FF16エンディングもうちょっと掘り下げた感想(ネタバレあり)
以前にも簡単なFF16エンディング感想と「月を見ていた」との話を書きましたが、今回は通常のエンディングに対して、自分なりの解釈を書きます。
FF16のエンディングは、ゲーム内の情報への理解やキャラの心情等への考察次第で、いくつかの解釈が存在してしまう、解釈マルチエンドの様なものだなと感じていて、これが割と早々にクリアした勢(プレイ時間35時間前後勢)の賛否両論を生んでる原因の1つでもあると思っています。
解釈というのは、簡単に言えば
①クライヴが死んでしまった悲しいエンディング
②クライヴがどうなったかよくわからないモヤモヤしたエンディング
③クライヴが生きていてヴァリスゼアに希望が持てたエンディング
みたいな感じですかね。
みんなが③を感じられれば勿論良かったとは思いますが、個人的には開発は意図してこの「やった人の思い入れで変わるエンディングの見せ方」をやってる感じもします。
1番エンディングに重要な部分は、ジルの最後のサブクエと、それ以上に重要な「サブクエ後のジルとの会話」です。
サブクエ後、わざわざクライヴ自室の外にいるジルに再度話しかけに行かない人も多々いると思うので、こういうエンディングに1番重要な会話をメインシナリオに入れない辺りがFF16っぽくもあり、賛否両論になるような原因でもある感じはしてます。
このジルとのサブクエ後の会話で、ジルはクライヴに「全てが終わったら、星が見えないこの空も元通りになるかな」と不安をぶつけていました。ジルに取って夜空の星は「どんな時でも美しく輝いて涙を流す私をいつも励ましてくれた」とも話しています。
クライヴはそんなジルに「きっと、いつかきみと見た景色は取り戻してみせる」と答えました。
エンディングで、クライヴが砂浜に横たわって空を見るシーン、クライヴは「綺麗な月だな、ジル」と言っていました。これが、このサブクエ後のジルとの会話のアンサーなんですよね。
あのシーン、クライヴはまず自分が魔法を使えなくなった事を確認し、そして今まで石化しなかった自分が石化した事も確認して(おそらく少なからず自分が特殊な器では無くなった事を確認して)、ジルを思って月を見ます。
もっと深く個人的に想像してもいいなら、クライヴは人が人と生きられる世界を作る事を大義名分にずっと走ってきたけれど、結局の所、心の底には「ジルと綺麗な星を一緒に見れる世界であって欲しい」みたいな気持ちもあったと思うんですよね。(1つ前に書いた "月を見ていた" の歌詞考察でも書きましたが)
このジルとのサブクエ後の会話を見ていないまま、またそこでのお互いの気持ちにも目を向けれないまま、突っ走ってエンディング迎えると「綺麗な月だな、ジル」も特に意味のないセリフに聞こえちゃう感じがします。
個人的には、クライヴがアルテマを倒せた事より、世界を変えられた事より、ジルにもう一度元通りになった空と月を見せられた事が嬉しくて、最初に言葉に出たんだろうなって解釈してます。
あと、最後のジルのシーンとメティアに関してですが、これも「メティアが消える」という事と、ジルの涙の意味に関して、やった人が色々と違う意味を見出す様に、意図してそうしてるのかなと思いました。
個人的な解釈は「メティアの消失でクライヴへの不安がピークになって耐えきれなかったジルが外に出たら、空は晴れてクライヴがアルテマを倒した事に気付けて、泣く事をやめて笑えた」って感じです。
さっき話したジルとのサブクエ後の会話で、最後にジルは「この雲が晴れたら泣くのはおしまい、あなたとふたり、笑顔で空を見上げるの、きっとね」と言ってます。これも超重要過ぎる会話ですよね。
個人的にはこれがそのままラストのシーンの答えだと思っています。
外に出て雲が晴れた事に気付いたジルは、自分の言葉と、どこかでこの空を見てるであろうクライヴを思って泣き止んで微笑みます。
このラストシーン、止めてスクショ撮りまくってたから気付けた部分もありますが、最後の最後は、ジルは微笑むんですよね。でもそれが本当に細かい違い(多分ジル自身も意識して微笑もうとはしてないだろうなくらいの違い)なので、よく見てないと、ジルが泣いたまま終わった様に感じると思います。もう1回じっくり見て欲しいとは思いますが、ジルは最後微笑んでます。
空が晴れたから泣くのはやめたんですね、きっと...。強いですよね。
メティアに関しては解釈色々あると思うので、個人的な解釈を書きます。
ジルは毎回クライヴに何かあるたびにメティアに「クライヴとまた会える事」 を祈っていた人生だったと思うんですよね。なので、メティアが消えるっていうのは、もうクライヴと離れる事は無い世界 (つまりもうメティアにお願いする必要の無い世界) の暗示な気がしています。
ヴァリスゼアは自分の力ではどうしようもない事が起こる世界だから「何かに願う」っていう事をみんながしていました。メティアのロアにも「ヴァリスゼアに住む多くの人々が、この小さな星に幸運を願っている」と書いてあります。
クライヴがアルテマを倒した後の世界は、人が自分達の手で何かをやっていける、何かにただ祈る事しか出来ない様な悲しい世界ではなくなったので、メティアはその必要性が無くなり、世界の変化と共に存在も消えたのかなと感じます。
現実の世界でも、戦争の様な理不尽な悲しい事がこの世から無くなるなら、信仰の対象も必要なくなると感じるんですよね。いつだって、悲しい事と辛い事があるからこそ、信じるべき対象や祈る対象が生まれます。何かに祈らなきゃいけない世界、祈らなきゃいけない対象なんて、本当は無い方がいいんだと、そういうメッセージにも見えました。
メティアが無くなれば、人は祈る事をやめて、自分の力を信じて前へ進もうとするかもしれない。自分の力が及ばない何かを信じたり祈って日々を過ごすくらいなら、自分を信じて自分で前に進んで生きた方がいい、これは自己肯定的な意味もあると思います。
割と近年のRPGの中ではシンプルなエンディングだとは思いますが、プレイした人のその時の感情や読み取り方でメッセージ性が変わるエンディングだなと感じました。
俺はFF16が大好きですが、色々と読み取れるが故に、クライヴやジルがプレイヤーの手から離れて先へ進んでしまった気がして凄く寂しい気持ちになってます。仕事でずっと悩んでた後輩や部下が、自分を認められる様になって、辛い事や苦しい事も許容して先へ進んで自立した姿を見た時の様な、そんな気持ちになってます。
誰かが自分を認めて先へ進む姿はカッコよさもありながら、自分を置いて自分の知らない場所へ行ってしまう様な寂しさも感じる事があって、ゲームなのに、自分が操作していたゲームなのに、クライヴ達が自分を置いてヴァリスゼアの先に進んでしまったみたいで、胸にぽっかり穴が空いています。ゲームでこんな気持ちには基本なりません。
今まで必死で喜怒哀楽を見せながら一緒にヴァリスゼアで生きてきたみんなが、自分を置いていなくなってしまった様な、そんな寂しさと悲しさを感じてしまって、今、別RPGでリハビリをしています。なんだろうな、今ヴァリスゼアに行くと卒業した学校の教室に来たような気持ちになってしまう。クライヴやジル、隠れ家のみんなは、あれから元気にしてるのかなって、そんな気持ちになってしまって、ヴァリスゼアに行くのを少し躊躇ってしまう自分がいます。
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