【11/25日本シリーズ オリックス戦●】ほんとうに幸せな時間は、振り返ったときにあとからわかるもの
スーツの上からオリックスのユニフォームを着たお兄さんが、熱心にグラウンドを眺めていた。
先発の山﨑が三振を奪うたび、静かな、でも気持ちのこもった拍手を送り、攻撃の時には応援団の太鼓のリズムに合わせて手を叩く。
横顔が宮本くんに似てるな…とか思っていたら、立ち上がった姿を見て驚いた、それは「お兄さん」じゃなくて、学生さんだった。スーツだと思ったのは、制服だったのだ。
学生さんは、オリックス側に積み重なっていく点数を見ながら、ほんとうにうれしそうに手を叩いた。素直な喜びが、その手に詰まっていた。
普段は球場で出会うことのないパリーグのチームのファンの姿が、なぜかとても、印象に残る。だからだろうか、普段はそんなことほとんどないのに、「あちらの気持ち」と「こちらの気持ち」を、行ったりきたりする。いつもは裏と表に分かれている野球の、反対側の景色がやけに、鮮やかによく見える。
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