悲痛の詩

「心がひとつでもなくならないように」

雨が降りつづく旅の出口で
心がひとつ、狂ってしまった
砂色のコートを纏ったまんま
笑顔がひとつ、死んでしまった

「心がひとつでもなくならないように」

彼女は優しい馬鹿のまま
脳みそひとつ、抱えている
身体にあわない服を着て
命をひとつ、生かしつづける

「心をなくしても声がのこった
 声は語ることをやめなかった」

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