらってまして、
それ全部一番見て欲しいですね。
どの仕事をする時でも大事にしていたことは、ここは人生の舞台だなと思ってました。
空間自体を表現するというか、2次元に収まらないけど、3次元でもない。
でんぱ組のりさちゃんが良くいっている2.5次元のような、そういうところを往来できていたかなって。夢と現実の間の舞台ですね。
千原 こう見ると沢山あるよね。傘とかもあるし。
ごとう この空間でも足りなかったですね。
---イラストの道に進もうと思ったきっかけはなんでしょう?
ごとう 幼稚園ぐらいの時に父の高いボールペンで
トイレの壁に落書きしてたんです。
あとそれでトイレの壁に穴を掘ってました。
画鋲のアナから始まったんですけど、
壁の向こう側にある洗濯機を見るために開通したくて。
トイレ入るたびに「いつまで掘れば穴の先が見えるかな」って。
でも途中でお母さんに気づかれて、「あんた戻しなさい」って怒られました。
そこから紙貼って補正したんですけど、それが始まりかもしれないですね。
すごく楽しかった。(笑)
千原 僕もトイレの壁に穴掘ってたけど、僕は掘ってたやつなんも言われなかったんだよね。
ごとう 私カレンダーの裏に隠して掘ってたんですよ。だからバレちゃった時怒られたのかな。
千原 ぼくはわりと見えるところを掘ってたな(笑)
掘り始めたら掘り続けなきゃいけなかった。
ごとう あとは窓ガラスに落書きしたり。「お空に絵が書けた!」って叫んでました。あとはいたずらするのとか好きでそれで始まったかもしれないですね。人を驚かせたかった。
「やめてっ!」って言われるのが好きでした。
千原 「いたずら」ってキーワードはいいかもね。
-- あの油絵はいつ描いたものですか?
ごとう 大学の時ですね、木村タカヒロさんってイラストレーターがいらっしゃるんですけどこの人の絵がすごい好きで、会いたいなと思って。
何枚か見せにいくぞと描いて、その執念からこの形になりましたね。
誰かに出逢いたいから絵を描いているのかもしれないですね。
千原 これ割と初期のやつだよね。
いいですよね、なんかこうイラストレーションというかアートというかね。
ごとう でもこの絵で食べていくのは厳しいなと大学の時に気づきました。これなにに使うのって、意味無いじゃんと思いました。
千原 よく気づいたね。(笑)
ごとう そうですね。ただ無性に描いていて、
なんでそう思ったのか知りたくて
千原さんのところにインターンで行ったと思います。
でも今は結局自分の絵を描き出してしまって、戻っていますね。
-- これからの野望は?
ごとう いろんなこととごちゃ混ぜにしたいです。
絵を書くのと、料理を一緒にするっていう構想があって。
パンに霧吹きして室温高いとこに置いとくとカビ生えるんですけど、
それをうまく、水分をどこに落とすのかとか研究しながら描くアート。
千原 なるほどね。
ごとう あとは顕微鏡で人には見えないほんとうに小さい絵を
ガラス板に入れて展示して、
顕微鏡で見るとか、ピント調節で映像ができるとか。
やりたいと思っています。
けどやりたいって言ってるだけで、つまんないだろうなって。(笑)
千原 人はそう見るかもしれないけど、それは作業的には楽しいでしょ。
ごとう 自己満足かなって。
千原 でも個展自体も自己満足だからね。
なんとかそれをうまくやっっていたほうがいいんじゃない?
なんか、顕微鏡の世界とかいいと思う。
白衣とか来て、絵を描くの。実験していけば?
ごとう 白衣好きです!
あ、変態的な意味じゃなくて笑
一同 (笑)