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京都・ピアノサロンオーナーのちょっと気になるミニコラム

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#ソナタ

「ソナタの系譜」考

「ソナタの系譜」考

二年程前ですが、ある方とお喋りをしていたとき、「これからソロリサイタルをするなら、どんなプログラムにしてみたいか」といったようなことが話題になりました。当時の私の考えは次の通りでした。

我ながら「着眼点としては悪くないかな」と今でも思っています。誰も褒めてはくださらないので、自分で自分を褒めておくことにします。

それにしても、口にするだけなら簡単なことですが、実際のところ、意志薄弱な私、二年程

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ハイドン不朽の名作 Hob.XVII:6 をめぐって

ハイドン不朽の名作 Hob.XVII:6 をめぐって

ハイドンといえば、「明るく元気で茶目っ気たっぷり、パパ・ハイドン!」というイメージが先行するかもしれませんが、悲痛な響きに満ちた不朽の名作 Hob.XVII:6 については、少々趣を異にしているように思います。ハイドンの作品には珍しいヘ短調 f-moll が選択されているところも特殊でしょうし、終盤の壮大なコーダのドラマティックな表現も、ロマン派時代の魁であるといっても差し支えない気がします。この

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シューベルトの幻想曲(四手)および最後の三つのソナタをめぐって

シューベルトの幻想曲(四手)および最後の三つのソナタをめぐって

【シューベルトの最晩年】

シューベルトがモーツァルトよりも短い31年で生涯を閉じたのは1828年11月19日、それは楽聖ベートーヴェンが逝った翌年のことでした。早世の天才の最晩年にあたる1828年は、まさに音楽史上の「奇蹟」としか言いようがないほど、豊かな実りに満ちています。ミサ曲第6番(変ホ長調・D950)、弦楽五重奏曲(ハ長調・D956)、連作歌曲集「白鳥の歌」(D957およびD965A)と

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