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FF16クリア後の話と、「月を見ていた」について(ネタバレあり)(最後に加筆しました)

FF16ラストに関して、ネタバレありで「月を見ていた」の歌詞に付いて考えてみようと思います。

「月を見ていた」の歌詞を載せます。

月明かり柳が揺れる
わたしは路傍の礫 
想い馳せるあなたの姿
羊を数えるように

別れゆく意味があるなら
せめて悲しまないで
沈黙(しじま)から離れた空へ
一筋の愛を込めて

どんな夜だって
失い続けたって
共に生きてきたろう
瞬くように

何かを求めて月を見ていた

嵐に怯えるわたしの前に

現れたのがあなたでよかった

まるで何もかもがなかったかのように

この火は消えたりしない きっと

その窓を風が叩けば
僅かに開け放して
ただひとつ そうただひとつ
語り得ぬ声で叫ぶ

生まれ変わったとして
思い出せなくたって
見つけてみせるだろう
あなたの姿

全てを燃やして月を見ていた

誰かがそれを憐れむとしても

あなたがいれば幸せだったんだ

およそ正しくなかったりしても

消えたりしない

名前を呼んで もう一度だけ
優しく包むその柔い声で
月を頼りに掴んだ枝が あなただった

何かを求めて月を見ていた

嵐に怯えるわたしの前に

現れたのがあなたでよかった

まるで何もかもがなかったかのように

この火は消えたりしない きっと

歌詞を見ると、クライヴがいなくなった後、クライヴへの想いが消えない事を願いながら、クライヴを想い続けるジルのその後に見えます。

救いと言えば「月を頼りに掴んだ枝があなただった」の部分でしょうか。探し続けたジルの思いが実り、クライヴを見つけた様な歌詞にも見えます。

サブクエの中には、新拠点で甘い果物を作るのに成功するクエストがありますが、シドの拠点だった時から甘くしようと努力し続けて亡くなっていった仲間の意思を継いできたという意味と、果実が実ったという意味を掛けて、サブクエ名が "実を結ぶ想い" となっていました。歌詞の「月を頼りに掴んだ枝」も、想いが実ったので "掴んだ枝" と表現している気もします。

ジルは最後のサブクエで、ロザリスに来た直後不安なジルに対して外に連れ出してくれたクライヴを「嵐の中でも手を引いてくれた」と表現していました。

つまり1番のサビは「幼い頃、嵐に怯える自分の手を引いてくれたクライヴを思う歌詞」、最後のサビは「クライヴがいなくなった不安(嵐)に怯えるジルの前に、またクライヴが現れてくれた」様な歌詞の流れにも読み取れます。

クライヴは亡くなっている様にも見えるし、深読みすれば生きているクライヴを発見出来たとも読み取れます。

個人的には、EDラストの家族、あれがジルとクライヴの末裔にも見えました。ジョシュアの名前が書いてあった本、あれはトレーラーAMBITIONに出てきた本でしたが、あれもジョシュアが書いた訳では無く、ジョシュアの名前を残したかった、ジョシュアが生きていたらやりたかった事をやっているクライヴが書いた様に思えました。それは、ハルポクラテスのサブクエで最後にハルポクラテスが思い出の品として、クライヴにストラスの羽根ペンを渡すからです。ストラスの羽根ペンにはこう説明がありました。「彼が剣ではなくペンを握れる世界が来ることを願って」と。ジョシュアは失ってしまったけれど、ジョシュアの思いを継いだクライヴが、ジョシュアの名前で今回自分が見てきたもの、思った事を後世に残す為本として残した、そんな気がしました。

↑ここまでがTwitterでツイートした内容


(加筆 2023/7/11)
改めてクリア後色々考えてみた、今の歌詞の考察を書きます

月明かり柳が揺れる
わたしは路傍の礫 
想い馳せるあなたの姿
羊を数えるように

別れゆく意味があるなら
せめて悲しまないで
沈黙(しじま)から離れた空へ
一筋の愛を込めて

どんな夜だって
失い続けたって
共に生きてきたろう
瞬くように

何かを求めて月を見ていた

嵐に怯えるわたしの前に

現れたのがあなたでよかった

まるで何もかもがなかったかのように

この火は消えたりしない きっと

一番の歌詞、これは変わらずジルの心情だと思います。ずっと昔から思っている気持ちを歌っている様に思っていましたが、今はなんとなく、最終決戦に行ってしまったクライヴを待っている時の心情に見えます。
「月明り柳が揺れる、わたしは路傍の礫、思いを馳せるあなたの姿、羊を数えるように」この部分は、クライヴを愛しているのに、最後にはクライヴを待たなくてはいけない自分の無力さを痛感しつつ、クライヴを想う歌詞に見えます。

「別れゆく意味があるなら、せめて悲しまないで、沈黙から離れた空へ、一筋の愛を込めて」という部分、これも最終決戦後、どうなるかわからないクライヴに対してのジルの愛情を感じます。
クライヴと再会し一緒にフェニックスゲートに行った後、ジルはクライヴに「あなたが生きているのには意味があるのよ」と言っていました。仮に、今後ジルとクライヴが別れゆく結果が待っていたとしても、悲しまないで欲しい、私は愛しているから、と言っている様に聞こえます。

「どんな夜だって、失い続けたって、共に生きてきたろう、瞬くように」の部分は、そんな辛い状況でも、クライヴを信じる為、自分に言い聞かせている感じでしょうか。

そして一番のサビ、最初の考察でも書いた様に、過去自分がロザリスでの「嵐」に怯えていた時にクライヴが現れてくれてよかった、クライヴと出会えてよかったという想いと、この最終決戦が終わった結果がどうなったとしても、クライヴが残してくれた想いや、ジル自身が感じる想い(愛情)は消えたりしない、と言ってる感じに聞こえますね。

そして、ここからが考察として自分の中で変わった所で、
二番はクライヴの最終決戦後の想いに見えてきました。

その窓を風が叩けば
僅かに開け放して
ただひとつ そうただひとつ
語り得ぬ声で叫ぶ

生まれ変わったとして
思い出せなくたって
見つけてみせるだろう
あなたの姿

全てを燃やして月を見ていた

誰かがそれを憐れむとしても

あなたがいれば幸せだったんだ

およそ正しくなかったりしても

消えたりしない

「その窓を風が叩けば、僅かに開け放して、ただひとつ、そうただひとつ、語り得ぬ声で叫ぶ」の部分、この「風」はジルのいう「嵐」にかかっていて、ジルに吹く風があれば自分がそれをなんとかするんだ、という意味にも見えるし、もしくはクライヴの心の窓をジルが叩けば、それに対して何かをただひとつ叫ぶんだ、という決意にも見えます。この叫ぶひとつの言葉は語り尽くせない感謝(ありがとう)や愛(愛してる)でしょうか。

(7/12追記)
Twitterで「柳」についてはどう捉えていますか?と聞かれたので自分なりの解釈を書いておきます。FF16は作中に柳が出てくる訳でも無く、また柳自体も日本的な植物だと感じるので、これは月を見る度揺れるジルの心の不安を「柳」に見立ててるのかなと個人的には思いました。ジルは不安を「嵐」と表現するので、風が吹いて揺らされる様な比喩は不安の表れに見えます。木としての柳のチョイスは落ち込んでいる心を表している気もします。
また、ジルの最後のサブクエ「白銀の君」内でもジルは、クライヴを好きになった気持ちを「自分の心に花が咲いた」と言っていました。そして「私が下を向かずにいられるのは、クライヴがそばにいるから」だとも言っています。ジルが何か感情表現をする際、植物や花を比喩表現として使う女性として考えると、クライヴがそばにいない状況での下向きな心を「柳」として捉えてるのかもしれません。
一番の「月明り柳が揺れる」二番の「その窓を風が叩けば」と一行目にはどちらも風が吹いている描写を感じます。女性側のジルは無防備に月に祈っているので吹き出す風に不安を感じる、男性側のクライヴは逆に防備を固めて自分の世界に入ってしまっているので風に叩かれたと感じる、そんな気もします。
表現が難しいですが、一番がジル、二番がクライヴとするなら、ジル側は多方向からの事象を受け止め過ぎる状況で、クライヴ側は1人で事象を受け止めてこもりすぎてる感じに見えるんですよね。


「生まれ変わったとして、思い出せなくたって、見つけてみせるだろう、あなたの姿」の部分は、最後のエンディングで自分が死ぬのかわからない状況の中、それでもジルをもう一回見つけるんだという決意に見えます。

そしてサビの部分では「全てを燃やして月を見ていた」これはそのまま、オリジンを燃やした後、打ち上げられた浜辺で月を見ていたクライヴに重なります。
「誰かがそれを憐れむとしても、あなたがいれば幸せだったんだ」の部分、これ、別考察でTwitterでも書いたんですが、クライヴはずっと「人が人として生きられる世界」という大義名分を目指してましたが、個人的にはその根底に「ジルと一緒に穏やかに生きたい」という願いがあったと思っているので、この歌詞がクライヴの心情を表しているのであれば、クライヴはやっぱり自分がやった行いが誰かに蔑まれたり、憐れまれようとも、ジルさえいれば幸せだったんだ、と再度思い出している歌詞に思えます。

「およそ正しくなかったとしても、消えたりしない」、クライヴは割と各所でマザークリスタルを破壊する事になんとも思っていない様に批判される事がありますが、そんな事はなくちゃんと自問自答してるシーンもあるんですよね。ただそこまで強調して描かれないのでなんとなく強い表現として受け取って貰えなかった感じはあります。
でも、クライヴは自分がやっていた行いが「正しい事ではない」とわかっていたと思っています。それでもやらなきゃいけないと思い、前へ進んでいた。俺はちゃんと、そういう所が現実っぽいなって感じるんですよね。
本当はもっと正しいやり方があるとわかりながらも、自分の為や、自分の周りの人間の為、心を押し殺して生きている人の方が大多数だと思うんです。でも綺麗事も言わないと周りは付いてこないので、2代目シドとしてみんなを引っ張る為に進まなきゃいけない部分もあった感じがしていて…。個人的には、世界の為という思いもありながら、根底の部分ではジルの為に神を相手に戦っていたと思う方が、しっくりきます。

そしてこの最後の「消えたりしない」も、もし一番がジルパートだとするなら、ジルは「消えたりしない、きっと」と「きっと」を付け足していました。これはどちらかというと願いがこもっている気がします。何かの力によって消えてしまう危うさも感じながら、そんな事はないんだ、と自分に言い聞かせる意味での「きっと」ですね。

ただ、二番がクライヴパートとするなら「きっと」がありません。クライヴはこの思いが消えない事に確信を持っているんだと思います。ここもまた、クライヴが生存したと思える一つの要因でもあります。生きてもう一度ジルに会うと決意した感じがするんですよね。

名前を呼んで もう一度だけ
優しく包むその柔い声で
月を頼りに掴んだ枝が あなただった

何かを求めて月を見ていた

嵐に怯えるわたしの前に

現れたのがあなたでよかった

まるで何もかもがなかったかのように

この火は消えたりしない きっと

そして、最後ですね。「名前を呼んでもう一度だけ、優しく包むその柔い声で、月を頼りに掴んだ枝があなただった」、ここからはジルとクライヴ両者の心情に見えます。お互いが、もう一度名前を呼んで欲しい、とあのエンディングのシーンで思っていたんだと思います。

(7/12追記) 
歌詞では「あなただった」は1回しか書いていませんが、歌では二回繰り返す場所です。これもまた、クライヴとジル、それぞれが言い合っている事を表現しているのかもしれません。

そして最後のサビで終わります。

本当にFF16の為に作られた名曲ですよね。クライヴ目線、ジル目線、クライヴとジルの両者目線、色々なものに落とし込んでもまた違った意味が見えます。そしてどんな人の心情を歌っていたとしても、このゲームをプレイしてこの曲を聞けた自分は、この先時間が経っても、何もなかったかのように、この火が消える事はないんだな、と思ってます。

またFF16の考察や新しい視点が生まれるたびに、違った意味に見えるのかもしれません。そうしたらまた追記します。

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