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はじめに


初めまして!
現在、株式会社contento というコンサルティング会社で代表を務めている小川正樹と申します。

noteでは、これまで私が複数の会社で働き、そこで得てきた経験について会社ごとに紹介しながら、プロダクトマネージャーとして学んできたことや日々の持論について書いていきます。

小川のTwitterです。よろしければフォローお願いします! https://twitter.com/musan634


今回はPdM講座第8回『「考える」スキル③』の「解くべき課題を決める手法 ズームイン(具体化)①」についてです!

PdM講座全体像

第8回は前編・後編の2編構成で書いていきます。
今回はその後編で、テーマは「『ズームイン』のコツ」についてです。


『ズームイン』のコツは2つ


前回の記事でも扱ってきた通り、解くべき課題を決める際に重宝される思考法が『ズームイン』です。

そして、この『ズームイン』をするためのコツが以下の2つになります。

  • ピラミッドストラクチャー

  • 「筋の良い」分解をするための2つの条件を押さえる

今回はこの2つのコツについて、深く掘り下げていきましょう。


コツ1:ピラミッドストラクチャー


世の中の課題は、すべてピラミッドストラクチャーで表すことができます。
そのため、課題を考えるにあたってはまず、その課題の構成要素をピラミッドストラクチャーにして、構造的に書き表してみることが大切です。

「ピラミッドストラクチャー」の最大のメリットは、
選択肢や理由などを分解していくとき、どれか1つを選んだら、それ以外の選択肢は検討しなくて良いことです。

例えば、「1成約当たり単価」に課題があると絞り込めたら、
それ以外はもう検討したり、情報収集したりする必要はありません。

全部解こうとすると課題が混合してしまい、本質的な課題を解けなくなってしまうので、まずはピラミッドストラクチャーを作り、一番重要な課題に特化して考えることが大切です。


ピラミッドストラクチャーの作り方とコツ


ピラミッドストラクチャーを作るにあたって、最初から丁寧に分解しようとする必要はありません。
課題に向き合う最初は限られた情報しかないので、粗くても良いので1つ1つをしっかりと分解しながら、ピラミッドストラクチャーを作っていくことが大切です。

そして、1段階ずつ調べて、1個ずつ大きな枝を切っていく。
そうすることで、最終的には本質的な課題に辿り着くことができます。

そんなピラミッドストラクチャーを作る時のコツとしては、次の3つが挙げられます。

  • 最も重要な「結果/結論」から分類すること
    :ゴール・理想の姿からブレイクダウン(逆引き)して分解する

  • MECE感を心がけること
    :漏れなく、ダブりなく構成要素を洗い出すこと(詳細は後ほど)

  • 右側に行けば行くほど具体的にしていくこと
    :掘れば掘るほど具体的な要素となっていること

要するに、結論から逆引きして考え漏れなくダブりなく分解していき左(頂点)から右(末端)へと少しずつ具体的になっていく。

この3つのポイントを押さえることで、本質的な課題を掘り当てられるような「ピラミッドストラクチャー」が作れるようになります!


ピラミッドストラクチャーの掘り下げ方は2種類


そして、ピラミッドストラクチャーを作るにあたっては、考える課題の種類によって2通りの掘り下げ方があります。

1, 原因追及のピラミッドストラクチャーの場合

1つ目は、過去に起こったものの「原因」を特定するための方法です。
要するに、最も重要な「結果」=すでに起こっている困った状況をピラミッドの頂点に置き、原因を追究するアプローチ手法のことです。

原因追及型の場合は、何故それが起こったのか、なぜ困った状況が生じているのかを「Why?」で掘り下げていきます。

2, 課題解決のピラミッドストラクチャーの場合

2つ目は、未来における理想を叶えるための「解決策」を考える方法です。
こちらは、最も重要な「結論」=未来における望ましい状態(=目的・ゴール)を頂点に置き、「そのためにどうすれば良いのか?」を掘り下げていくアプローチ手法になります。

つまり、「How?」(どうしたら望ましい状態を作れるか?)で未来の理想から逆算して、現状と理想とのギャップを掘り下げていきます。

ここで重要なのは、ピラミッドストラクチャーには2つの掘り下げ方があり、必要なときに正しい方法を使うことです。

例えば、「どうしたらいい?」を考えるのに、原因追求型で「Why?」ばっかり考えていても、原因を考えているだけで、いつまでも解決策は出てきません。

原因を追及しているのか、それとも解決策を探しているのか、
今の自分が取り組んでいることに合わせて、ピラミッドの作り方は変えていきましょう!


コツ2:「筋の良い」分解をするための2つの条件


2つ目のコツは、「筋の良い」分解をするための2つの条件を押さえることです。
その条件というのが、以下の2つになります。

MECE感がある
・意味のある切り口で分解する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。


1. MECE感がある

1つ目の条件は、「MECE感がある」ことです。

この「MECE(ミーシー)」というのは、Mutually Exclusive Collectively Exhaustive の略で、「漏れなく、ダブりなく全体が捉えられている」という意味です。

課題の分解にあたっては、漏れがあってはダメですし、ダブりがあってもいけません。
というのも、漏れがあると本質に辿り着かない (間違ったものを消してしまう)ですし、ダブるといつまでも絞り込めない (消したはずの要素が生き返ったりする)からです。

そのため、漏れなく、ダブりなく分解していく必要があるのですが、
ただし、100%厳密にMECEでなくてもかまいません。

ニュアンスとしては、「すごく厳密に考えれば多少の例外もあるけれど、直感的に違和感なく、ほぼカバーされていると思えるなーー」このレベルで大丈夫です!

もちろん、100%すべて抜け漏れもなく、ダブりもない分解ができれば、それに越したことはありませんが、人間の脳で考えるにはどうしても限界があります。

それに、MECEに分解することにこだわりすぎて、ただの分解屋・分析屋になってしまってもいけません。

重要なのは、あくまで「MECE感」があるかどうかで、
直感的に漏れもダブりもない程度の分解ができていればOKです。

MECEに考える時のコツとしては、以下の3つがあります。
これらを押さえることで、納得に足るMECE感のある分解ができるはずです!

  1. 全体を明確に定義する(前提を適切に定義する)
    【男性・女性】という分け方
    ・全体が「生物学的に捉えた場合の人間」ならMECE
    ・全体が「トイレ」ならMECEでない → 多目的トイレが抜けている
    ⇒前提の置き方によって切り口が「MECE」になるかどうかは異なる

  2. いきなり具体的な要素を出さない
    【国籍別】という分け方
    ・人間を「日本人」「中国人」「アメリカ人」・・・と分けると逆に漏れる
    ⇒2~4つくらいの粒度で分けるとよい2つが一番シンプルで簡単
    (例)男性・女性、成人・未成人、既婚・未婚 など

  3. 定義の明確な言葉で分類する
    【男性・女性・子供】という分け方
    ・子供にも男女があるので、MECEでない
    ⇒【成人男性・成人女性・未成年】という分け方だとMECE

これら3つのポイントを押さえて、漏れやダブりがないように課題を分解していきましょう!


2. 意味のある切り口で分解する

2つ目の条件が「意味のある切り口で分解する」ことです。

言い換えると、課題を絞り込むときに、意味のある切り口で要素をグルーピングすることと言えます。

例えば、前回の記事で扱った事例で、「Aさんの売上はなぜ低いのか?」の切り口は「面談」「成約」「お金」の3つでしたが、それ以外にも、「顧客地域別の売上」といった他の切り口もあり得たでしょう。
そのため、違う切り口であれば、別の課題が見つかったかも知れません。

しかし、粒度をあまりに小さくしてしまうと、むしろ意味のない分析になってしまうこともあります。

例えば、あるコーヒーショップの売上を見積もるとして、、、

  • 売上 = 客数 × 客単価

  • 客数 = 座席数 × 稼働率 × 回転率

  • 客単価 = 購入数 × 平均単価 

ここまでの分解であれば大丈夫ですが、、、

この「客数」を「男性」と「女性」に分けて、購入数と平均単価を見積もろうとしても、それほど意味がありません。
男性であれ、女性であれ、基本的に飲むコーヒーの購入数は一杯でしょうし、平均単価にもそこまでばらつきはないでしょう。

そのため、分解は「客数」「客単価」を求める程度に留めておくべきです。

これがMECEの罠で、分類・分解することに頭を取られるのではなく、
あくまでも、課題の分解は「答えを出すための手段」に留め、答えの出るような粒度感でMECEを意識しましょう。

とはいえ、そんな「意味のある良い切り口」が一発で見つかるとは限りません。

そもそも「意味のある切り口」自体が課題によってまちまちですし、何が「意味のある」なのかは、状況に応じて自分で考え続けなければならないのです。

そのためには、、、

  • 「意味のありそうな切り口」が出てきたら、本当に意味があるのかどうか検証する。

  • そして、意味がないと感じた時点で、その切り口は潰し、切り口をどんどん絞っていく。

この繰り返し作業が何よりも重要です。

本質的な課題が見えるまで、掘り下げる途中で分かった気にならないよう、とことん突き詰めて分解していきましょう!


最後に


今回は『ズームイン』のコツについて解説しました。

『ズームイン』のプロセスでは、「ピラミッドストラクチャー」「筋の良い分解」の2つのコツを活用することで、効果的な課題発見と適切な解決策の策定が可能となります。

  • ピラミッドストラクチャーを用いることで、課題の本質に迫るための整理や、重要なポイントの見極めがしやすくなる。

  • MECEを意識し、意味のある切り口を用いることで、ダブりや漏れのない、筋の良い分解ができるようになる。

この2つのポイントを意識して『ズームイン』に取り組むことで、
皆さんの課題解決スキルをさらに高めていきましょう!


次回からは、『「考える」スキル④』として、本章で扱った『ズームイン』の思考法をより掘り下げて解説していきたいと思います。
次回の記事では、最後に扱った「筋の良い切り口」を見つけるためのより詳細なコツについてご紹介しますので、ぜひそちらもご覧ください!

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