【7/1阪神戦◯】シミノボの、100回目の正直
ドリカムの「何度でも」という歌が大好きだ。「10000回だめで、へとへとになっても、10001回目は来る」
ほんとうに、そのとおりだ、と思う。
99回、勝利を手にできなかった清水くんは、今日100回目の登板で初めての一勝を手にした。
その一勝を手にするまでに、99回分の登板があった。その中には、1イニングを投げきれず、途中でマウンドを降りる日もあった。悔しさが涙になってにじむ日だってあった。打たれた日があって、負けがついた試合があった。
だけどその99回諦めなかった人にだけ、100回目の正直はやってくるのだ。99回目で諦めなかった人にだけ。
たぶん、どんな成功にも近道なんてない。2年目からバンバンホームランを打っていた村上くんだって、スターてっぱちだって、簡単にその才能を手にしたわけじゃない。みんなに、見えない99回分の苦悩と努力がある。誰もがきっと、それは、同じだ。
清水くんは100回そこに立ち続けた。そして99回、勝ち星はつかなかった。先発で投げ続けたルーキーイヤーも、中継ぎに転向し、最優秀中継ぎ賞を獲得した翌年も。それでも、清水くんはとにかくそこに戻ってきた。何度も何度も、へこたれずにそこに立ち続けた。
いや、本当は、へこたれることだってきっとあったのだ、と思う。自信をなくす日だってあっただろうと思う。もどかしく思う日も、なんで自分だけって思う日も、もしかしたら誰かをうらやむ日だってあったかもしれない。人間なのだ、いろんな感情はうずまくに決まっている。
だけど清水くんはとにかくそこにいつだってそこに戻ってきた。前の残像を、打ち消すように。その記憶にトラウマに、負けないように。
自分自身に、前回の自分に、過去の自分に、負けないように。
続けること、はすごく大切だ。でもきっと、ただ続けるだけじゃだめなのだ。続けながら、向上しようとし続けること。だめだったときにしっかり向き合って、へこたれずにまた戻ってくること。清水くんを見ていると、何よりそれが大切なのだ、と思わされる。
清水くんが立つ場所は、一勝を勝ち取ることを目指す場所ではない。基本的には先発が作った試合を壊すことなく、次に渡す仕事だ。お立ち台に立つこともめったにない。それなのに、「失点は許されない」という、大きな大きな使命を担っている。
そのプレッシャーの中で、清水くんはときに何日も連続で投げ続ける。「僕はこういうポジションなのでなんとか踏ん張って今後もやっていきます」と、本人は言う。陽の当たることが決して多いとは言えない、でもとてもとても大切な場所で。
私はそういう仕事をする人がやっぱり、大好きなのだと思う。
年に10勝するチャンスがあるわけじゃない。だけど100回分の経験があれば、今日のように一勝を手にして、お立ち台に立つ日だってやってくる。
清水くんが手にした一勝と、そして初めて、うれしさでこらえた涙を見ながら、私もがんばろう、と、今日も思う。その「100回目の正直」が、いつ来るかはわからない。そこまでにはしんどいことも、負ける日も、もう投げ出したくなる日もきっとある。だけどなんとかふんばって、やっていこう、と。
そして一勝を手にしたあとも続く日々を、しっかり戦っていけるように、いつか来る最後まで、この一勝を胸に、またそのマウンドに立ち続けていけるように、まだまだ続く101回目にも、立ち向かっていこう、と。
おめでとう清水くん。そしていつもいつも、どんな日もそのマウンドを守ってくれて、守り続けてくれて、ありがとう。
101回目のマウンドがまた、良きものでありますように。
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