6.5周年を迎えるシンフォギアXD、そのコスト削減の軌跡
戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITEDは今年12月26日に6.5周年を迎えます。
GXのライブ現場でリリース開始のアナウンスを聞いてから、思えば長い付き合いなわけですが、これ以外だと『ロックマンXover』くらいしかソシャゲを遊んだことが無く、長さに対する凄さがよく分からなかったりします。
長く続いたって話だと、じゃあこのアプリのいいところを挙げてこれが長く続いた秘訣です!みたいな流れになるかもしれないんですが、そういう明るい話はしません。
もっとつまらない話をしましょう。
ソシャゲは利益さえ出ていれば永遠に続けられるものだと聞いています。
でも続けていけば売上げはどんどん減っていくのが普通です。そこで利益を確保するのに何をしたらいいかといえば、そう、コスト削減ですね。
というわけで本記事ではシンフォギアXDのコスト削減の軌跡について話したいと思います。
長く続いたソシャゲが奇麗な歴史ばかりなわけがないんだ、悔しいだろうが仕方ないんだ、そういった気分になって本記事を読んでいただけたらと思います。
1.ゆるゆる監視体制
コスト削減――今までコストをかけていたものを削っていく――という話をする前に、そもそものアプリとしての作りについて話しておきます。
シンフォギアXDはチートやマクロといった不正への対策がほぼありません。全くないわけではないと思いますが、かなりゆるゆるです。PvPでは他プレイヤーの目があるため今はまず見かけませんが、高難易度クエストなどではチートプレイヤーは普通に存在しています。
詳しいことは門外漢なのですが、このアプリはバトル前後にしかサーバーと通信せず、バトル結果しかサーバーに送らないため、バレずにバトル中にデータを弄る(例:攻撃力∞)ことができるようです。
実際、高難易度クエストでハイスコアを叩き出した他人のクリアパーティを見られるときがあったのですが、最低レアだけといった弱小パーティがカンストスコアを叩き出しているという異様な光景が見られました。当時このクエストを特定カード(例:無敵付与スキルを持ったカード)抜きでノーダメクリアするのは不可能でしたので、間違いなく不正です。さすがにそこまで露骨だと随時運営に消されていましたが、少し強くした(それでもノーダメクリアは絶対不可能な)パーティが残っていました。そもそも即弾けない時点で不正を検知する仕組みが実装されていないのだろうというのが自分の考えです。
で、まあ、こういう監視体制が無いってことは、サーバーとかに負担がかからないんで、ベースの運営コストが低くて済むんじゃないんでしょうか。節約術とかでもよく言うじゃないですか、家賃や携帯代みたいな固定費を真っ先に削れって。そういう元々の作りの安さが、長く続いた秘訣のひとつだと思います。
2.イベント関連
(1)新規シナリオの減少
表をご覧ください。表の数字は各年の左側が新規シナリオの実装数で、右が各イベントのチャプター数の合計になります。復刻やメモリアクエストのようなイベントはカウントしていません。
指標としているものが実装数とチャプター数であるため、実際の面白さに直結するわけではないことはご理解ください。
2017~2018年は月半ばにもストーリー付きのイベントがあったのですが、それ以降はかなり減りました。あるのはコラボイベントくらいですね。
2019年が実装数と比較してチャプター数が多いのは、XDクエスト第1章が全50チャプターあり、またショートシナリオのイベントが無かったためです。
2021年以降、特にXDクエスト第3章から、同月中に新規シナリオが2本以上実装されにくくなくなったため、実装数・チャプター数が大幅に減少しています。
(2)イベントイラストの減少
表をご覧ください(2回目)。差分は除いています。
まあとにかく減っています。XDクエストにすら付いてないときがあるのでとにかく工数削減があったのだなあと感じられます。
イベントイラストには3種類あって、ひとつはメモリアカードとして再利用されるもの。こちらはリリース当初は配布されていましたが2年目を境に配布されなくなり、一回ガチャ産になってから、6年目からは有償ガチャから出てくるようになりました。メモリア化される関係で構図が縦長なのが特徴です。
2つ目は普通のイベントイラスト。再利用されないので構図が横長です。
3つ目は立ち絵やシンフォギアカードイラストを組み合わせたもの。水増しですね。
個人的に2つ目のようなものがあると演出面で嬉しいのですが。
(3)必殺技ムービーの挿入
XDのイベントの流れとして、物語終盤に新規カードの必殺技ムービーを挿入してラスボスを撃破、というものがあります。販促でもあるんでしょうが、基本ADV形式ですのでイベント中に動きがあった方が楽しいですね。
で、基本的にすべてのシナリオ付きイベントには新規カードが3枚あります。しかし必殺技ムービーを挿入するのはだいたい1イベントに付き1回きりです。他のカードのムービーには出番がありません。
555コラボで序盤に913響、中盤に333翼、最後に555奏の必殺技ムービーを流したのは希少も希少で、特に配布カードの必殺技ムービーを流したのは力の入ったコラボイベントと、主役が配布だった『呪い照らすヒカリ』くらいです。
各イベントは新規ガチャ産カードが必ず2枚以上あるんだから沢山流せばいいじゃん、と自分は思っているのですが、工数が厳しいのか実現しません。
なお最も多かったのはリリース開始直後の『3.5』における新規カード6枚分でした。
(4)敵ボス必殺技ムービーの削減
装者たちと同じように各イベントのラスボスにも必殺技がありますが、一時期からムービーを付けないようになりました。
1イベントの使い切りとはいえ、イベントの敵は弱いので見ずに倒してしまうこともままあり、イベントシナリオ中に挿入されるといった有効活用されることもなく、静かに消えていきました。
なお一番最後に必殺技ムービーを用意された敵は、聖闘士星矢コラボイベ(2021/3/31開催)のギャラクシアンエクスプロージョン(ボイス無し)です。
(5)新規楽曲の減少
シンフォギアといえばキャラクターソングですが、新曲のリリースは間が空くようになりました。
なおインスト曲とはメックヴァラヌスの『Girls Take off!!』とアナザー響の『オルタネーターフルドライブ』(ともに2019年実装)です。
コラボイベントで主題歌もしくは劇半を流すのも、聖闘士星矢コラボ以降やっていません。
(6)素材の使いまわし
そのほか色替えエネミーや流用背景が目立って、新しいものがあまり出てこなくなったりしています。これはデータを取っておらず、体感になります。
3.キャラクター関係
(1)ボイス格差
シンフォギアXDにおいてはプレイアブルキャラクターが30人実装されています(Another除く)が、ことボイスについては実装量に差があります。
各カードは使い続けていくとポイントがたまり、これが最大になるとボイスが解放されるという仕様があります(極ボイスと言います)。
この極ボイスは基本的に撮りおろしとなっていますが、下記キャラクターの極みボイスについては、システムボイスや掛け声を流用・切り貼りしたものになっています。
(2)お誕生日
キャラクターの誕生日においてもコスト削減の変化があります。
アプリ内においてはバースデーメモリアカードの他に楽曲追加や新カードの実装がされ、これは今現在においても続けられていますが、アプリ外においてはその限りではありません。
奏を例に取りますと、
リリースから2020年7月28日まで……公式サイトで書き下ろし漫画
2021年7月28日……書き下ろしイラスト(カード等への流用なし)
2022年7月28日以降……無し
と変化しています。
4.おわりに
コスト削減で言えることはだいたい以上になります。
当然のことながら自分は開発の人間でも業界の人間でもない、一介のプレイヤーに過ぎませんので、企業内部での人員削減などについては知る由もありません。あくまで遊んでいる中で目に付いたものを列挙しているだけになります。
また色々挙げてきましたが、上記の要素について力を入れればよいのかというと、それも何とも言えません。結局のところ、これらに力を入れなくても大局には影響ないと運営が判断したわけですから、それは尊重すべきことなのだと思います。
これ以外にも、緊急出動・リミテッドアリーナ・超高難易度ヘキサクエストといった終了したコンテンツ、レインボーガチャやマルチバトルガチャといったどちらかというと売上げを伸ばす方向の施策、シナリオ中の簡易エフェクトムービーの挿入といったその後続かなかった新たな試み等々、話題は尽きませんが本稿の趣旨から外れると思われるものについては挙げていません。ご了承ください。
というわけで読んでいただきありがとうございました。6.5年続いたソシャゲの歩みを少しでも肌で感じられたらうれしいです。
それでは新プロジェクトを楽しみにしましょう。