舘山寺、天狗信仰、そしてゆるきゃん△
先日静岡県の浜松名物、「遠州のからっ風」と天狗信仰、そして当地の天狗信仰である秋葉信仰についての記事を投稿しました。風を支配する天狗の神秘的な力とからっ風、そしてからっ風が火事の被害をもたらす恐れと天狗の火防の神としての役割との関係など。全国的に見られる「天狗=火防の神」の構図には日本人ならではの思考回路や天狗信仰が受け継がれている地域の自然環境や気候が深くかかわっているようです。
以前の秋葉信仰についての記事はこちら↓
そんなわけで、今回も秋葉信仰がらみで浜松市にある舘山寺(かんざんじ)。正式名称は「秋葉山舘山寺」。浜名湖観光の中核エリアに位置しており、周辺には浜名湖名物のうなぎ屋さんが立ち並んでいることでも知られています。
曹洞宗の寺院で本尊は虚空蔵菩薩、810年に空海によって創建されたとの縁起を持っています。天狗信仰は明治の廃仏毀釈、神仏分離によって壊滅的なダメージを受けましたが、この寺院も1870年に一時期廃寺の憂き目に遭いました。その後1890年に再興。まったく明治政府は本当にロクでもないことしてくれましたねぇ。
神道サイドではもう往年の秋葉信仰の名残はほとんど残っていませんが、仏教サイドでは現在でも受け継がれており、舘山寺はその代表的なスポットといえるでしょう。秋葉山中にある秋葉山秋葉寺(秋葉寺)の末寺でもあります。秋葉信仰における天狗の正式名称は「三尺坊大権現」。もともとは周国(かねくに)という人物が厳しい修行の果てに天部の迦楼羅天(仏教版ガルーダ)に変化し、さらに白狐に飛び乗って秋葉山に飛来、その後この山を拠点としつつ各地を飛び回って人々を救済したのだとか。天狗とヒンドゥー神話のガルーダとの関係をうかがう意味でもなかなか興味深いエピソードですね。
お寺は「舘山」という小さな山(丘)に位置しており、全体が境内としています。その境内ではちょっとしたハイキング気分を楽しみながら仏像や史跡、さらには浜名湖を望む絶景を頼むことができます。
お寺のすぐ隣には秋葉信仰と並ぶ「火防の神」として信仰を集めた愛宕神社も。
ちなみにこの舘山寺周辺のエリアはアニメ・漫画「ゆるきゃん△」にも登場、かくいうわたくし、このアニメのファンなので聖地巡りも目的だったりして。