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PdM講座9-1 課題設定と解決のフレームワーク


はじめに


初めまして!
現在、株式会社contento というコンサルティング会社で代表を務めている小川正樹と申します。

noteでは、これまで私が複数の会社で働き、そこで得てきた経験について会社ごとに紹介しながら、プロダクトマネージャーとして学んできたことや日々の持論について書いていきます。

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今回は、PdM講座第9回『「考える」スキル④』の「解くべき課題を決める手法 ズームイン(具体化)(2)」についてです!

PdM講座全体像

第9回は前編・後編の2編構成で書いていきます。
今回はその前編で、テーマは「課題設定と解決のフレームワーク」についてです。


ズームインの代表フレームワーク5選


前回、解くべき課題を決めるための思考法である『ズームイン』について説明しました。
今回は、そんなズームインのコツとして、分解に役立つ代表的な『フレームワーク』をご紹介します。

①3C・4C


3Cとは、「顧客(Customer)」「自社(Company)」「競合(Competitor)」の頭文字を取ったもので、
4Cはこれに「販売経路(Channel)」を加えたものです。

これは事業戦略を作るときのフレームワークで、上記の4つの切り口で考えるとMECEだというのがビジネスの定説になっています。

②4P


4Pとは、マーケティング戦略を作るときのフレームワークで、
プロダクト(商品)」「プライス(価格)」「プレイス(流通)」「プロモーション(Promotion)」の頭文字を取ったものです。

マーケティング戦略を考えるときには、上記の4つの切り口で考えるとMECEだと言われています。

③バリューチェーン


バリューチェーンとは、営業・調達・製造・販売・メンテナンス・CSといった、ビジネスの成り立ちのフローを分解するためのフレームワークで、コスト構造を変えたり、生産性を上げなければいけない時に使用するものです。

分解していくことで、どのプロセスを改善するのか、課題があるのかを絞り込むことができ、競合と比較して「調達は優位だけど、販売は弱い」と、
自社の強みと弱みを分析することができます。

バリューチェーンのイメージ

④マーケティングファネル


マーケティングファネルとは、人がものを買って顧客になってくれるまでの流れを図示したフレームワークです。
認知・理解・検討・購買・リピートといった、購入までのフローを分解することで、「どのプロセスを改善したらいいのか?」「どこに課題があるのか?」を絞り込むことができます。

マーケティングファネルのイメージ

⑤7S


7Sとは、組織のパフォーマンス戦略で用いられるフレームワークで、全ての会社に共通するとされる、以下の要素の頭文字である「S」を取ったものです。

  • Shared Value (共有価値観、理念、経営方針)

  • Strategy (戦略)

  • Skill (組織能力、会社としての強み、営業力とか設計力とか)

  • Structure (組織構造)

  • System (運営システム、意思決定ルール、人事制度など)

  • Staff (人材、社員一人一人の能力のこと)

  • Style (社風・企業文化)

組織のパフォーマンス戦略を考えるときには、上記7つの切り口で考えるとMECEだと言われています。

これらのフレームワークは、課題を考えるにあたってはとても便利なものです。
過去の偉人達が作ってくれたものですし、フレームワークで語っていると、とても賢く見えるかもしれません。

ただし、フレームワークに頼りすぎるのは危険です。
上記の5つは全て便利ですが、所詮は「定説」にすぎず、より深く掘り下げようと思うとフレームワークだけでは足りないことも多いです。

そのため、考える力を養うためにも、「どう分解するのが一番良いのだろうか?」と自分で考えることが一番大切です。


フレームワークを使わずに分解するコツ


では、フレームワークを使わずに自分で考えるにはどうしたら良いのでしょうか?
ここからは、フレームワークに頼らず課題を分解するための2つの手法について解説していきます。

1. 足し算と掛け算での分解


最初にご紹介する手法は「足し算・掛け算」を用いるもので、より細かく分けると、さらに2種類の分解方法があります。

1つ目は「数字的な分解」です。
例えば、「売上」といった数字で表せるものであれば、「売上 = 面談件数 × 成約率 × 1製薬あたりの単価」のように足し算・掛け算で分解することが可能です。

2つ目は「概念的な分解」です。
例えば、「なぜ日本人は英会話が苦手なのか?」という問いを考えると、
課題は「先天的な問題」「後天的な問題」に分けることができます。

このような相対して抜け漏れのない2つの概念を『ペアコンセプト』と言い、2つの概念を足し算して100%になっていれば、MECEに全体を捉えられていると言えます。

ペアコンセプトによる課題分解の例

2. マトリクスでの分解


先程の「足し算・掛け算での分解」は、課題を『ツリー』のように分解していく方法ですが、それ以外にも『2軸(=マトリクス)で分ける方法』も有効です。

ここでは、2軸で分ける具体例として「ウィルスキルマトリクス」「PPMマトリクス」の2つをご紹介します。

・ウィルスキルマトリクス

「ウィススキルマトリクス」とは、社員や部下の個々の課題を把握するために用いるもので、「意欲(Will)」「技能(Skill)」の2つの軸で考えます。

ウィルスキルマトリクスのイメージ

例えば、このマトリクスに自分の部下をマッピングすると、個人によって抱えている課題は異なり、違った解決策が必要だと分かります。

例えば「Will」は高い一方、「Skill」が低い場合はトレーニング不足ですし、
逆に「Skill」は高いが、「Will」が低い場合、どうしたらモチベが上がるのかを考えないといけません。

・PPMマトリクス

次に紹介する「PPMマトリクス」は、『市場の成長性』『自社の競合優位性』の2軸で分解する手法で、自社の事業に対し、資源を投資するべきか、撤退するべきかを判断するために使用します。

PPMマトリクスのイメージ

例えば、市場も伸びていて、自社も強いところには「投資すべき!」と判断できますし、逆に停滞気味の市場で、自社もそれほど強くなければ「撤退すべし」だと判断することができます。

また上図のように、マッピングする丸の大きさで『市場の大きさ』を表すと、さらに市場状況が分かりやすくなります。

ただし、この2つも決して万能なわけではありません。

そのため、このような既存の考え方を使用せずとも、課題に応じて自分自身で最適だと思う2軸を考えて、マトリクスを作る必要があります。

例えば、自分の担当するタスクが山ほどある状態では、まず何から取り組むべきか考える際に「緊急度×重要度」の軸で分けると、優先順位が付けやすくなるでしょう。

つまり、繰り返しにはなりますが、フレームワークに頼りすぎて「自分で考える力」を失ってしまわないためにも、自分自身で「この課題を分解するために最適な切り口は何だろう?」と問い続けることが何よりも重要なのです。


最後に


今回の記事では、「ズームインの代表的なフレームワーク5選と、その活用方法」について説明しました。

「4C・3C」「4P」「バリューチェーン」「マーケティングファネル」「7S」といったフレームワークを駆使することで、課題解決へのアプローチがより具体的になり、効率的な戦略立案が可能になります。

ただし、これらはあくまでツールであり、フレームワークに頼りすぎず、「足し算・掛け算」での分解や「マトリクス」での分解など、自分自身の視点で柔軟に考える力を養うことも大切です。

今回の内容を参考に、自らの課題に応じた最適な分解方法を見つけ、自分自身の頭で考える力を養っていきましょう!

次回の記事では、ここまで何度もお伝えしてきた「フレームワークに頼りすぎることの危険性」についてもう少し詳しくお話しするので、ぜひそちらもあわせてご覧ください!

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