無駄やくだらないのなかに
タイトルはペンキ画家 SHOGENさんのお話の中に出てくる言葉から引用しました。
大学職員時代、後輩から
「先生たちと話をできるようになるためにはどうしたらよいですか?」
「先生たちの信頼を得るにはどうしたらよいですか?」
という質問を受けたことがあった。
大学にはさまざまなタイプの先生方がいらっしゃる。それぞれに専門をもたれ、研究されていたり、教えることが得意な先生だったり。
事務職員をしているこちらとは思考回路が違ったり、大切にしていることも違う。
大学事務という仕事は、ルーティンの事務処理以外に、そんな先生たちと大学のさまざまなことについて、確認・協議して、教授会や会議体の承認を得て、意思決定までしていくような仕事。
事務側の企画・提案を事務だけで決定して遂行できることはほぼない。
だから、先生にこちらの話を聴いて耳を傾けていただく必要がある。
私が大学部門に初めて配属になった時に任された仕事は、総務課員として音楽学部の教授会の庶務をすることだった。
幼いころにピアノを習っていたくらいで、クラシックからジャズなどのいわゆる大学で学ぶ専門的な音楽についての知識なんてほとんどない。
加えて、私の前任者は病気で休んでいて引き継ぎもなく、上司も全く把握していないという状態。
そんななかで、学部の事業計画をたて、予算をくむという仕事について、学部長をサポートし、教授会で合意を得て、さらにそのうえの会議体を通す必要があった。
事務部のうえと学長からは予算を削減するようにいわれるが、それを学部にもっていくと、必要経費なのだと言われる。
必要経費が本当にこれだけかかるのか、そこにある数字の根拠も何もわからない。
人件費もどうして、その予算できているのかわからない。
そんな時、私がしたことは、
徹底して現場を見に行くこと
と
わからないことは詳しい
音楽関係の職員や若い先生に素直に聴いて
教えてもらうこと、知ること。
学部で行われる演奏会がどのように作られていて何にどれくらいお金がかかるのか。
外部講師への謝礼が大学の規定では安すぎると言われれば、通常はどうなのか調べる。
そのうえで、学部の先生方とお話をして、事務の上層部・学長と交渉する道筋を先生方と考えた。
また、事務側の提案に先生方の耳を傾けていただくために、先生が私と話をしてくださるために、なるべく、先生方の研究内容や専門を知ること、どんな授業をしているかを知ることに時間をさいた。
著書や論文に少し目を通してみたり、シラバスに目を通して、実際にこそっと授業を見に、音楽学部であれば、先生方のリサイタルにいくのだ。
それらは、ほぼ時間外のことだし、私が勝手にしていることだから、もちろん残業手当なんてつかない。
そんなことして、非効率的だし、自分の時間は減るし、なんになるんだろう、と思っていたまわりの職員や上司がたくさんいたと思う。
でも、私には先生たちと心で話をするのには、それが必要だった。
相手を自分なりに知ることが。
それはひらの職員から管理職になっても基本は変わらなかった。
管理職になれば当然、見えるものも変わり判断する観点も変わることもあったけれど、現場を知っていて、教員のもろもろを知っていて、話をする、判断していくのとそうでないのでは大きく異なるものがあった。
おかげさまで、ある一定の先生方との信頼関係は築けていたと思う。
最終的にOKがでなくても、話を聴くことはしてくださる先生が私には大勢いた。
だから、後輩からの質問への回答は
「相手を知ること。」
「先生が大切にしていることに自分が触れること。例えば、先生のご著書を読んで、演奏を聴いて、その感想をお伝えしてみること。」
だった。
でも、多くの職員はこういうことはしてなかったのではないかな、と思う。
もちろん、就業時間以外に仕事のことをしたくない、自分の時間が大事。
なんだと思う。
でも、仕事って、誰かと何かをするってそういうことなのかな?
と、今も私は思ってる。
もちろん、自分の時間は大事だし。
すべて仕事にそそぎなさい、ということではないのだけれど。
大学を退職しても、私にとって
「現場を知る」
「相手を知る」
「わからないこと、知らないことを学ぶ」
は何かをする時に私にはとても大切。
これから仕事・事業をしていくときに
と軽んじたくないところ。
もちろん、仕事だけでなく生活においても。
そうしてこそ、ともに豊かなものをつくれると思うから。
今は小さな私ひとりと家族に助けを得てしている会社だけれど、ひとりではできることにとても限りがあり、私がみている世界は多くの方と手を携えてこそ叶うと思っているから。
そこに「心がある」「心と心のつながり」
が大切だと思うから。
当たり前のことだけれど
それをいつもすること
できているか問うこと
私にとって大切なこと。
そして、究極、
こういうことが
私は好きで
よろこびでできる。
無駄やくだらないと
誰かに思われたとしても。
そして、大概
相手や現場を知れば
そこに程度の差はあれど
想いが生じる。
自分の仕事や職場なら尚更。
みなさまにとっても
大切なこと
よろこびでしてしまうこと
ありますよね。
当たり前なんだけど
そういうことを大切にしながら
仕事も生活も丁寧にしていけたら
いいですね。
よろしければ
みなさまの
「大切」「よろこび」
も教えてくださいね😊
Love,
Miho
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