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<2009年 アメブロ編序幕②>

7月2日 歌舞伎座

こんばんは。
20代半ばのアナウンス学校時代。私は築地の料理屋さんでアルバイトをしていました。歌舞伎座が近く、観劇のお客様から注文があれば入り口までお弁当を届けていました。

そんな私が、初めて歌舞伎座の中へ入ることができたのは10年以上たった昨年9月でした。高級なイメージで敷居が高い。。。そんな環境に私が耐えられるだろうか。それが、あの赤い絨毯の感触とお客の熱気でいつしか興奮モード!好奇心がザワザワし始めました。入っただけでこんなに楽しいなんて。売店のお菓子やお土産、飲食店まであって歌舞伎座って凄い!と感動しっぱなしでした。

席に座って驚いたのが劇場からのエネルギーです。「気」というものなのでしょうか?観劇が終わると、上演時間の倍の時間そこにいたかのような疲労感でした。試されたような。歌舞伎座は生きている。次回はこれに負けないようしっかり観劇しなければ!と変な誓いをたてました。

初歌舞伎座は秀山祭九月大歌舞伎昼の部でした。もちろん「竜馬がゆく」風雲篇の亀治郎さんを見に行ったのですが、染五郎さんの竜馬は素敵でしたし、「ひらかな盛衰記」逆櫓の吉右衛門さんの立廻りがかっこよく、「日本振袖始」の玉三郎さんがお姫様から大蛇の本性を出していく妖艶な感じは忘れられません。音の響きも重厚で、国立劇場や新橋演舞場とは違った聞こえ方も新鮮でした!何もかもが楽しかったのです。

私はギリギリすべりこみセーフ!で歌舞伎座とご縁が持てました。これは感謝です。「歌舞伎座さよなら公演」ラストまで楽しませていただきます!

7月7日 歌舞伎で願うなら

こんばんは。
七夕ですので私も願い事を一つ。願わくば、澤瀉屋のスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」を生で観てみたいです。実際に観劇した方が、劇場でとなりになった方ですが、驚きと感動をいただいた、口では何とも説明できない!とおっしゃった。

ど、どんなふうなの(笑)そう言われると、ものすごく観たい。。。今年3月の猿之助十八番の内「獨道中五十三驛」。宙乗り、本水、早替り!澤瀉屋一門の皆様の体ってどうなっちゃってるの~!!あの早替りの尋常でない早さは、もうびっくりでした。この先私が観劇する時は、スーパー歌舞伎も進化していると思います。それも楽しみです。

それに今、歌舞伎に出合えていることは幸せです。でももし、願いが叶うなら、過去の歌舞伎を「生」で観たい。中でも、今の私には拝見したことがない三代目猿之助さんが一番、謎な方です。いつか叶うといいな。

7月13日 歌舞伎座「七月大歌舞伎」夜の部

こんばんは。
歌舞伎座に海老蔵さんがくるとお客さんの平均年齢が下がりますね。熱気がスゴい!「夏祭浪花鑑」は、昨年秋、ベルリンで行われた勘三郎さんの舞台をTVで拝見しました。夜中の放映でしたから怖かったです。

海老蔵さんは、現代の若者に通じる悲しさと怖さを感じる団七でした。義父を殺してしまう殺し場の見得は、その都度拍手も起こり、どれも絵になる美しさ。やはり、あの目は凄い。

義父役の市蔵さんが、ホントいやらしくてよかったです。勘太郎さんの女形は色っぽい!獅童さんも粋です!声がすごくとおっていました。澤瀉屋の皆様が嬉しかった!特に三婦役の猿弥さんが面白いです。「老人は痩せているという認識をくつがえして。。」と意気込みが筋書きにのっていて、そこから笑わせていただきました。

鳴り物や附けの音、台詞のリズムが、お話の陰と陽を感じさせ、せつなくなりました。そして、今までで一番、役者さんが変わると、こんなにお芝居の空気や印象が変わるのだと感じた演目になりました。

「天守物語」玉三郎さんは美しすぎです。昨年、金沢市の泉鏡花記念館へ行きましたが、お芝居でその世界に触れるのは初めてです!玉三郎さんは、客席を見事に「空」にしてしまいました。そして、三階席からオペラグラスでのぞく私は、まさに遠くの家から天守閣の様子をのぞいているようで、不思議な感覚でした。一階の方は、まさに下界という感じだったのかな。

照明や音、装置、衣装。。雰囲気に圧倒されます!歌舞伎座ではないみたいです。勘太郎さんの亀姫もにこやかなのに不気味。獅童さんの存在感がスパイスでした!

玉三郎さん海老蔵さんだからこそ、あんなに美しく、妖しい空気感。玉三郎さんの「すずしい言葉だねえ。。。。」という台詞。その雰囲気をそのまま持った海老蔵さん、印象的です。ラスト、ジンっとくるし、この余韻はなんでしょう。楽しすぎました。カーテンコールもありましたっ!今日も楽しかったです。

7月24日 歌舞伎でお弁当

こんばんは。
歌舞伎観劇でまだデビューしていないことがあります。予約をして劇場内の食堂を利用したり、そこでお弁当を食べたりしたことがありません。おやつは現地調達です。歌舞伎座の鯛焼き。新橋演舞場のアイス最中。お席で外で買ってきたお弁当を広げるのが私のスタイルです。

あの天井の高い、広い空間で定式幕や緞帳を見ながら美味しい物を食べるのは、何とも言えない贅沢な感じがします。

初めて歌舞伎を観た時、休憩時間になると一斉にお客さんが、うわ~ッと席から廊下へ出て行く姿に凄く驚きました!根こそぎ、お席からいなくなるんです!どこへ行くの?ポツンと残された私。見ると、お化粧室はもちろん、食堂へ入っていくではないですか食堂が何軒かあるのにもびっくりしました。こんな文化?風習?習慣?があるなんて面白くて楽し過ぎる!!!

食堂で食べる豪華なお弁当への憧れはあるものの、一人で観劇することが多いので、今一歩踏み出せません。贅沢かなあ。。とも思います。

歌舞伎座は「さよなら公演」中。来年4月までに思い切って体験させていただこうかと考えてます。歌舞伎座での味や、働いている方々の思い、すべて丸ごと体験したいし楽しみたいです。

7月28日 コクーン歌舞伎「桜姫」

こんばんは。
行ってきました!シアターコクーン「桜姫」!あ~スッキリです。先月の現代劇版に続き、すっごくすっごく良かったです。帰り道、友人と何回「良かった」を言ったか知れません。

お席は、途中、ビニールシートが渡される場所で、舞台を真横から観る感じ。お衣装やカツラ、道具の質感を感じられたし、ライティングや、音楽、役者さんが発する音の聞こえ方、すべて斬新でした。

七之助さんは、凄いです!そして、キレイです!あの気の張り方は尋常ではないですね。体に芯がとおり、役の芯もしっかりとおっていました。あのラストの神々しさはなんでしょう。輪廻や因縁を乗り越え、生命力あふれるラストのあのお顔は感動で涙がでました。ありがとう!という感じです。

橋之助さん、悪役が素敵すぎです。彌十郎さんと扇雀さんは何だか憎めない。彌十郎さんの笑顔は大好きです!扇雀さんは、あれだけ転がって飛ばされてカツラが取れないのが不思議です。亀蔵さんの、近くで観ないとわからない小技が好きです。橋吾さん、目立っていました。立ち回りがとても素敵で、役どころも重要で印象に残りました。

笹野さんのつなぎの語りがとっても楽しいので、お芝居全体が短く感じます。そして、この方は不思議と会場全体を一体にしてしまいます!

勘三郎さんの存在感。私は共感持てて、何だかせつなくなりました。罪と善行を繰り返す。でも、最後はそれを時代を超えて繰り返さないよう、軌道修正し、桜姫を希望へ向かわせる、向かってほしいと思わせるラストは好きでした。

コクーン歌舞伎は凄い!空間にあるもの、役者さん、お客さん、音楽、音など、あらゆるものが同じラインに立っているフラットな感じがしました。どれが際だっているわけではなく、同じ世界。願わくば、正面からもう一度観たい。盛りだくさんで今日も眠れません。本日も楽しませていただきました。感謝です。


aya


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