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-Australian Road Trip 02-
予定通り行けば、満月の夜にはウルルに到着して、月食の中でやってるだろう満月パーティーで踊ってる自分を想像する中、案の定、見事なまでに遅れてる一行。 (みんな見事にゆるい!)
満月の朝、今夜中にウルルまで行くには、あと800Kmを走り切らなくてはならない。
2台の車が走る道は、内陸に向かうにつれ、街灯もなくなり、辺りは砂漠なのだろうか、真っ暗闇に包まれた。
曇ってるのか、月も星も見えない。
運転するみっちゃんと喋ってると、突然、車の横を何かが横切って行った。
2頭の大きなカンガルーだった。
車のライトに驚くのか、時々車の真横を並走したり、2車線しかない道を、バンバンと飛び超えていく。
僕)怖い!みっちゃん、怖いよ!
み)武蔵君は左側見といて、俺は右側注意してるわ!
どこにいるのか全く見えないカンガルー達が、時々車の前を横切って行いく度にハラハラした。
ゆるゆると、急ぎながら車は進むに連れて、今朝から一日中、交代で運転し続けてるみんなに次々と眠気が襲う!(車ってなんであんなに眠くなるの?)
運転手のみっちゃんと、起きてる数人は、窓を開けたり、ブルーハーツをバカみたいに大音量でかけて熱唱したりした。
【THE BLUE HEARTS】
眠い!猛烈に眠い!と、助手席でもがいていたら、
突然雨が降り出した。
み)雨降って来た!
僕)雨って降るの!?(砂漠です)
車内は雨だ!雨だ!と、みんなで騒ぐ。(目が覚める)
ザーッと雨がひと降りしたあと、雲が晴れてきて、目の前にすごい数の星空が広がって、僕らはまた騒ぎ出す。
寝てなかったせいもあるのだろう。
喋ってると眠気が飛ぶので、僕らはひたすらに喋り続けた。
オーストラリアすげー!!
自然すげー!
カンガルー出てこないでー!
時速40Kmの車内での熱気は異常なほどだ。
その時、フロントガラスの向こうに見えてる星空に、大きな流れ星が、ギラギラと長い長い軌跡を残して流れていった。
僕)キャー!!今の見た!?
み)見た見た!!なにあれ!!
後ろの席)なになに!?何が見えたの!?
僕)ほし!!ほしすごいのよ!!ギューン!て!
み)長かった!!今のは長かった!!
後ろの席)なに?なにがすごいの!?長いって!?どこ!どこに!?
もうパニックだった。
同時にハイロウズだった。
【ミサイルマン / THE HIGH-LOWS】
疲れて、うたた寝してた人をも巻き込んで、地球のへそへと向かう一行は、時々休憩を挟みながら、ひたすらに前へ進んだ。
寝ると、たちまち裁きが起こる車内。
ひとりは、みんなの為に!
みんなは、ひとりの為に!!(アニメ三銃士より引用)
(アニメ三銃士 -1987-)
どうやらウルル周辺ではUFOがよく飛んでるそうで、UFOグッズのお店を発見。
店員さんに、UFO見たんですか!?の問いに、昨日も見たよ。と軽く答える店員さん。(あなたも、まさか…)
結局何時間くらい走ったのか、満月が真上に昇りかかった頃、2台の車は、大きな駐車場に止まっていた。
やった。
着いた、、
やっと辿り着いたのだ。
街灯の全くない暗闇の中を、カンガルーの飛び出すのを気をつけながら、時速40Kmで数百キロの距離を走り抜いたのだ。
遠くに見えるウルルを前に、8人は寝袋を持ち出して、砂漠の上に次々寝転がった。
空では、大きな満月が徐々にかけ始めるところだった。
間に合った。
みんなそう思っただろう。
無言のまま、みんな空を見つめている。
いびきも聞こえる。
月食が始まったのを見届けると、僕は寝落ちしかけながら、思い出していた。
パーティー、やってないじゃん。
旅は、行く手段ひとつで、こんなにもドラマチックになるものなのか。
飛行機ならもっと楽に、映画を数本見てれば着くだろう距離を、1週間以上かけてやって来たのだ。
こんな贅沢な遊びは人生でも中々ない。
この記事を書く時、みっちゃんに電話してみた。
あの時、何キロくらい走ったのか、どのルートを通ったのか、みっちゃんは事細かに、あの時の事を鮮明に覚えてて、笑った。
この先、僕が朝食に何を食べたか忘れるようになったとしても、あの時の話はずっと伝えていく様な気がしてならないのだった。
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