DVから解放されても洗脳は続く
「愛し合っていた時期もある」は間違い
先に述べた通り、彼と縁が切れた時最初は喜び、次第に憎しみが出てきました。
そんな憎しみもやっと手にした自由な生活のもと、友人と飲み会をしたりしているうちになくなっていると思っていましたが、これは実際には違いました。
少し話が脱線しますが、彼に受けた5年間のDVというのは、具体的に交際期間1年とそれ以外の4年間です。
縁が切れた後、4年間はただひたすらにDVを受けていたと当時から認識していました。
しかし、交際していた1年間の中には実際にお互いが愛し合っていた時期もあったのではないかと信じていました。
これが誤りであり、最も危険な洗脳だと思います。
この洗脳が残っているがゆえに被害者はいつまでたっても真の意味で解放されません。
実際私も彼から言われた「一生俺に償って生きろ」「お前は幸せになってはいけない」という言葉がしばしば頭をよぎり、何か悪いことがあるたびに思い出していました。
被害者にとっては受け入れがたいことですが、おそらく加害者は一瞬たりともあなたのことを愛してはいません。
交際当初を深掘って考えていくうちに、そもそも彼は最初から私のことが好きではなかった=利用する目的で近づいてきた、と考えるほうが自然に思えてきました。
それには加害者自身の生い立ちが深く関係していると考えています。
加害者の家庭環境
彼は次男でしたが、両親はいつも兄にばかり気を配り、彼は両親から十分に愛されていないと感じているようでした。
付き合って間もない頃、ボロボロに怪我をしてボストンバッグを1つ抱えた彼が家にやってきました。
兄に自分のパソコンを壊されたことがきっかけで喧嘩になったそうですが、両親は自分の話には全く耳を貸さず彼を悪者扱いしたと言います。
DVをするような人の話を真に受けていいのかわかりませんが、少なくとも当時私の目からは彼が嘘をついているとは思えないほどの惨状でした。
彼が私のところへ家出してから1ヶ月間、家族から何も連絡を受けていませんでした。1ヶ月たった頃にやっと母親から「どこにいるの?」と電話がきました。まるで彼が家出をしたことに気づいていないようでした。
ここから推測するに、彼は「自分だけを愛してくれる」「家以外の場所を提供してくれる」という条件を満たす人を探していたのだと思います。
それが私だった、ただそれだけです。
しかしそれで私が納得するわけもないので、初対面の頃から猛烈に「好きだ、可愛い」と主張し、交際まで持っていき、彼の理想郷を作り上げたのです。
それを私に悟られまいと恋人を装った態度を示していたものの、私が何度も別れ話をしたり他の男と遊ぶ=愛情を彼にのみ注がないため、DVという手段へ移ったのだと思います。
この推測には多少被害妄想が入っていると思われるかもしれませんが、こうでもないとこの事実を私の脳では処理できません。
つまり彼は、自分の理想郷をつくり上げるために私という奴隷を捕まえたのです。
家庭環境が悪い、親から十分な愛情を受けていない、というのはDV加害者によく共通している特徴です。
彼が自分を愛したことはなかった、と認めるのは非常に辛いです。
私は彼を愛するように仕向けられていただけで、あの頃の好きという感情自体がすでに洗脳だった、と気づいた時は狂いそうになりましたが、それと同時にとてもすんなり腑に落ちたのです。
これが洗脳から抜け出す上で最も困難かつ大切なことです。
あなたはあなたです。彼のために生きてはいけません。自分のために生きましょう。
そのために、まずはこの事実と向き合いましょう。