Kenya 11 -ハイエナ一家とリカオン-
ある日、「Ol Pejeta」内の、いつもと違うルートを車で走ってると、ハイエナの家族と遭遇した。
近くに車を停めてじっくり眺めてみると、その辺りにはあちこち穴が空いていて、その沢山の穴からは、時々ハイエナの子供が顔を覗かせたり、飛び上がってはまた別の穴に引っ込むのが見えた。
まるで猫か犬でもみたく、戯れあったりゴロゴロしてる姿がたまらなくて、そのまま僕らも一緒にダラダラとそこで寛いでいた。
翌日も、その次の日も、ふとハイエナの話になるとその場所を訪れると、やっぱりその一家はゴロゴロと寝ていたり、穴から出たり入ったりする子供達同士が遊んでるのだった。
いつも通りしばらく眺めてると、一頭のまだ小さいハイエナがゆっくりとこっちに近づいて来て、車の窓から顔を覗かせたり、クンクンと車のタイヤやバンパーの匂いを嗅いで周ってる。
目が合っても怯える様子もなく、車の中に手を伸ばして来るくらいやんちゃ。
なんて、なんて可愛いんだ!!ハイエナ!
全然違うじゃん!!
しつこくて、ずる賢くて、ちょい悪のイメージと全然違うじゃん!
誰だよ!あんなイメージ作ったやつ!(染まったのは僕ですけど)
その様子を見ていた他のハイエナの子供達も、次々と車に近寄って来て、そのうちバンパーやライトに張り付いた虫の死骸をガリガリと歯でこすり取って食べ始めたのを、僕らはニヤニヤ(デレデレ)しながら眺めていた。
丁度その時後ろに停まったもう一台の車にもぞろぞろと詰め寄って行く。
穴から顔を出してる姿がたまらん。
出発前日の夕方、また僕らはハイエナに会う為いつもの穴ぐらへと向かった。
いつも通りの光景、ただその10m程離れた所にリカオンという、見た目は犬のシェパードに似た動物が一頭、その家族の事をじーっと見てた。
そのうち、そのリカオンがハイエナの家族の元にひょこひょこと近づいていって、
最初は戯れるのかなと思って、笑いながら見ていると、どうやらそのリカオンは狩を始めたみたいだった。
普通リカオンという動物は、群れで行動するそうで、大勢で長い時間をかけて一頭を狩るというやり方なのだそうだ。
でもその彼(彼女)は一頭だけでジワリジワリと単独でいるハイエナに近づいては、背中に飛びかかる。
ハイエナ一家も、まとまったりバラバラになったりしながら、リカオンに牙を向けて抵抗してる。
(そんな事おかまいなしに遊んでる子供達もいるのが、ちょっと可愛い)
噛み付いては反撃されて逃げ出して、また別のハイエナに近づいて、というのを30分くらいは繰り返してただろうか、太陽もすっかり落ちて、見渡す限りのサバンナに夜が来る頃、遠くから一頭、また別のハイエナがやって来た。
近くまで来るとかなり大きい。
おそらくこの家族の長だろう、その一頭が来た途端、それまで喰ってかかってたリカオンが急に背中を向けて行くではないか。
これは分が悪いと判断したのか。
逃げていくリカオンを、その大きなハイエナはずっと遠くまで追いかけて行ってしまった。
後で聞いた話では、丁度数ヶ月前にリカオンの群れに突然病気が集団発症して、その群れの殆どが死んでしまったという事だった。
あの一頭は、その群れの生き残りだったのかどうかは知る術もないけど、
今頃お腹を空かせてるんじゃないか。とか、
あの一家は穴ぐらの中で安心して寝てるんだろな。
とか、ベッドの中に入っても中々寝付けずにいたのだった。
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