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PdM講座9-2 フレームワークの罠と課題の本質を見極めるためのコツ


はじめに


初めまして!
現在、株式会社contento というコンサルティング会社で代表を務めている小川正樹と申します。

noteでは、これまで私が複数の会社で働き、そこで得てきた経験について会社ごとに紹介しながら、プロダクトマネージャーとして学んできたことや日々の持論について書いていきます。

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今回は、PdM講座第9回『「考える」スキル④』の「解くべき課題を決める手法 ズームイン(具体化)(2)」についてです!

PdM講座全体像

第9回は前編・後編の2編構成で書いていきます。
今回はその後編で、テーマは「フレームワークの罠と課題の本質を見極めるためのコツ」についてです。


「MECE・フレームワーク信仰」で陥りがちな3つの罠


前回の記事では「フレームワーク」について紹介してきましたが、
フレームワークの頼りすぎは良くありません。

例えば、良く陥りがちな問題として、次の3つのパターンが挙げられます。

①「一般論型」


フレームワークやMECEを使って一生懸命整理するものの、「で?」となるパターン。

つまり、分解した結果、出てきた全てが課題であることは分かったものの、「結局、何が一番大事なの?」となることがあり、「だから、何をすれば良いの?」となってしまう、=一般論に落ち着いてしまうパターンです。

例えば、「女性管理職活用はなぜ進まないのか?」という問いに対して、
7Sのフレームワークを使って、次のように分解できたとしましょう。

「で?」となりがちな「一般論型」

ですが、この分解から何が導けるのでしょうか。。。

このように「で、何が課題なのだろう?」となってしまうのが「一般論型」の問題点です。

②「評論家型」


「評論家型」は、MECEで綺麗に構造化でき、分解もきちんとできてはいるものの、抽象的すぎてよく分からなかったり、言葉の定義が曖昧になってしまっていたりするパターンです。

例えば、先ほどの「女性管理職活用はなぜ進まないのか?」という問いに、
今度はペアコンセプトなどの概念を用いて、以下のようなツリー状に分解したとしましょう。

抽象的過ぎる「評論家型」

一見すると、上のツリーは上手に分解できているように見えるかもしれません。

しかし、詰めてみると「ソフトとハードって何?」とか、「制度って何の制度?」と疑問が次々と浮上してきます。

このような、全体的に言葉の定義が曖昧になってしまい、抽象的でさっぱり分からないのが「評論家型」の問題点です。

③「砂上の楼閣型」


また、MECEに分解しているつもりでも、そもそも理由や根拠を考え抜けていない、調べきれていないパターンも多いです。

例えば、「女性管理職活用はなぜ進まないのか?」に対して、以下のようにウィルスキルマトリクスを用いて整理し、「スキルは高いけど、ウィルが低い」と結論付けたとしましょう。

詰めの甘い「砂上の楼閣型」

しかし、「そもそもウィルの高低は何を基準に決めたの?」とか、
「誰に聞いて決めたの?」「何人に聞いたの?」など、詰めの甘い所が多いです。

このような場合の多くは、フレームワークを用いて整理することが先行してしまっていて、検討不十分なまま「感覚値」で概念を整理してしまっている可能性が高いです。

その結果、理由や根拠を考えきれていなかったり、調べ抜けていなかったりしていて、詰めの甘い所を「なぜ?」「ほんと?」と問われると瓦解してしまうのが、このパターンの問題点です。


課題の本質を理解するための3つのポイント


フレームワークを使う際に、こうした罠に陥らないためには、
解くべき課題の本質を理解することが大切です。

そのためには、以下の3つのポイントから課題を問い直してみることが有効です。

  1. 「言葉の定義」が明確か

  2. どんな課題解決にリソースを集中するか「具体的に判断」できるか?

  3. 解決策が「アクションレベル」で透けて見えるか?

つまり、誰が聞いても共通認識の持てる言葉で定義されていて、
誰が聞いても何が最も重要な課題なのかを判断でき、
解決策に落とし込めるレベルまで「具体的」に分解されている。

別の言い方をすれば、以前ご紹介した『SMART』のフレームワークをきちんと満たせていると、表面的な課題ではなく、本質的な課題を捉えられていると言えます。

SMART
目標を明確にし、達成に向けた道筋を具体化するためのフレームワーク

「S」Specific:具体的である

「M」Measurable:達成できたかどうかを事実で判断できる
「A」Action Oriented:アクションに落とせる
「R」Relevant:意義が明確
「T」Time-Limited:期限が明確

つまるところ、フレームワークなどを使って課題を整理したら、再度自分自身で問い直してみるべしなのです。

  • 「上記3点を満たす分解ができているのか?」

  • 「『ズームイン』の思考法ができているか?」

課題をただ考えて終わりではなく、再度上記2つの観点から見つめ直してみましょう!


最後に


今回は「フレームワークの罠と課題の本質を見極めるためのコツ」についてお話しました。

フレームワークやMECEを活用する際、一般論型評論家型砂上の楼閣型といった3つの罠に陥るリスクがあります。

これらを回避するためには、「言葉の定義を明確にする」「具体的に判断できる」「アクションレベルで落とし込む」という3つのポイントが重要です。

フレームワークはあくまで課題解決の手段に過ぎません。
本質を捉えるためには、一度分解した内容を『ズームイン』の思考で再確認し、具体性を追求することが求められます。

今回の記事を参考に、課題の本質を見極め、確かな解決策を導き出していきましょう!

次回の記事では、これまで紹介してきた『ズームイン』と反対の思考法である『課題解決における仮説検証アプローチとしてのズームアウト手法』について解説します。

ぜひそちらもご覧ください!

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