【百物語】かごめかごめ
かごめかごめという歌の歌詞で、「後ろの正面だあれ?」という部分がある。その歌詞は奇妙である。それは、後ろの正面などという場所は存在しないからである。その歌詞は、歌うものを、これでいいのかと混乱させる。それは、子供ならなおさらだろう。そのため、歌詞のその部分を言い間違える子供は多いようだ。この話は、そんな歌詞の間違いに関する話である。
ある日、子供たちがかごめかごめをして遊んでいた。しかし、何度も歌詞を間違える子供がいた。
「後ろの少年だあれ?」
「あー。また崇ちゃん、少年って言った。」
崇は、何度注意されても「正面」を「少年」と歌っていた。何度も何度も間違えるうちに、直すのが面倒になったのだろうか、子供たちは何も言わなくなった。そうこうしているうちに、日が暮れ子供たちは帰った。崇も、その姉の祐子と家路についた。
夕食のときになって、祐子は家族にみんなで遊んだことを話した。
「かごめかごめって変な歌だよね?後ろの正面ってどこなのかわかんないもん。」
祐子は、楽しそうに両親に言った。両親も笑いながら聞いている。
「そういえば、崇がずっと歌詞を間違えていたの。正面を少年ってね。」
崇は、その言葉に怪訝そうな顔をするだけだった。
「崇、どうしたの?」
何も言わない崇を見かねて、祐子が聞いた。
「ぼく・・・、まちがえていたのかな・・・。だって、みんなのうしろにずっと、ぼくと同じくらいの子供がいたの・・・。後ろの少年ってあの子のことだと思った。」
しかし、その日以来は、崇はかごめかごめをしても、歌詞を間違えることはなかった。
かごめかごめをするときはご注意を。
あなたの後ろに見知らぬ少年が立っているかもしれない・・・。
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