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炊く日

 昨日、友人と水炊き食べたいよねという話をしていた。いつもなら、食べたいなあ、で終わるのだけど、なんでか今回は食べたい食べたいが収まらず勢いそのままに作って食べた。

 家にあった食材で使えそうなのは鶏肉とネギのみ、少し物足りない気もするが、具材の少なさはネギを大胆に使用することでカバーしよう。あらかじめ昆布などの出汁を取って炊く方法もあるらしい(関西風?)が、今回は「水」炊きに拘る、具材を入れた鍋に水を入れて火にかけた。シンプルだからこそ手をかけてやろうという気になったので、いつもは見て見ぬふりするアクを丁寧に取ってじっくりと。
 

 二時間ほど煮込んだ。少し濁った黄金色に仕上がっている。味見の一口ではっきり分かる、くっきりと柔らかい旨味に一人感激しつつ、いそいそと茶碗にご飯をよそい、小皿にポン酢を注いだ。
 肉はホロッホロ、ネギはトロットロ、最高の仕上がりだ。味見の段階で分かっていたが、スープの旨味がとんでもない、一人用の鍋で作っていたので完飲してしまった。煮込んでいる最中にいくつかのサイトのレシピを見て、今回は具材が少ないから深みってやつが出ないかもしれないなんて生意気なことを考えていたが、そんな心配は無用だった。鶏とネギへの無礼を許してほしい。まあそれはそれとして今度はもっと真剣に向き合って食材を揃えたいとも思った。
 
 鶏にしろネギにしろ、そもそも美味しいものを扱っているんだから、僕に求められるのはそれらの美味しさを引き出す仕事なんだと思いだした。最近は手を変え品を変え飽きないように、なんていう考えが大きくなっていたけど、そもそも美味しい食材たち、飽きるとかそういう話ではなかったのだな。

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