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新しいシューズ、ズームフライ3で走る 【ランニング日記 1/6(月)〜1/10(金)】

1/6(月)

サングラスを忘れた。本当に、こんなに簡単な装備ですらわたしは忘れる。2キロ時点くらいでようやく忘れたことに気づく。今年もいろいろ抜けている。

年始にオットが買ってくれた(めずらしい。)新しいシューズ、「ズームフライ3」で走る。気持ちの問題かと思いもしたけれどやはりちがう、断然走りやすい。

駅伝の選手たちがみんなナイキを履いてるのをみて、「道具」でこれだけタイムが速くなってしまうのってどうなんだ、いいのかそれで、と、思ったけれど、いやそれはちがうよな、と思い至る。

私が前身のズームフライをはじめて履いた時、「特に速く走れるわけでもないな」と最初は思った。けどそれは、「道具を変えるだけで速く走れる力すら、わたしは持っていなかった」ということだ。道具を変えて速く走れるようになるには、そこまでにもそれなりの訓練が必要だ。履きこなす、付き合っていける、力みたいなもの。

タイムはひさびさに良かった、明らかに、靴を変えたおかげだ。だけど身体はいつも以上に疲れていた。その靴を履いて、実際に走ったのは、私だからだ。靴が、勝手に走るわけじゃない。

ただまぁ私の場合は、もちろんアスリートではないので速く走ることだけが目標ではない。だから「いつも速く走れる靴」が必要というわけではないけれど、そうは言っても数字が良くなるともちろん嬉しい。頼りになる新しい相棒と、今年もまたコツコツ走り、走れる身体、を作っていきたい。

1/7(火)

「ああ今日も今日とて走りたくない」と言うと、「でもママ今日、5キロの日でしょ?」と息子が言う。私のペースと心境をよくわかっている。

走り始め、気づいたら一瞬だけ5分を切るペースを叩き出していた。ゆっくり走るときなんて6分の私だ。速くて5分30秒台。4分台はまじでありえない。

どれもこれもズームフライ3を履いたのと、あとはとにかく寒い、ということに尽きる。寒いととにかく足を前に進めたくなる。その中でズームフライに乗って、何も考えず走ると、まじでスピートが出る。これ、一瞬すごいと思うのだが、そうではない。これは罠である。

昨日も確認した通り、走るのはズームフライではなく、私だ。よって、疲れるのも、ズームフライではなく、私だ。

案の定、たった1.5キロを過ぎたあたりでどっと疲れる。タイムはぐんぐん落ちる。結局、4〜5キロを走るときが一番遅いという、尻すぼみもいいところなタイムで終える。

「スピードが出てしまう」ときは、走り始めはぐっとこらえるのも大事なのだ。と、いうのは、まだランニングを始めて1か月くらいのちょう初期の頃に学んだことのような気がするのだけど、人っていうのは(というか私という人間は)なかなか成長しない。

1/8(水)

朝起きたら雨が降っていた。「雨だ!走れない!」と、いうのは、ショックというよりはむしろホッとする心境に近い。なんといっても、私は毎日毎日心底走りたくないのだ。毎朝毎朝走らなくて良い理由を探している。

ところがむすめを保育園に送っていく時間に雨は上がっていた。はあ、結局今日も走らなくちゃいけない。

あまりの寒さに、真冬用のジャケットに着替える。いつもは、ペラッペラのノースフェイスのウインドブレーカーなのだ。でも今日は、あたたかめのアディダスステラのジャケットにする。これがなかなかうまくいった。どちらにしても2キロを超えてたくらいで腕を捲るくらいに暑くなるのだけれど、それでも気温自体は低いから体温調整がうまくいった、気がする。

で、だいたい新しい靴の魔法というのは二日で消える。そう、新しい靴で速く走れる!と、思っても、三日目には慣れて普通のタイムに戻る。シンデレラの魔法は0時に解けるのだ。

新しい企画のタイトルを走りながら考える。コピーとかタイトルみたいなのは、走りながらとか、サウナでとといながらとか考えると、わりかしよく出てくる気がする。まあ、走っているうちに忘れるのだけど。(だめじゃん。)

冬休みが終わり、今日から息子は学校。いつも走り終えて家に帰ると息子がいたのに、今日はいない。あれだけ一人にならないと仕事進まない!と、思っていたのに、いないといないでちょっとさみしいものだ。

1/9(木)

またサングラスを忘れた。と、思いながら走っていたら、道路の鏡に映った自分の姿で、帽子の上につけていることに気づいた。そういうところ、我ながら本当にびっくりする。

昨日、新しいシューズの魔法が解けたなと思ったわけだけれど、そうは言っても、結局、馴染むというか付き合い方に慣れるのに、1週間ちょっとはかかるのかもなあ、と、思う。

テンション高く5キロを走りきれるという感じでもない。でも、スタートでやたらスピードを出してしまうということももうない。だけどこの靴で、なんというか、フォームというほど大したものではないけれど、それでもどんな具合に足を踏み込むのか、みたいなちょっとした動きの加減をつかむのには、やっぱりそれなりに時間がかかるのだな、という気がする。ゆっくり仲良くなろう相棒、と、思う。

今日もまた迫り来る〆切りの仕事のことを考えていたら、5キロはまあすぐ終わった。(しんどいけど。)

でもそうして走ると可もなく不可もなくなタイムだったわけで、それなりに「速く走る」とか「ゆっくり気持ち良く走る」とか、何かしらのテーマみたいなものはあった方がメリハリは出るな、と、思ったりもする。

まあそうは言っても、「気負わず」というのが一番大切なことも、また事実。

1/10(金)

むすめを保育園に送るため外に出ると、あまりの寒さに心が折れそうになる。「無理、これ走るの無理、あーーーーーー走りたくないーーーーー」と言うと、むすめに「がんばらなきゃ!やれば!できる!」と、言われた。なんかヤクルトを応援する時みたいなノリだ。

昨日、それなりのテーマを持って走ろう、と、思ったばかりだったので、今日は「ゆっくり気持ち良く10キロ」と定める。まあ、気持ち良く、なんて到底無理なのだけど。

冬用のアディダスステラのジャケットで走る。やや暑い。そしてまた、走り始めの時点で、一瞬だけキロ5分ペースを切ってしまう。いかん、やっぱりまだシューズとの距離感をはかれていないのかもしれない。

当然そのあとペースを落とし、2キロ以降はいつものペース。今年の仕事や、プライベートの予定をあれこれ考えていると、なんだか楽しみになってきて、まあまあ、気持ち良く走れた。定めたテーマ通りといえば、テーマ通り。

しかし本当に毎日毎日、走るのはこんなにも億劫で、たまに走りたくなくてベッドから出られないみたいな日すらあって、こんなの続けてたら精神的に良くないんじゃないか、もはや仕事に行くのが嫌で仕方ないサラリーマンみたいじゃないか、と、思うのだけれど、今の所心身ともに至って健康なので、身体を動かすっていうのはまあ、どれだけ嫌でも精神を病む原因にはならないのだなあと、しみじみと思っている。いや、当たり前かもしれないけれども、実感として。

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虫明 麻衣(Mai Mushiake)
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