ふにゃふにゃだった赤ちゃんを、こんなに生意気に育てただけでえらい、と、思いながら走る 【ランニング日記1/26（日）〜1/31（金）】

1/26（日）

二泊三日の広島旅に来ている。一応、ちゃんと仕事を兼ねている。一応。

旅が三日以上になる場合は、一応、ランウェアとシューズを持ってくるようにしている。一応。

普段、土日は走らないのだけれど、天気予報を見ると月曜は雨。旅行中に走るなら今日しかないと、起きてから気づき、走ることにする。

毎日毎日毎日、走りたくないと心の底から思っている私だけれど、旅先に来るとほんの少し、ああ走りたいな、という気持ちに、ならなくも、ない。それは私にとって少し、旅の楽しみのようになりつつも、なっていないことも、ない。

だいたいランニングシューズというのは、私のいつもぎゅうぎゅうに詰まったスーツケースで、えらく場所をとるのだ。持ってきたのに走らないのは、ちょっと損したみたいな気持ちにもなる。

平和公園までの道を、軽く走る。信号につかまりまくり、もどかしくなる。いつもは信号のない道を走るのだ。

それでも冬の空気と、いつもと違う景色が楽しくて、軽やかに走り終える。４キロだけだけど、この旅で摂取しまくっているカロリーを、少しは消費できただろうか。

広島にはいつも、何か新しいことをしよう、自分たちの力でそれを成し遂げよう、という気概であふれている気がする。平和公園の朗らかな空気を感じながら、前に進むちからの、その見えないエネルギーを思う。

戦争なんて、もう二度と起こりませんように。悲しい思いを二度と、しませんように。

1/28（火）

雨。旅行から帰りたてで、まだ疲れは残っている。家の片付けもやらなきゃいけない。「走らない理由」は、山のように思い浮かぶ。

…のだけれども、のろのろ準備し、先にtwitterのニュースを確認し、ジムで走ることにする。いた仕方ない、広島グルメ旅のお酒とごはんで摂取したカロリーを消費しなければ。

久々のジム、大好きな「旅猿」を見ながら走る。これも偶然、広島旅。まだまだ行きたいお店がたくさんある。5キロで終わろうか、と、思っていたところを7キロまで伸ばし、なんだかんだで10キロ。広島１日分くらいのカロリーは消費したかもしれない。いや、してないか。

地方はやっぱりおもしろいなあ、と思う。食にしても文化にしても、「洗練」がぎゅっとつまっている場所が（物理的な地域やスポット、というわけではなくて）、ぼんやり存在している。

今年もいろんな土地で走れたらいいな、と、なんとなく、思う。できればやっぱりジムじゃなくて、土を踏んで走りたいものだ。

1/29（水）

言い訳から書くと、気温が高かったのである。いや、言い訳ではないです。これは分析です。

つまり、今日は5キロの日だと、軽い気持ちで出たら、やたらしんどくて、ラップタイムはバラバラ、気持ちよさのかけらもない、一体なんなんだこれは、と、考えて気づいたことです。

昨日の寒さがうそみたいに、一月とは思えない暖かさ。いやこれは暖かさとは呼ばない、暑さだ。

ランニングの敵は、寒さよりも暑さだ。真夏の東京でのマラソンは普通に考えてまじでむりだと私は思う。プロならいけるんじゃないかと思いもしたけれど、プロどうこうの前に、人間としてむりだ。

まぁ色々並べ立てましたが、とにかくしんどいランだった。

あたたかくなって野球が始まる季節が来るのはこんなに待ち遠しいけれど、ことランニングにおいては辛い季節の始まりでもある。なかなか人生、なにもかもがうまくいくということは、ないものだ。

1/30（木）

ばかみたいにしんどい。ばかかと言いたい。言わないけど。

のっけからやや脇腹がいたい。2キロをすぎたあたりで痛みはなくなるけど、まだ2キロ地点かと思うと絶望的な気持ちになる。よく晴れ、富士山が見えるというのに、私はこんなにもしんどい。

タイムももちろん遅い。でもしんどい日はカロリーを消費するのかなんなのか、腹筋が鍛えられた感じがするのと、体重がやや減っていた。まぁ、体重とランニングはあまり関係ないけれど。

LCCに乗る予定があり、スーツケースの重さって、旅先どうやって測るんだ？抱えて体重を計り、差を計算すればいいのか…？などと考えながら走っていて、ふと、まだ寝返りも打てなかった赤ちゃんだった子どもたちを、抱っこしたまま体重計に乗って、その差で赤ちゃんの体重をはかったことを思い出した。

そういえば自分で体重計にも乗れないくらい、子どもたちはふにゃふにゃの赤ちゃんだった。落とせば壊れてしまう、私が目を離せば死んでしまう、そんな繊細であまりに小さくてそして尊いあの命を、ここまで生意気になるまで育てただけで、なんかわたし結構がんばったんじゃないか、という気持ちになる。

そして同時にまぁ、私にできたのは本当にそれくらいだったよな、と、思う。ばかみたいに痛い思いをして出産し、死なないように抱きかかえ、母乳を与えたこと。それが私にしかできなかった唯一のことかもしれない。もう子どもたちはたくましく、自分で朝ご飯のオムレツまで作ってくれる。

走るといろんなことを考える。だけどまぁ、今日はほんとうにしんどいな、いつもだけど。

1/31（金）

走ろうと外に出たら、自分がヤクルトのもこもこキャップをかぶっていることに気づいた。むすめを園に送って行く時にかぶっていて、そのままランニングに出てしまったのだ。あほである。

一旦家に帰り、ランニング用のキャップに取り替える。気を取り直してさあ走ろう！と、したところで、手袋を忘れてきたことに気づく。あほである。

再度取りに戻り、ようやく走り出す。つくづく、毎日道具をちゃんと持ってくる野球選手はえらい。

今日は5キロ。昨日までの気温がうそのように寒い。「暑くなると走るのはしんどいな」と思っていたけれど、寒いのは寒いで走り始めがつらい。まあやっぱり今日も、走るのはしんどい。

抱えている原稿の構成を考えながら走る。なんとなく、まとまりそうな気がしてくる。いつの間にか、タイムも少し早まっている。

出だしの調子が悪かったので、今日はこのまま遅いだろうな、と、思っていた。「一度落ちたタイムは戻らない」というのが、常なのだ。

でも今日は、たった5キロの間に、落ちたところから少しだけ、持ち直した。そうか、そういうこともあるのか、と、なんとなく思う。

今月もなんだかんだでギリギリ160キロを走りきった。2月は多分ちょっと減ってしまうので、走り貯めておきました。（そんなのあるかわからないけど）