記録が途切れるリスクを背負ってもなお、走り続けたこと 【9/14横浜戦●】
シーズンも終盤。順位はほぼ見えている。CSの可能性はもうなくなった。試合は0-7と差が開いている(ええ…)。そんな時、あなたならなにをしますか。私は、「ネフタリ・ソト 年俸」とぐぐっていた。9500万円だそうです。コスパが良すぎる。
まあ、それは冗談ですが(ぐぐったけど)、それくらいにはもう、遠い目にもなる試合であった。
「シーズンも終盤。順位はほぼ見えている。CSの可能性はもうなくなった」という試合において、それでもなお、打ち込まれると悲しくなるこの気持ちとは一体なんなんだろう。もう来年のファンクラブも入らない!と言いたくもなるこの気持ちは一体なんなんだろう。入るけど。
優勝という目標も、CSという目標もなくなった。それでも試合はやってくる。目の前に試合があるのなら、やっぱり一つでも勝ってほしいと願う。好きになるというのは不思議な気持ちだ。
それでもどうしても、優勝争いやCSをかけたチームとは、集中力に差が出てしまうかもしれない。そんなのってないよ、それでも見ている人はいるのだから、とは思うけれど、冷静になってみれば、人がいつもいかなる時でも一定の熱量を持ち続けることはそりゃまあ、不可能だ。優勝争いのチームとは差が出てきてしまっても当然なのだろう。
でもその中で、てっぱちは、走った。てっぱちが走るということは、今はもう、記録が途切れるリスクを背負うということになる。
てっぱちはここまで淡々と、記録を積み重ねてきた。いつしか日本記録を抜き、そこからは自分が持つ記録を更新し続けた。その記録を止めるのは今はもう、てっぱちだけだった。
走らなければ、記録は途切れない。でも走れば、更新できるかもしれない。
その中でてっぱちは走り、そして今日、38でその記録は止まった。
リクエスト判定に納得できなかったように、てっぱちはそこに立ちつくした。いつもは感情を見せないてっぱちが、不服そうな表情を見せた。
「シーズンも終盤。順位はほぼ見えている。CSの可能性はもうなくなった」というその状況で、てっぱちにとってその記録は、きっと一つのモチベーションなっていたのだろう。だからその悔しさは、想像に余りある。
でも私は思う。挑戦せずに後悔するなら、挑戦して後悔する方がずっといい。「失敗すれば記録が途切れる」という場面で、それでもなお、走り続けたてっぱちの勇気には、いつだってぐっときた。
いつでも同じ熱量を持ち続けることは難しい。この場面で、ヤクルトが優勝争いと同じような熱量で試合をすることも、記録が途切れたてっぱちが、同じ熱量で走り続けることも。でもそれでも、日々は続く。この試合は、その盗塁は、来年のチームに、そしてもしかすると新しい記録に、つながっていくかもしれない。盗塁を失敗したてっぱちが、9回表2アウトから打ったソロホームランだってきっと、また新しい記録につながっていくかもしれない。
負ける日も、てっぱちの記録が止まる日も、カツオさんが筒香に打たれる日も、もうやることもなくなってソトの年俸をぐぐる日も、そんな日だってもちろんあるわけだけれど、でもまあそれでも、なんだかんだで来年も(ファンクラブにだって入り)、応援していくのだろう。いつかその、目の前の悔しさが、何かにつながっていくのだと信じて。てっぱちはいつか、またその記録を塗り替えてくれるのだと信じて。