チェコに住む理由
3年前、唐突にドイツの美大へいく事になったビエラ。
それまでの3年間、日本をベースにしてる間、その事をとても喜んでくれる反面、遠くて中々会えないね、と話していたビエラのご両親は、このドイツ生活をとても喜んでくれた。
それから数ヶ月に一度、互いの家を行き来して、食卓を囲みながら、
もし大学卒業後に住む場所をまだ決めてないのなら、チェコへ来てみれば?
というお誘い話が、時々話の中で出て来て、最初はお世辞話だろうと、本気にしてなかった僕らも、何度目かの話の中で、結構ご両親が本気で考えてくれてる事を知った。
ある日、ここでまた違う国に住み始めたら、この先両親の近くで住む事は、一生ないかもしれないから、今のうちに親孝行したい気持ちがある事をビエラから告げられ、出す答えはひとつしかなかった。
近くに住んで親孝行!
なんて優しい子!
絶対やろう!
こうして、中南米やアフリカ大陸に魅力を感じている僕達は、まさかの中央ヨーロッパでの暮らしを延長する事にした。
海がなくて冬が長い、石畳の優雅な城下町、言葉はチェコ語、友達もいないという、僕からすれば随分辺境の地だ。
旅行ならともかく、チェコに住んで一体何をしたらいいんだろうと、最初は憂鬱になってたけど、でも何の因果か、ここはアートに対しての評価とマネタイズする文化が進んでる、ヨーロッパ地方だと言う事を思い出した。
あれ、実はヨーロッパって、僕らにとって良い環境なんじゃないか。
絵を描いて、音楽を作って、また絵を描いてると、働いてる時間なんて全くないと言い放つビエラ。
最近髪が青くなったのだった。
ようやくドイツに慣れた頃に引っ越しの決まってしまった、島根のストリート育ちのたぬき。
今住んでる街で一番通ってるカフェのレンズ豆スープさえあれば、生きていける。
よくよく考えてみると、何の仕事を始めるにしろ、リスク0なんて職業はない。
仕事を始めるという行為自体が、ある意味何だってギャンブルだ。
例えば芸術家だって、その中のひとつの選択に過ぎないのだ。
既に世界中で、仕事とお金に対するイノベーションが起こり始めてるこんな時代、やり方次第で、僕らだって面白い仕事を作れるんじゃないか。
そんな事を考えながら、やるぞ!と鼻息を荒げる反面、ビエラのご両親に会っても、僕たち、売れっ子芸術家になるんです!とはまだ言えないでいる。
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