洋食屋と無職 #49
近所に美味しい洋食屋があるというので、ランチを食べに行ってみた。外観は、日本建築の古民家のような感じで、本当に洋食屋かなと思いながら入ったのだけれど、BGMとしてかかっているクラシック音楽と、芳醇なデミグラスソースの香りで、洋食屋なのだろうとの確信を強めた。
メニューには、エビフライ、ハンバーグ、カツレツと魅力的な料理だが並んでいたが、結局、ポークジンジャーを頼むことにした。
洋食文化の多くは明治期以降に入ってきたという。明治維新からのわずか約150年の間で、日本の社会と料理人たちは、その文化を受容し、独自の洋食文化を発展させてきた。日本国民の、何かを模倣して、それを自らの社会・文化に適応させて受容していく能力は、本当にすごいものだと思っている。僕自身3年間、海外で暮らしていたが、日本国民の模倣力は決して当たり前にできることではないと思う。
もちろん、そこには、誰かから模倣してばかりとか、ゼロからイチを創り出すことはできないとか、いろいろな見方があることは知っているけど、広い世界に、模倣が得意で独自の文化を生み出す国民が1億人ほどいたって許されるのではないかと思っている。
150年の歴史が詰まったポークジンジャーは、とてもおいしく、味わい深いものであった。