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FF16のそれぞれのドミナントに対して思う事。その②シド

各ドミナントに関して思う事、またそれにまつわるイベントで感じた事なんかを、自分の感想や考察も含めて、またちょっと雑に書いてみます。
(3割くらいは本編で出ている断片的な情報を繋ぎ合わせて推察や想像しているので、そういうの大目に見て貰えると助かります)

それぞれのドミナントに思う事②
・シドルファス・テラモーン(ラムウ)

フーゴを書こうと思ってましたが、ベネディクタ書いたんだから次はシドだよな、と思ってシドにします。シドに対して思った感想と、想像も含めた考察書きます。

シドは、FF16に出てきた人の中で何より沢山の事を考え、実行してきた人間なんだろうなと感じました。ドミナントの中で、とかではなく登場する人間の中で、誰よりも多くの事を考え、想像し、そして実行してみて、何が良くなかったか、自分の仮説はどうだったか、そういった事をヴァリスゼアでやり続けてきた人間なんだと思います。

ミドが正にその理念を受け継いでいて、とにかく考えて試してみるってタイプだったので、シドとミド、両方とも本当に大好きなキャラですね。

俺自身もFF16に対して、発売前から出てきている色々な情報に対しての想像や仮説を繰り返し、トレーラーを何度も何度も見て「おそらく黒の一帯はマザークリスタルがエーテルを吸っている事が原因で、かつ、そのエーテルを何かに利用する為、どこかに送っているのでは?」という仮説には発売前から辿り着いていたので、

実際にヴァリスゼアという過酷な環境の中でそれを考えていたシドと一緒にしたら失礼かもしれませんが、シドと同じ様な思考を汲めたのかなと思って、プレイしながら凄く嬉しかったのを覚えてます。

また、シドは青年期の最後で亡くなってしまいましたが、短い時間の中で、本当に大事な事を沢山言っています。クリア後に再度セリフを見ると「シドはこのタイミングでこんな大事な事言ってたのか」と思える様な事が沢山あるので、二週目プレイしていない人は是非そういう部分も再度見て欲しいなとも感じました。

「よく見て、よく聞き、よく話す」、よく見て、よく聞いて、そしてそれを理解しようと努力して、そして思った事を話す。俺もシドの様に沢山見て聞いて、それをこうして伝えられる場所がある事に感謝していきたいですね。

ベネディクタの考察の方で、割とシドの過去に関わる部分も掘り下げでしまいましたが、シドは、オットーとのサブクエで、オットーの子供がベアラーであった事、そしてその子供を国に取り上げられた事を知り、ウォール―ドを離れたと、そうオットーが言っていました。個人的には、オットーは船乗りだったのでウォール―ド王国の船団員だったのかな、と思っています。
つまり、オットーの子供を奪ったのは、シドが属するウォール―ド王国だった。それまでにもバルナバスがおかしくなっている事に疑問を持っていたシドは、そういった国への嫌気とバルナバスの変化に不信感を抱き、離れたのかもしれません。

これは完全に想像なので作中にそんな情報は出てきていないのですが、ベネディクタやミドを引き取る様な行動や、オットーの子供が奪われ涙する話を聞くと、シドにも過去に奥さんと自分の血の繋がった子供がいたけれど、何かの原因で亡くなる様な事になってしまって、そこから、親のいない子供や孤児の面倒を見たり、支援したりしていたのかな、と想像してしまいます。

作中にはミドに送った平仮名で書いた手紙が出てきましたが、アレを見てずっとミドは実の子供だと思っていたんですよね。でも最後のミドのサブクエで、シドと血が繋がってない事が明らかになった時に、シド自身が小さい頃から子供に向き合ってきた過去が無かったとして、あんな手紙書けるかな?と思ってしまいました。

シドもまた、自分が失ってきたものを埋める為に自分がしてあげれなかった事を、ベネディクタやミドにしようとしてたのかもしれません。割とクライヴがジョシュアという家族を失う所がスタートで、クライヴが主人公なのでそこに目が行きがちですが、この世界の人間はみんなが既に大切なものを一度失っていながら、それでも生きなければいけない世界、それでも前に進もうと必死に生きている世界なんだと思います。

シドが言っていた「人が人として死ねる場所を作りたい」というのは、それだけ「人が人として死ねない状況を見てきた」という事でもあります。その中で、もしかしたら存在したのかもしれない我が子や、死にたいと口にしていたベネディクタ、そして自分が属する国なのに奪う事を止められなかった友達の息子、そういう事を沢山目にしてきた結果が、シドの活動に繋がってるんだと思います。

そう考えるとクライヴより遥かに壮絶な気がするんですよね。俺なら辛すぎて死んでいたかもしれません。それでも諦めず、落ちぶれず、何か自分に出来る事がないかと進み続けたシドの信念の強さを本当に尊敬します。

シドの石化が進んでいた原因は、それだけ無茶をしてきた、召喚獣化や魔法を使わないと乗り越えられない様な状況の中を進んできた証拠でもあります。
シドは最初ジルを隠れ家に連れて帰った時クライヴに「ジルをどうする気だ」と聞かれて「ただ保護してるだけさ」と答えてましたが、実際はもう自分がそこまで長くないという死期を悟った上で、どこの国にも属していないジルを、自分の後釜として置けないか、説得しようと探してた気もするんですよね。
でもそこでクライヴに出会った。この出会いでシドがクライヴに夢や希望を託せられた。きっとシド自身は最後はちゃんと人として死ねたんじゃないかって、そう思うんですよね。

シドは本当に言いたいシーンが沢山ありすぎて…。

序盤でクライヴが自分が火のドミナントと気付き、隠れ家の牢屋でシドに「殺してくれ」と言うシーン、あそこからガブ救出に行くまでも、シドはずっとクライヴ自身が本気で殺してくれなんて思ってないって見抜いた上で行動している様に見えました。ちゃんと「人が本当に絶望して死にたいと言っているのか」それとも「自分の罪悪感を薄める為にパフォーマンスで言っているのか」そういった部分まで見透かしている気がしました。

現にあの後クライヴはフェニックスゲートで自分がどこか他人事でいた事を自覚するんですけど、シドはもうあの時点で気付いて、クライヴに前を向かせる為に、意図して「ガブの事はお前にも責任がある」「ガブを頼んだ」という風に発破を掛けて、クライヴ自身を前に向かせようと仕向けてた様に感じます。考えすぎかもしれませんが、シドがいう抜け道にモンスターが多いのも、クライヴに余計な事を考えさせず剣を振るわせる為に、意図してモンスターがいる道を選んでいた気すらします。今風に言えば、本当にいい上司なんですよね。

シドは出てくるシーンその全てが重要だと思っているんですが、皆さんはマーサの宿に初めていった後、シドに外で会うシーン、どんな印象を受けてますか?

個人的にこのシーン、実際ジルとクライヴを送り出したものの、やっぱり自分の死期を考えると2人に手伝って欲しくて、追いかけつつ、お願い出来ないので、グツと一緒に一芝居うっていた様な印象なんですよね(同じ印象の人いますか?)


流れとしては、まずタイミングよくマーサの宿から出てくる時に腕を見せておき、クライヴとジルの興味と心配を誘う(そんな大変ならシド手伝うよって言ってくれれば最高)

罪悪感を与えない為に「気にしなくていい」という一言も添える(と言いつつ気にさせる為に言ってる)

ここでニヤリ(計画通り)、ちなみに気のせいじゃなければグツが後ろで、うんうんうんいいぞいいぞ、って感じで頷いてます。

クライヴ・ジル「・・・」

ここで2人が何か吹っ切れた様な清々しい表情に気付いて…

目的を持ってしまった事を察する(シドが他人をよく見ているのがわかるシーン)

計画失敗してしまった事を悟り…

ここも動画で見て欲しいですが、シドをよく見ると眉を一回クンって上げるんですよね。ヤレヤレ失敗か、みたいな感じを表情で出します。

そして、諦めてちょっといじけた様な捨て台詞を言います。

そしてグツにたしなめられる。シド、引き留めるんじゃなかったの!って感じがしました。

ちゃんとお願いしなきゃダメだよシドって言いたそうに見える

このシーン、本当好きなんですよね。これが本当に引き留めようとしてあの場にいたのかどうか、本編ではそういう説明はありませんが、グツが焦ってる様子や、シドが途中で投げやりになる感じを見ると、事前に2人でどうやって引き留めようか考えてたりしてたのかな…とか想像出来て、本当に好きです。シドが他人の表情を見て色々な事を察する事が出来るとわかるシーンでもあり、プレイヤー側もシドやグツの表情に注目する事で、違った背景を想像する事が出来るシーンでもあるのかなと思ってます。


そしてこの後、過去に好きで救いたかったという女性の話をしますが、これはベネディクタの事だと思います。そして、ベネディクタも「難儀な生き方」をしていたと、シドは言います。

この会話から想像するに、もしかしたら一度はシドはベネディクタをバルナバスから引き離す事に成功していたのかもしれません。最初はシドの話を聞いてシド側に付いてきたと思った。しかし、それはベネディクタの想いを無視していただけで、そこで過剰に強制力を持って引っ張ってしまった事で、ベネディクタは一層シドから離れようとした様な想像も出来ます。シドが言う「難儀な生き方」というのは、自分がそう信じたら中々ほかの事が出来ない生き方、を指しているのかもしれないですね。

そして、どれだけ言葉を重ねても思いを押し付けてるだけにしかならない、とシドは話します。

この経験があるからこそ、クライヴ達が旅に出るんだなと悟った時、引き止めなかったんだと思うんですよね。というか、本当は「いやクライヴ聞いてくれ、今マザークリスタルを壊そうとしていてな…」とか色々言って引き止めたかったという本心が実際あったからこそ、このタイミングでこの話をしだしたんだと思いました。
思いを押し付け過ぎて、ベネディクタ相手に失敗してしまった過去があるからこそ、クライヴの思うがままにさせてみよう、という様な葛藤が見えます。

そして「自分を受け入れるんだ」という言葉。

これは、本当はベネディクタに言いたかった事、ベネディクタにして欲しかった事をクライヴに伝えてると感じるし、それを伝えるという事は、シドもまた、過去の事を無かった事にせず、自分を受け入れてこようとしてきたという事でもあると思います。
クライヴに言いながら、多分、自分にも言い聞かせてるんですよね。

この時のシドはベネディクタを亡くしてすぐの時です。おそらくシドは「あの時こう言っていれば…」「あの時こうしていれば…」と沢山色々な後悔をしたと思うんですよね。

そんな自分に対しても「過去は変えられない、自分を受け入れて前に進め、それが自分を救う事になる」と言っている感じがします。これは自己肯定です。

自己肯定をよく「自分を好きになること」と解釈してる人を見ますが、個人的には自己肯定は言葉の意味のまま「自己を肯定すること」だと思っています。自己を肯定すると言うのは、好き嫌いじゃなくて、やったことを認める事、認めて受け入れる事です。

シドは自分の事が嫌いかもしれません。でも自己肯定はしています。自分のやった事を自覚し、認め、その上で、その先で自分に出来る事を考え、自分が失敗した事を人に伝えて、生きようとしてる。その姿勢と生き方が本当にゲームのキャラとは思えません。FF16のキャラ全てが本当にどこかにいる人間の様に感じるのは、こういった思考が実際の人間にとても近いと感じる事が多いからです。

そして、引き止めに来た事が悟られないよう、彼らの旅にシドという懸念が出ないよう配慮して帰っている(ように見えます)。大人ですね…。


そしてもう一つ、シドの心情が垣間見えるシーン。フェニックスゲートで自分を受け入れ、隠れ家に戻ってきたクライヴとシドの会話です。

この最初の会話が、もうシドが死期が近い事を悟ってる様な会話に見えますね。

そしてこの書いている手紙、俺のTwitterを見ている人は知っているかもしれませんが、この時書いているのがおそらくミドに充てた手紙です。

流石にこのヴァリスゼア語を翻訳しなければ意味が理解出来ない、なんてシーンでは無いので、このシーンは「誰かに手紙を書いていた」という解釈で全然問題無いのですが、もし、これから先に行くマザークリスタルの破壊で石化が進んでいる自分は死ぬかもしれない、自分はもう長くないだろうと悟って手紙を書いているのだとすれば、この手紙はミドに充てた最後の手紙という事になります。

プレイ当時は当然内容はわかりませんが、この最初のシドが手紙を書いているアップのシーンが映った時に「この手紙は重要な誰かに書いている示唆なのかな」とは思っていたんですよね。クライヴが戻ってきて、これからマザークリスタルを壊しに行くっていう時に手紙を書く、という行為に凄く引っ掛かりを感じて、その後、自分でヴァリスゼア語を翻訳するという流れになりました。

クライヴ達が来る前、ガブからの報告でクライヴ達がシドに協力してくれそうだ、という話は聞いていたと思うんですよね。どこまでも想像していいのであれば、クライヴ達が協力してくれるとわかって、本格的にザンブレクに乗り込める可能性が出てきた時、勿論そこで死のうなんて考えてはいませんが、万が一自分に何かあった時の事を考えて、咄嗟にミドに手紙を書きだし、2人の夢だった船の命名をミドに託した気がします。これはミドにとって救いになる行為だったはずです。

シドが亡くなったと知った後も、ミドがシドの死に落ち込まず、前を見て、あそこまで船の製作に情熱を燃やせていたのは、この最後にシドが書いた手紙に「君の手に委ねる、誇りに思ってくれ」と書いてあったからと考えると、なんて親子なんだろう、と泣けてきます。

このシーン、おそらくこの時点でまだ登場していないミド宛の手紙を書いている事も、その後船が出てくる事も、そこまでのネタバレが出来ないが為に、手紙の内容が読めるという設定にはならなかったんだと思います。
もしかしたら後々手紙を出す事も出来たかもしれませんが、書いてある時点で読めないと「どのシーンの手紙?」となってしまいそうなので、結局「誰かに手紙を残している事を匂わせる様なシーンを入れる」という完成形になったんだと思ってます。勝手な想像ですが…。

というのも、色々な書類のヴァリスゼア語を見てきた自分として、この手紙だけは「シドの筆記の癖」がちゃんと読み取れるレベルで書き込まれているんですよね。後半で見れるクライヴ宛に来る手紙も、各キャラのサインは全員筆跡が違いますが、手紙1つにわざわざシドの筆跡を入れて作り込む、このオブジェクトには、何かメッセージ性が込められてる様な気がして、翻訳してみたら、ちゃんと知りたい以上の事が書いてありました。

本当は開発チームとしても本編のどこかにこの手紙を盛り込みたかった、もしくはサブクエレベルで何かエピソードが元々あったのかもしれませんね。どういった経緯があったにせよ、オブジェクトひとつにここまでの背景を想像出来る余地を残してくれた事、凄く嬉しいです。


そして、2人が人として生きれる場所を作りたいという言葉に対して「それは償いのつもりか?」と聞きます。

これもおそらく、シドの動機は「償い」で、償いから「人が人として死ねる場所を作る」という行動に至っていたと感じます。しかし、それでは未来が無いと、シドも思っていたのかもしれません。
クライヴとジルが、前向きな「決意」として「人が人として生きられる場所」を作りたいと言ってくれた事で、シドは2人になら任せられると確信出来たんだと思います。

言葉は決して多くはないかもしれません。しかし、クライヴ、ジル、シド、それぞれの背景や想いを知って、想像していくと、ピースがハマる様に、それぞれのキャラが、それぞれの背景や過去に基づいた、一貫性のある言動をしている事に気付きます。何度も言いますが、こんなにキャラに命が吹きこまれていると感じるゲームは他にないです。

ちょっと長く書きすぎてしまったのでこれくらいで…。本当はシドのラストシーンとかも語りたいと思ってましたが、シドに関しては、こういった序盤のシドの言動から見えるシドの感情や想いをまず想像する事で、シドの最後のシーン、そしてそれを受け取ったクライヴ達がより意味のあるものに感じると思うので、特にそういったシドの感情が見えて好きなシーンを語らせて貰いました。

最後まで読んでくれた方、ありがとうございます!

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