🍎しりとり　（随筆・17）

ある晴れた日のこと、小さな町の片隅で、しりとりが始まりました。
子どもたちの無邪気な声が、空に向かって弾むように響き渡ります。
「りんご」「ごりら」「らっぱ」......と、言葉は次々と繋がっていきます。それはまるで、小さな言葉のバトンが手から手へと渡されていくよう。

しりとりは、単なる言葉遊びではありません。それは、人と人とが互いに心を通わせるコミュニケーションの形。一つの言葉が次の言葉を呼び、人々の間に新たな絆を生み出していきます。
この遊びには、年齢も性別も職業も関係ありません。老若男女が集まり、一緒に笑い、時には真剣な眼差しで次の言葉を考えます。しりとりは、私たちに平等に与えられた、豊かな想像力を引き出す魔法のようなもの。

「ぱんだ」「だいこん」「こんぶ」......と、言葉は続きます。時には、思わぬ言葉が飛び出し、周りを驚かせることも。そんな予期せぬ展開が、しりとりの醍醐味。一字一句に、参加者の個性が光ります。

しりとりは、私たちの日常に溶け込んでいる文化の一つ。日本の四季を感じさせる言葉や、地元の方言を使ってみたり。それぞれの地域色が出ることで、しりとりはさらに豊かな色彩を帯びていきます。
そして、しりとりは終わりを迎えます。「ん」で終わる言葉が出てしまい、一瞬の静寂。しかし、その後には大きな拍手が。参加した全員が、共に楽しんだ時間を称え合います。

この小さな遊びが、人々を一つにする力を持っていることを、私たちは忘れてはなりません。しりとりは、言葉を通じて心を繋ぐ、素晴らしい伝統。それは、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。
しりとりのシンプルなルールの中に、人々の温かさや、生き生きとした交流があります。この随筆が、そんなしりとりの魅力を少しでも伝えられたなら幸いです。

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