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【5/24日ハム戦◯】田口の20球、そして高津監督vsビックボス
てっぱちが素早く、でも丁寧に、セカンドからファーストにボールを投げ、オスナが体を思いっきり伸ばして取る。ものすごいファインプレーで、アウトの判定が出たのを見届け、てっぱちは少し、ほっとしたような顔をした。
その映像とともに、9回裏、てっぱちは打席に立つ。背番号「1」を背負った後ろ姿と、遥海「pride」の登場曲と、その映像に映るてっぱちのファインプレーとそして表情に、私は、なぜか泣きたい気持ちになる。
初夏の神宮には、涼やかな風が吹く。それはいつも、何だか感慨と切なさを、運ぶのだ。
♢
今日も打てない、今日も打てない、という、あの神宮の空気を打ち破ったのは、若き19歳の内山くんだった。プロ初ホームランとなるそれは、大きな弧を描き、バックスクリーンに飛び込んだ。重い空気を変えるのは、若い力なのだ。
はにかみながらベンチに戻る内山くんを、パパみたいな青木がほんとうにうれしそうな笑顔で迎え入れた。
それまでさくさくと進んでいた試合の流れが、まず変わった瞬間だった。気づけば私は今日一度も席を立たず、ずっとここでじっと見ていることに気づいた。
♢
ピッチャーの集中力が切れる場面、というのはいくつかあると思う。ストライクだと思っためちゃくちゃ良い球が、ボール判定になったとき。打ち取ったと思った当たりが、アウトにできなかったとき。
だけど今日の田口はそのどれもで、集中力を切らさなかった。「無」でいきました。と、田口は言う。だけど集中するときの「無」は、ほんとうに、何よりも強いだろうと、そう思う。「打たれたらどうしよう」「押し出したらどうしよう」その不安はぜったいにぜったいに頭をよぎるはずだけれど、そんなものはとにかく頭から追い払ってしまう。邪心を捨てる。それが、集中力、というものだ。
3塁ベンチの上、一番上の座席には、一球ごとに叫ぶ田口の声が聞こえてきた。その気合は、ほんとうに「ただもの」じゃなかった。いつもオラオラしている田口だけれど、今日の気合と集中力は、ほんとうに、ほんとうに、格別だった。
あとそこからだと投球のたびに田口が気合で叫ぶのが聞こえてきて、もうほんとうに鳥肌が立った。マウンドではいっつもオラオラしてる田口だけど、それでも昨日の田口はもう、今まで見たことない田口だった。気合とあと集中力がぜんぜんちがった。すごかった。見てるだけで勝手に涙出てきた。
— 虫明 麻衣|mai mushiake (@hannarry) May 25, 2022
田口の集中力と気合は、こちらまで鋭く伝わってきた。それでもその集中力の中、田口はオスナへの気遣いを忘れなかった。
オスナがファールボール必死に追ったけど取れなかった時、田口が、オスナが戻ってくるのずっと待って、オスナと目があったときに頭下げたのもう、泣きそうになった。
— 虫明 麻衣|mai mushiake (@hannarry) May 24, 2022
でも私は思う。田口のあの一礼は、もちろんオスナのためでもあるけれど、同時に、自分のためなのだと。
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