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【5/12中日戦◯】3年ぶりの同期との観戦、ペダルが軽くなる瞬間のこと。

「野球って、こんな雨でも試合やるん!」と、言いながら、同期のあいくんは雨の中カッパを着て、一時間も前から神宮で待ってくれていた。

大阪から単身赴任で東京へ来ていた同期が大阪へ戻るというので、その前に久々に同期たちと神宮で観戦することにした。その同期がまだ大阪にいるとき、東京出張で来たタイミングで一緒に行った以来なので、もう三年ぶりくらいになる。

そのときはカープ戦で、ヤクルトは元気に負け、でも私は會澤が打ったファールボールをキャッチした。そしてあの日、大阪から来たけいちゃんは言ったのだ。「でもあんな野球に興味なかったまいちゃんがこんなに好きになったんやもんなあ。ヤクルトそのうち優勝してほしいなあ。」

まさかその二年後、ほんとうに優勝し、そして日本一になるなんて、その日の私は思ってもみなかった。

帰り道、たくさんのヤクルトファンとすれちがいながら、同期は言った。「そやけどヤクルトあんな負けたのに、ヤクルトのファンはみんな楽しそうな顔してるなあ。いい顔してるわ」
「ほんまやわ」と、私はまた笑う。まあ私も、負けたけど楽しかったしな、と思いながら。

2019年9月6日

「まいちゃんどれくらいヤクルトの試合観に行ってるん?」と聞かれ「でも今年は息子の塾とか忙しくてあんまりいけてないねん、週に一回か二回くらい」というと、「いや週一でも多いわ!!」と、みんなに笑われた。たしかに、そうか、私の中では随分少なかったけれど、普通に考えれば多いのだ。基本的に常識に欠けた人間なので、こういうことがしょっちゅう起こる。

せっかく、みんなでわいわい見るためにとったマイナビシートだったけれど、雨のおかげで机におつまみを広げることもできない。仕方がないのでひたすら、みんなでビールを飲んだ。最近ビールは一杯まで、と決めていたのだけれど、今日は特別だ。

前回は、良いお天気に恵まれたけれども、ヤクルトは広島にぼろ負けした。今日は、まったくもってお天気に恵まれず、野球観戦に慣れていない同期たちを、100均で買ったカッパで雨に打たれながら観戦させることになった。

なかなか、100%うまくはいかない。筋書きのないスポーツは、その試合がどんなものになるかはわからない。当然、「晴れた日の、勝つ試合」を選んで見に行くことなんてできない。だけどそれでも、同期たちは、一時間前から雨に打たれて待ち、そのあと大阪へ行かなきゃいけないのにぎりぎりまで一緒に観戦し、残ったメンバーは日付が変わるまで一緒に飲んでくれる。出会った16年くらい前からずっと、この人たちのいいところは変わらないなあ、と思う。みんなのさりげない優しさは、ずっと私の中に染み込んでいる。

仕事の話を聞きながら、変わっていくものと、変わらないものに思いを馳せる。さすがにあんな無茶な飲み方はしなくなったけれど(いや、似たようなものかもしれないけれども…)、たまにはこうして、ビール三杯飲んでウーロンハイとメガウーロンハイと最後に急にデザート代わりとか言いながらキュートなフローズンカクテル頼んじゃったりして(もちろん誰もなにも言わない)、静かに深く、飲む時間もある。最下位だったヤクルトは、日本一になる。思いも寄らないことは、たくさん、たくさん起こる。

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