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【ランニング日記】奄美で雨に打たれながら走る。【※2012年※12/12(月)〜12/18(日)】
12/12(月)
久々に、仕事も模試の送迎もない週末。土曜日は星のや東京に泊まり、思いっきり本を読んで、そして思いっきり、寝た。もう、ものすごおおおおく、寝た。(そして日記はここで息絶えている。星のや東京ほんっっっとにすばらしかったので、また泊まりたい。)
12/13(火)
寒くなってきたからか、なんだか毎日まじめに走っている。私にとって真面目とはすなわち、週に40キロのペースで走ることである。ここのところ毎日8キロ走っている。これを5日間続ければ40キロである。まあ、週半ばから出張で走れなさそうなのだけれど…。でもとにかくまじめに走っていて、えらい。
12/14(水)
昨日は足のトレーニングでくたくたに疲れていたせいか(ビルエヴァンス似のトレーナーが作成したメニューが、鬼。)ソファで本を読んでいたらまたうとうとして、さっさと、寝た。めずらしく夫が早く(早くといっても22時過ぎだけど)帰ってきたので、息子のことはまかせて寝た。最近、学校の面談へ行ったり下校当番へ行ったりなんなら塾のお弁当を作ったり(!!)、積極的に色々とやってもらっている。なんと言っても、余裕がないのだ。私に。夫にも余裕がないのはわかるが、そうは言っても私にだって、ない。
そんなわけでしっかり寝て、しっかり寝坊して、でもまあ8キロは走れる時間だったので、走る。
走っていて久々に、ちょっと糖質不足の感じがある。なんせ、鬼メニューでカロリー消費した上に、カロリーもそれなりに気を使った。いや、体重が増えていましたからね…。でもおかげでまた少しずつ、減ってきた。まあ、鹿児島と奄美の出張でまた増えると思いますがそれは想定内である。
糖質不足だーと思うと、スピードもなかなか出ない。が、しばらく走っているうちに、だんだんとスピードにのってくる。糖質はちょっとたりてないにしても、しっかり脂肪があるのです。(ぐすん。)
しっかり走り、しっかり燃焼。明日は朝イチのフライトで出張だけど、向こうでもちょっとずつ走れるとよいな。
12/17(土)
奄美にきています。その前に泊まっていた鹿児島では走れなかったので、今日は朝から少しだけ走ることにする。奄美も沖縄と同じで夜明けが遅いので、6時に外に出るには心もとない。明るくなる7時頃を待って、外に出る。
ところが最初は小雨だった雨が、だんだん強まってくる。視界が悪い。とりあえず海が見えるところを目指したのだけれど、目の前の海は、グレーである。これじゃ湘南の海と変わらない。いったい自分がどこにいるのかわからなくなってくる。景色もまあ、「地方都市」といった感じだ。
ただ気温だけは少しだけあたたかくて、地図を見るために片手の手袋をはずしていてもまあまああたたかい。…と、思っていたのだけれど、雨が強くなるにつれて風も強くなってくる。もはやびしょぬれになった体が、全身で、冷える。さぶい。
吹き付ける雨を全身に受けながら、わたしはいったい奄美になにをしにやってきたのだ?という気持ちになってくる。一昨日は鹿児島ですてきな取材をすませ、それはそれは美味しいお魚を食べ、楽しい夜を過ごし、いやあなんてすてきな人生…と思っていたというのに、だいたい人生というのは、とんとんになっているのである。
2キロくらいで引き返し、ホテルを目指す。だいたい、ランニングというのは走り始めてしまったら最後、もう「ああ雨が強くなってきた」とか「風まできつくなってきた」とか思ったとしても、もう遅いのである。そのときにはもう歩みをすすめてしまっているわけで、そこで終了したくても「往路」分はきっちり走らなくちゃいけない。まあでもこれが人生である。最後の最後にでっかい水溜りをふんづけてナイキのシューズをびしょぬれにしながらもう一度思う。これが人生である。
でもまあ、旅先で走るというのはこんなにうまくいかないことだらけでも、悪いもんでは、ない。走るスピードで流れる景色というのは確実に、その土地を知る手助けになってくれるのだ。体を街に馴染ませていくというか。初めての土地はやっぱり、走って知るに限る、と思う。
まあ、最後は暴風雨でほとんど周りなんて見えなかったけれども。
12/18(日)
今日は日曜日である。すっかり忘れていたけれども日曜日である。日曜日だというのになんと私は走りました。えらい。えらすぎる。なにがなんでも日曜日になんて走りたくないのに。それなのになぜ走ったかというと、長々と奄美にいて今日ようやく仕事があるからです。ちょっとくらいなんというか平日モードにならなければならない。
朝はようやく日が差して、よしこれなら晴れた海が見られるかもな、と思いながら走りはじめる。昨日と同じルート、今日は少しだけ(少しだけだけれども)道を覚えているので、昨日みたいに手にiPhoneを握りしめて何度も地図を確認するということは、ない。ポケットに入れて、海を目指して走る。
橋に出ると今日もまたばかみたいに風が強い。奄美という島はなんというか自然の力がものすごく強い感じがある。初めて西表島に行って圧倒されたときの、あの感じに少し似ている。奄美には神道というのはほとんどなくて、基本的には自然崇拝だそうだ。その気持ちはとてもよくわかる。畏怖の念、というのを感じずにはいられないのだ、自然に対して。
とにかく風は豪快に吹くし、雨は力強く降る。山はどこまでも深く、そこ
に一歩入ったら二度と戻れない、という感じがする。実際に山にはハブがいるから、島の人も基本的には絶対に足を踏み入れないそうだ。そうして、自然が守られている。「陽気なビーチリゾート」というだけではない、力強さがここにはある。
だからもう、「どうか晴れてくれ」なんて思いは、だんだん抱かなくなっていく。何度も奄美に来ている中川正子さんも、「こういう天気が、まさに奄美って感じ」と、隣で笑う。「そういうものだ」という感覚は、大事なのだ。そこに、「訪れる人」であればなおさらに。
と、いうわけで、今日も走っていて晴れ間が見えたなと思った次の瞬間、またざっと雨が降り出し、私は昨日に引き続き、びしょぬれになった。仕方ないのである。そういうものだから。
でもそれでも、だとしても、旅でのランニングは楽しい。ランニングを続けていてほんとうに、唯一くらいの、良いことである。(あとはほとんどないと言ってもいい。)走っていると、だんだんその町の「かたち」みたいなものがわかってくる。私は方向音痴なので地図とかそういう意味での「形」を理解するわけではないけれど、なんとなく、体にしみてくるのだ、町が。そういう瞬間が、旅先で走っていて豊かな瞬間だ。
そうはいっても風は強いわ雨は降るわで、今日も5キロ弱だけさっと走る。まあでも、旅先ではそれで、じゅうぶんなのです。
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