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【9/13中日戦●】カツオさんに勝ちをつけられるのは、チームのみんなだ

円陣の輪に加わるカツオさんを見て、解説の藤川球児さんは言った。「これは『まだ打席に立つぞ』という意思表示かもしれないですね。次に回ってきますから。まだ交代しないぞ、という強い意思があるのかもしれません」と。

前回の登板でもカツオさんは、ビハインドのまま交代することになって悔しそうな表情を浮かべていた。明らかにここ数年で一番すばらしい投球を、41歳のカツオさんは見せてくれている。それでも毎回毎回、どうしても点が取れない。ミスが重なり失点をゆるしてしまうこともある。でも何度も何度もカツオさんは、そこで投げ続けてくれている。

点を取られた直後も、味方がチャンスを生かせず得点できなかった直後も、ピンチを招いても。闘志はぐっと奥底にしまいながら、一球一球、ひたすらに、ていねいに。

みやさまは著書の中でカツオさんのことを、こう記している。

(カツオさんのピンチにマウンドへ行った際)「無理をして勝負する場面じゃないぞ」と声をかけても、返事は「腕は振れていますか?」だった。極限まで集中しているときには、マウンド上で会話が噛み合わないことも度々あった。あの小さな体で活躍を続けているのも、闘争心の強さがあるからだろう。
(宮本慎也『洞察力』)

カツオさんはそれをいつだって、全面には見せない。もちろん、チームメイトに激昂することもない。それでもだまってじっと、グラウンドを見つめ続ける。そして、自分が立ちたかった打席に代わりに立った内川さんに、大きく声援を送る。何かを振り切るかのようにも見える、自分に、言い聞かせるかのようにも、見える。

カツオさんを頑なに交代させるのは、それはそれでベンチの思いもあるのだろうと思う。なんと言っても、41歳の投手だ。何より大切にしたいのは、カツオさんが怪我をしないこと(そしてもちろん、チームが勝つこと)だ。少しの無理が、大きな怪我につながることだってある。それが一番、本人にもチームにもファンにも辛いことなのを、高津さんはきっと知っている。

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