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明けない夜に潜む、暴力性から目をそらさずに【ランニング日記12/28(月)〜1/1(金)】

12/28(月)

冬休みである。

こどもたちの冬休みが元気に始まった。会社員をやめてから、曜日感覚やら季節感覚やらは全て、こどもたちのスケジュールでなんとなくつかんでいる。

すなわち、こどもたちが冬休みということは、私も一気に休みモードなのである。

つまりそう、走りたくない。

むすめは学童、息子は朝から塾だけれど、なんせいつもの学校がある日のように、朝早くに起きる必要はない。ずいぶんゆっくりで大丈夫なのだ。保育園の頃と同じようなものだけれど、小学校の生活にすっかり慣れた身としては、それでももうずいぶんゆっくりできるように感じられる。

学童はお弁当がいるとはいえ、それを作る時間を考えてもなお、いつもよりもゆっくりと起きられる。最高である。

とか考えていたら、もちろんいつもよりゆっくりに目が覚めた。

まあそれでも、うしろに急がなきゃいけない予定がない、というのは少し気持ちが楽だ。走ることで自分のペースをつかむのだ。仕方がない。走る。

暗い時間に出て、夜が明けていくのを体感するのをここのところ少し楽しみにしていたけれど、そうは言ってもやっぱり、明け始めた空の下、外に出るのはやっぱり気が楽だ。そんなもんだ。

今日は走ると早めに身体があたたまってきた。そんなに気温も高くなかったのかもしれない。それでも、気温が下がってからぐっとペースが早まった。10キロを5分42秒。まったくもってへなちょこだけれど、私にとっては悪くないペース。季節は夏が好きだけれど、ことランニングにとっては冬がやっぱり最高だ。

12/29(火)

今日からむすめの学童も休み。さらにゆっくりと目が覚める。いつもよりも一時間くらい遅く外に出る。空はすっかり明るくなっている。久々にこんなに明るい中を走ると、なんかちょっとこっぱずかしいことにきづく。人もいつもよりずいぶん多くてそわそわする。もうすっかり、薄暗い中を走るのに慣れてしまったみたいだ。

それでも明るい中でテンションが上がったのか、5キロを昨日よりさらに良いペースで走り終える。冬はやっぱりタイムが良くなる。距離ももう少し伸ばしていきたい。明日は少し長めに走ろうかな。

12/30(水)

長めに走ろうかとか言いながら、走りませんでした。昨日バタバタで原稿を仕上げ、すっかり休日モードになってしまった。でもやりたいことはまだまだある。noteも1本書きたいのだけれど。

12/31(木)

昨日サボってしまったので、今朝は走る。5キロでいいか、と思いながらなんとか7キロ。

走る前にハンドクリームを腕まで塗ったからか、Apple Watchにすぐロックがかかる。(腕につけていないものと認識されてしまう。)何度も手袋を外してロックを解除するのも面倒で(寒いし)、もうタイムを確認せずに走る。

少し手袋を外しただけでちょっと痛いくらいに寒い。いつもよりも1時間くらい遅い時間に出て、あたりはすっかり明るくなっているけれど、それでも寒い。

でもそれくらいがやっぱり走るには良いらしく、ペースを確認せずに走ったけれども終わってみればなかなか良いタイムで走り終えていた。寒さはランニングの味方である。

大晦日とか、お正月とか、休みたい時にこそ走る、というのをなんとなく大事にしていたいのだけれど、そうは言っても私もすっかり休みモードで、こうなると明日走れるかはちょっと定かではない。と、弱気モードになっている。5キロだけでも走っておきたいけれど。今日走るのもちょっとした気合が必要だった。(いやまあ、毎日気合は必要だけど。)

さて今日で2020年ランニング納め。12月は174.8キロを走り、2020年は1914キロを走ったそうだ。2019年は1587キロ、2018年は1747キロだったので、今年はずいぶん、まじめに走った一年だったと思う。

走り始めるようになって、「自分のペース」で動くことの大切さみたいなものを、身にしみて感じるようになった。走ることは、私の足と、意思だけでできることだ。誰かに言われたわけじゃなくて、自分で決めたことだ。今みたいに、組織に属さず、フリーでやっている自分にとって、自分が決めた距離を毎日走る、というのは、思った以上に大切なことだったな、と思う。

なにはともあれ、今年も大きな怪我をすることなく走ることができた。それがなによりだ。いろんなことがあった一年だったけれど、とにかく世界がどんな状況でも、同じように走り続けた、そこから見えてきたものが少しはあったような気がしている。

来年も、健康に、楽しく、走り続けられますように。

1/1(金)

いつもより随分ゆっくり起きて(なんせ私一人で年越ししたのだ。みんな起きるー!と、張り切りながらしっかり寝落ちしていた。毎年のことである。)、ゆっくりお雑煮を作り、朝からおせちと日本酒をいただき、平和なお正月である。

朝から晩まで家族四人で桃鉄10年決戦をした。私はゲームをほとんどやらないのだけれど(もちろん息子はめっちゃやる)、この「お正月の桃鉄」というのだけは別だ。お正月に帰省するたび、妹たちとやっていたのだけれど、この度めでたく、自宅用のSwitch版を手に入れた。

今年も、手堅く、臆病に、コツコツ進めた結果、ボンビラス星に誘われたりしつつも終わってみれば最下位は免れて3位だった。だいたいいつもこんな感じである。1位にはならないが、最下位は免れる。大きな挑戦もせず、特にラッキーなことも起こらない。地味で面白みがない。これが私の桃鉄の進め方である。

さて、いつもは食べない朝ごはんをしっかり食べ、朝から晩まで日本酒を飲み続け(お正月に飲む日本酒ってなんでこんなおいしいんだろうね)、しかし私のモットーは「どんな時もできるだけ『いつも通り』を心がける」なので、はあ…走るか…、と、暗くなり始めてからようやく重い腰をあげる。

夜に走ることは滅多にない。去年も多分、夜に走ったのはこの年末年始のイレギュラーな日々だけだったと思う。

いつもと違う景色を走るのは、それはそれで、新鮮で楽しい。すれ違う人たちの顔ぶれも随分違う。それでもお正月から走るのだから、みんなやっぱり少しだけ、物好きなのだと思うけれど。

夜なのでもちろん、暗闇を抜けることはない。暗闇は、いつまでも暗闇だ。(それにしても夜明け前よりも夜の方が明るいのだから、都会というところは不思議だ。)

走っていればいつか夜は明ける、ということに慣れ始めていた私は、この「いつまでも夜だ」という感覚が少し不思議に思える。ずっと、明けない夜の中、仕事したり飲みに行ったりするのが当たり前の生活だったのに。それはもう随分昔のことにすら思える。

明けない夜の中を走りながら、目に見えない「暴力性」みたいなもののことに思いが巡る。

2020年、たくさんの「炎上」を目にした。(2021年の目標の一つに「炎上しない」も入れとこう。)私がいつも何より怖いと思うのは、発信者の言葉よりも、火を注ぐ人たちの暴力性だ。正義と信じるものをかざしながら、それを隠れ蓑にするように、自らの暴力性をあらわにするその姿だ。それが、誰かを追い詰めてしまうことに全く気づかない、その鈍感さだ。

そして私は思う、やっぱり何より怖いのは、きっと私の内にもあるだろうそういった暴力性であり、知らず知らずのうちに誰かを傷つけ損ない続けることだ、と。それは自らが傷つき、損なわれることよりもずっと怖い。

例えば今のところ、子どもたちは私よりも圧倒的に力が弱い。物理的にも経済的にも、圧倒的に弱い。そういった中ではおそらく、私はいとも簡単に、たやすく、このまだ弱い立場の子どもたちを傷つけることができるはずだ。ちょっとした言葉の端に、表情に、そういったものは潜むのだと思う。

こどもたちにとって、そして相対的に弱さを抱える人たちにとって、夜はきっと明けない夜だ。明けることをまだ知らない、そういった人たちがきっとたくさんいる。

だけど夜はいつか明けることを体感してきた人は(つまり広い意味で言えばそれは「大人」ということになると思う)、自らのもつ暴力性にしっかり向き合って、できる限りそれを大切な人に向けないように(それでもゼロというのは無理なのだ、と私は思う。誰もが、そういう弱さを持っている。)、しっかり向き合い続けていかなきゃいけない、と思う。

自分が弱った時にきっと、暴力性というのは外に解放される。だから、いやなことがあった時は、走ろう。と、夜の中を走りながら私は改めて思う。それを外にむき出しにするのではなく、自分の足でこの夜の中を走り、少しだけ自らの身体を傷め、そうして闇と向き合っていこう、と。

どんなものにも100パーセントというものはない。どれだけ走っても私の体重は減らないし(本当に減らない)、一日に一回は…いや一回どころじゃなく…こどもたちにも夫にもイラッとする。でも生きているのだから、そういう負なるものはいつだって抱えていかなきゃいけない。それとしっかり向き合い続けながら、自分のペースで、今年もコツコツと、走り続けようと思う。

速く走ることは、私はきっと一生できない。これ以上ペースが格段に上がることはもうきっとない。それでも、毎日走り続けることはできるはずだ。天才じゃない私は、桃鉄すら地味にしか進まない私は、そうして自分にできる範囲で、コツコツ積み上げていくものがきっと必要なのだ。

今年も、冴えないタイムで、寒いだの暑いだの眠いだのぼやきながら、苦痛に顔を歪めながら、それでもコツコツと走っていこうと思います。

いつも読んでくれるみなさんありがとうございます。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

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虫明 麻衣(Mai Mushiake)
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