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Kenya 14 仲良くなるということ。

宿主エノックが僕らの旅行を楽しいものにしてくれようと入念に考えてくれたプランを、ドンはきっちりこなそうとしてくれるのが嬉しい反面、僕はただ写真が撮り歩きたいとも思い始めてた三日目の事。


エノックから手渡された、一日に3箇所のおすすめの観光地が記されたメモを見ながら今日も車を走らせる。
(大体タイヤがパンクしたり、道に迷ったりで1、2箇所しか回れないのだけど)


勿論観光地も面白いのだけど、ローカルの人や彼らが日常すぎて何も思わないだろう風景や匂いやそこに流れる空気の中をカメラを持ってブラブラと歩きたかったので、思い切って一言切り出した。


僕)なるべくローカルの人の生活してる風景が見たいから、実はそんなに毎日遠くまで観光地に行かなくても、近所を見て歩けるだけで幸せなんだよねー。

ドン)あーそうだったね。でも観光も良いだろう?
観光嫌いなのか?


僕)いやいやいや、クレイジーに楽しいよ!!(焦り)
ただ、今回はローカルの人が見たくてケニアに来てるんだよ。


ドンは、とても不思議そう顔をして、


OK!今日の夕方には目的地に行くよ。
そこは俺の地元だから色々案内出来るよ。
まだ観光地にはなってないけどな!

ハハハーと笑ってるドンに、僕の話す英語の意味がちゃんと伝わってるのか心配になりながら、今日も観光地を巡るのだった。



ヒーローか刑事にしか見えない5人。


撮ってー!と言っていたけど、苔で足が滑ってこのまま動けなく姉ちゃん。


途中の国立公園で撮った写真の見事な被りっぷりに未だ送れないでいる。


バナナでも買うかー!と言っていたら、あんたは出ないで!ややこしくなるから!と全員から止められる。


ノリノリで来た岩山の上へ登った直後、実は高い所は嫌いなんだと明かすドン氏と、それを笑うガイドのおじさん。


ここまで来て、こんなに気持ち良い風景を全く見ないなんて。と呟く僕の後ろで早く降りようぜと逸るドン氏。

なんだかんだ言って、行ってみるとどこも楽しいのだった。




今日で最後の目的地に着くなら、言わなけりゃよかったかなあ。と少しだけ後悔しつつも、僕らはビクトリア湖の港までやって来た。

ドンの話す英語も、最初の頃は僕のレベルに合わせてかなりゆっくり言葉を選んでくれてたのだけど、毎日殆どの時間を共有してると、当たり前だけど会話もいつも通りの流暢な話し方になってきていて、

会話の内容ががわからなくなる度、


それってなんて意味?
その言葉、わかんない。
え、今なんて言った?


何度か聞き返すうち、彼は少し疲れた様子で、隣のシートを倒して寝てしまう事もあった。

わからない時は、ちゃんとわからないと伝えた方が良い!とよく耳にするけど、同時に会話ってリズムなのだ。

相手の話してるリズムを何度も止めてしまうと、コミュニケーション自体が成立しなくなる事もある。

それに加え、ケニアの穴だらけの道を避けながら運転の英会話は、もはや苦行。

ドンは特に気にしてる様子もなく、いつも通りなので、まあしょうがないと割り切って彼が寝てる間一人で港の村を歩き回った。




これまではドンといる事で、あまり人から声をかけられることもなかったのだけど、一人になった途端に声をかけてくる確率が格段に上がるから面白い。

大体は写真を撮ってくれ!とか、なんか買ってくれ!とかなんだけど、そんなひとつひとつの会話が新鮮でついつい近寄って行ってしまう。

村の中を30分ばかりブラブラして、ドンと船で一緒に食べようと、道売りしてたバナナを一房買って車に戻ると、彼ももう起きていて、軽く食事を済ませても帰って来ない僕の事をちょっと心配してくれていたようだった。

あぁ、本当優しいやつだなあ。

こうやってお互いの調子の良い時も悪い時も我慢しすぎず、出しすぎず、互いに様子を見ながら、そんな事を繰り返していくうち、じわじわとそれが身体に馴染んで親しくなっていくのだ。



言葉は通じる方が圧倒的に便利だけど、コミュニケーションを言葉だけに頼ってしまうと、相手の肝心な所が見えなくなる事もあるから難しい。

そして最後はやっぱり、あんたが好きや!の気持ちなんだと思う。

船着場で一緒にダンスしながら、予定より1時間ほど遅れて、僕らを乗せるフェリーがゆっくりとやって来たのだった。




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Musashi
いや、これ誰かからサポートあった時ほんまにむっちゃ嬉しいんですよ!!