天国と地獄をいっぺんに味わえる!それがヨーロッパだ!(のか?)
-2009-
フェスティバルに来てから既に2日が経っていた。
僕は、初めてのフェスティバルに興奮しきっていて、寝る間を惜しんで一人、ブラブラとカメラをぶら下げて、色んなフロアで踊っていた。
ダンスフロアや、道端で一緒に来ていたみんなと遭遇すると、合流して遊んでた三日目の早朝、事件は起こった。
DJ NECOことマリリンが、
「なんかね、テントの様子が変なの」と言う。
とにかくみんなでテントに戻ろうと言い出して、僕は一体どんなギャグをかましてくれるのかと、笑いながらみんなとテントに戻った。
そして、テントの前で絶句してる他のみんなを見て、それがギャグじゃない事に気づいた。
テントがね、裂かれてるの。
そう、テントの後ろ側一面がパックリと裂かれていて、中が丸見えになってるのだ。
一同絶句。
ともかく、みんなそれぞれ自分の荷物をチェックすると、メキシコから遥々一緒に来ていたモトシが、完全に止まってる。
俺のリュックが、ない。
一同さらに絶句。
テントの一番奥に置いていたリュックが無くなってる。
ベルリン在住のDJ、かっちゃんも続いて叫ぶ。
俺の小物入れも無くなってる!
絶望だった。
まだ事件が起こってる事を知らず、浮かれる明け方のみんな。
こんだけテントが並ぶ中、盗難に選ばれるなんて、宝くじ並の運。
寝ずに踊り明かした後、まさかの盗難に真っ白になるモトシと、慰めに周るマリリン。
裂かれたテントをさとちゃんがさくっと縫い直してくれた。
荷物は持ち歩けるだけ。
盗られても諦めがつくものだけ。
まさかのヨーロッパって、そういう場所なのだと知った。
悲しい出来事は嵐のように突然やって来る。
乗り越えるには、周りのありったけの愛が必要だ。
そして、俺の、俺の荷物は、、
入り口にポンと置いてあるじゃないか。
そうだ!
パソコンとカメラ機材一式を持って来ていた僕のリュックはとても大きく、テントの奥に置き場がなかった為、入口に放り出していたのが逆に目につかなかったのか、運良くそのまま転がってた。
真っ白になったモトシとかっちゃんを、みんなで慰めて、とりあえず辺りの人達に聞いて周ったのだけど、みんな口を揃えて怒り狂ってる。
このフェスティバルにそんな事するやつがいるなんて信じられない!
狂ってる!!
ここはそんな奴らの来て良い場所じゃねえ!
うおー!!
その後、他のテントでも同じ様な事件があった事を知った。
僕らは二人を慰めつつ、この広大な会場内で犯人を見つける事がもはや不可能だと悟っていた。
少しずつ落ち着きを取り戻してきた二人は、
まあしょうがないね、とりあえず、、、
踊りに行こうか。
と、びっくりする程冷静でポジティブな発言を繰り出す。
僕なら泣き叫んでるかもしれないのに、彼らは、いくぜ!!と再び音の鳴るダンスフロアに向かう。
そして、その後みんなでひたすら踊りまくった。
男だ、こいつら、本物の男だよ。
僕は二人の背中を見て、いつかこの事をネタにしようと心に誓ったのだった。(したぜ!)
しかし、まさかフェスのテントを襲うなんて事は、まるで一番信用してる仲間から裏切られたような気持ちだ。
みんな、ここで一緒に音楽やダンスを楽しむ為に100ユーロ近くするチケットを買って集まった、言わば同士だろう。
わざわざここまでやって来て、盗みに走るなんてあまりにもセコい。
そんなやつは、生涯好きになる人達から裏切られ続ければいい!
一生深爪のままでな!
それ以降、フェスティバルに行く時は超最小限の荷物だけで、カメラや財布は肌身離さず持ち歩いている事は言うまでもない。
経済的にお金がある国 = 安全て訳じゃないのね。
むしろ気をつけるべきはこういう場所なのだと、早速ヨーロッパの洗礼を受けたのだった。(モトシとかっちゃんが)
みんなも気をつけようね。
【ベルリンで絶賛活躍中の DJ NECO MIX はここで聴けるよ】
【インスタでも連載中】
【感想はレターポットだとさらに嬉しい】
いや、これ誰かからサポートあった時ほんまにむっちゃ嬉しいんですよ!!