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PdM講座4_番外編 トラクションモデリング_テスラの事例

初めまして!現在、株式会社contento というコンサルティング会社で代表を務めている小川正樹と申します。

noteでは、これまで私が複数の会社で働き、そこで得てきた経験について会社ごとに紹介しながら、プロダクトマネージャーとして学んできたことや日々の持論について書いていきます。

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今回はPDM講座第4回「ビジネス開発基礎③」の「トラクションモデル(再現性)の構築」の番外編です!

PdM講座の全体像

番外編の今回は、前回の記事で扱った「トラクションモデリング」についてより詳しく皆様に理解してもらうために、
電気自動車で有名な「テスラ」の事例を用いて説明したいと思います。


トラクションモデリング×テスラ

テスラの創業者兼CEOであるイーロン・マスク氏は『「炭化水素経済」から「太陽電気経済」への移行』という大きなビジョンを掲げていました。

そしてこのビジョンを実現するために、マスク氏は「手ごろな価格の100%電気自動車」を手段とするわけですが、
とはいえ、いきなりこの莫大なビジョンを実現するのは難しいものです。

そこで、イーロン・マスクはどうしたのかというと、
ビジョンの実現にあたって、いきなりすべてを解決しようとはしませんでした。

では、具体的に何をしたのかというと、
最初の製品として、「テスラ・ロードスター」という高性能な電動スポーツカーを、「ロータスエリーゼ」という他社製品のボディを使い、エンジンだけを電動に変えて制作しました。

そして、この製品を高額で販売することにしたのです。
なぜかというと、『高性能・高級車』という「テスラ・ロードスター」のポジショニングと、アーリーアダプターの両方に適合させるためでした。

具体的には、高性能・高級という特徴に合うターゲットとして、
EVに期待を寄せる裕福なアーリーアダプター層や、スポーツカーを愛する自動車マニア層に絞ってアプローチしました。

このようにして、製品を一から開発せず、ターゲットを絞ることによって、
生産規模を制限しつつ、製品改造に注力することができたのです。

そして、最初のターゲット層からの信頼を築いた後、
最終的なビジョンを実現するために、少しずつ生産を拡大し、少しずつ安価なモデルも市場に投入しています。

実際、2019年には350万円(3.5万ドル)の電気自動車(Model 3)が日本市場でも販売され、一般消費者もターゲット層に組み込まれるようになっています。


最後に

今回はPdM講座第4回の番外編として、テスラのトラクションモデリング事例をご紹介しました。

イーロンマスクは最初からビジョンの全てを実現しようとするのではなく、
一見、最終的な目標である「手ごろな価格の100%電気自動車」とは異なる「高級・高性能な電動スポーツカー」という限定した製品から始めることで、

電気自動車にマーケット(ニーズ)があるのかどうかを調査しながら、
マーケットを開発していき、

少しずつ値段も下げていくことで、
「炭化水素経済」から「太陽電気経済」への移行というビジョンの実現に近づいているのです。

皆様もぜひこのテスラの事例を参考に、
トラクションモデリングを意識しながらスタートアップや新規事業に取り組んでみてください!

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