研究成果展「抗体価の解析」 湯浅勝敏先生
こんにちは。武蔵野大学CLS学生スタッフです。
武蔵野CLSにて研究成果を展示されている先生方をご紹介します。
2人目は臨床薬学センターの湯浅勝敏先生です。
抗体価とワクチン接種
CLS:ワクチン接種をしても抗体価が基準を満たさない方がいるかと思うのですが、その場合はどのように対応しているのでしょうか?
湯浅:稀に、ワクチン接種を何回繰り返しても十分に抗体価が上昇しない人がいます。そのため、4種疾患(麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘)に関しては、原則、ワクチン接種を2回実施することで感染対策が完了したとして取り扱います。
理由として、ワクチン接種による獲得免疫機能には、「抗体」を産生することにより異物(ウイルス)を排除する液性免疫」と「T細胞という免疫細胞が異物を攻撃し排除する細胞性免疫」の2つのシステムがあります。そのため、ワクチン接種後に抗体価(液性免疫)が低くても、異物の排除に細胞性免疫が働くことが期待されます。また、免疫機能の効果に関して、一般に、体内で一度作られた免疫機能が再度抗原に接触することでさらに免疫機能が高まる(ブースター効果)とされています。そのため、2回目のブースター接種により免疫機能がより高められていると考えられます。
しかし、ワクチン接種はウイルス感染を完全に防止するものではありません。ウイルスが体内に侵入した際、抗体価が低い人は抗体価が高い人に比べ感染が成立しやすいと考えられますので、2回のワクチン接種済みであっても自分は抗体価が低い可能性があることを意識して行動して下さい。
ワクチン接種を打つメリットとは?
CLS:実習のためにワクチン接種が必要とのことですが、接種することでどのようなメリットが生まれるのでしょうか?
湯浅:メリットは、医療関係者のワクチン接種の2つの目的として捉えてください。
1つ目は、「自分自身を感染症から守る(感染予防)」ことであり、感染しても発症を抑えたり、症状を軽減したりすることができます。2つ目は、「自分自身が院内感染の運び屋になってはならない(感染拡大防止)」という点で、感染を拡げないためにも医療関係者は、一般の人よりも感染症予防に対して積極的である必要があります。対象となる人は、医療職・事務職・学生・ボランティア・委託業者(清掃員その他)を含めて、受診患者と接触する可能性のある常勤・非常勤・派遣・アルバイト・実習生・指導教官等の全ての医療関係者です。
そのため、実務実習に参加する薬学部の学生もワクチン接種を実施する必要があるのです。
ご研究について教えてくださりありがとうございました。
近年ワクチン接種には賛否両論あります。今回のインタビューで、ワクチン接種と抗体の関係性について根拠のある情報を得て、正しい知識を身に着けることが重要だと思いました。そして、自分自身の健康を守るためだけでなく、大切な人の健康を守るためにもワクチン接種について検討すべきだと考えました。
12/15まで武蔵野CLSでは学部学科に関連したポスター展示を行っております。
ぜひご覧ください。ご研究について教えてくださりありがとうございました。
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