南の島で誕生日を
シベリア人の絵描き、ビエラと暮らしてると本当暇しない。
先日、もうすぐ彼女が誕生日を迎える事を思い出した僕は、「誕生日何したい?」と、ほんの軽い気持ちで訪ねた。
この、何したい?って言葉の意味は、コンサートに行くとか、外食するとか、ピクニックに行くとか、その類の「何したい?」のつもりだった。
一瞬考えた彼女が出した答えは、
「うーん... 南の島で過ごしたい!」
だった。
一瞬冗談かと思った僕は、へへへ。と笑ったが、どうやら彼女は冗談で言った訳ではないらしい。
本気だ。
本気で南の島なのだ。
な、斜め上すぎる答えじゃないか。
南の島なんて答えは、どこでもドア欲しい!って言ってるのと同じレベルの響じゃないか。
年末にようやく引っ越しをして、新たに買い足す物もあったりで、うちには、今お金なんてまるっきりない。
そんな事は彼女も知ってるはずだ。
それを承知でビエラは、南の島で誕生日を過ごそうぜ!と言ってるのだ。
そこで僕は、ハッとした。
聞いた瞬間、そんなの無理!無理無理無理!!と一瞬で決めつけていた。
こういう事は、これまでも何度かあった。
あれは数年前の事だ。
二人でインドネシアを旅行中、バス乗り場で、子猫が必死そうに鳴き続けてるのが聞こえてきた。
どうやらバス停の隣にある雑木林か、溝の中で鳴き続けてるみたい。
こんな光景は、ここではよく見るし、僕は全く気にしてなかったのだけど、ビエラは何かに惹かれる様に、溝の隙間で鳴いてる子猫を見つけて、拾い上げた。
そして、すぐに近くに親がいないか探し始めたじゃないか。
どこにでもいる猫
どこにでも歩いてる牛家族
どこにでもいるやんちゃな子供達。
その様子を見てた隣のお店のおじさんが、
「この猫の親はこないだ車に轢かれて死んでしまったよ。この子もすぐに死ぬから放っておけばいい」
と、日常茶飯事なのだろう感じで教えてくれた。
ほらー!知っちゃうと余計可哀想になるから、放っておけばいいんだよ。
と、僕は内心思ってると、彼女はその猫を抱き上げて、じゃあ貰ってもいいよね!と、持って来てしまったじゃないか。
どうするのよ、俺ら旅行者だぜ。
絶対助けるなんて無理!無理無理無理!!
が僕の本音だった。
まあ、もう見つけた、ショウガナイネ!が口癖のビエラ。
人間より動物の方が大変ネ!って言われると、仏ですか?って気がしてくる。
同士を発見。
そんな僕を気にする様子もなく、彼女は近所のスーパーでミルクと猫用の缶詰を買って食べさせて、ネットで動物病院や保護施設を探し出し、子猫を抱いたまま、二人でバイクを走らせて保護施設を探し回った。
もうその頃になると、僕まで感情移入してしまって、後ろに猫を抱えたビエラを乗せて、でこぼこの道をバイクで走る。
そして2軒目の保護施設で事情を説明したら、なんと他の犬猫達と暮らしながら新しい飼い主を探してくれる事になった。
子猫の命を本当に助けちゃったよ。
マジか。
翌朝、フルーツてんこ盛りで祝う。
目に止まったアトリエに入ってみると、絵描きの彼がお茶と演奏で持て成してくれた。
親切にされると、全部、あの子猫のせいなんじゃないかと思ってしまう。
泊まってた間中、大抵隣にいた、宿に住み着く子猫。
飼ってる水牛達に、30分以上もバケツで水を掛け続けてたおじさん。
30度以上ある炎天下の中でだ。
宿の前で新しいホテルを建設中の人達が、余りにも暑そうだったから、何回かスイカを差し入れしたら、物凄く喜ばれて、こっちまで嬉しくなった。
そういう事がビエラと旅行に行くと時々あって、その度に僕は心の中で、で、出た!またー!と思いつつも、その選択をしちゃう時点で一生リスペクト!
一体なんの運命なのか、そんな彼女とせっかく一緒に生活してるのだ。
とことん付き合ってみようじゃないか。
という事で、ビエラの誕生日を南の島で祝う事にしたよ。
誕生日まであと10日。(2月16日)
ビエラは早速、フレンドファンディング(ポルカみたいなの)を使って、友達に誕生日をおねだりしつつ、昨日書き下ろした、お祝いカード用のイラストをフリーで配り始めたので、僕はビエラのやってるオンラインストアの日本版を昨夜作ってオープンした。
こうして色々動き出すと、ただ待つだけの誕生日よりも俄然面白くなってきた。
目標6万円で、今2万3000円くらい集まってるんだそう。
せっかく南の島に行くなら、クジラが見れる所に行こうぜ!ってさっき言ってみたら、大賛成!だって。
僕もわくわくしてきた!
どうせ行けなかった予定なのだ。
人生はどの道を選んでも冒険なのだから、思い切りやってみよう。
ビエラの生誕を祝って、本人が書き下ろしたお祝いカードを、今だけフリーでダウンロード出来ます。
ポストカードサイズにプリント出来るので、ぜひ誰かに送ってみてね。
【ここからダウンロード出来ます】
【アンクルキャットストア】
ビエラの作る雑貨屋がオープンしました。
今はまだ小さなお店で、一点物とかもあるので、気になる人は見てみてね。
ここの売り上げは、全額南の島行きに使います!
【こちらで買えます】
ポルカを立ち上げました。
ビエラの誕生日を南の島で祝いたい!
【Bela Unclecat】