PdM講座5-1 顧客ファクトリーとその設計図
はじめに
初めまして!現在、株式会社contento というコンサルティング会社で代表を務めている小川正樹と申します。
noteでは、これまで私が複数の会社で働き、そこで得てきた経験について会社ごとに紹介しながら、プロダクトマネージャーとして学んできたことや日々の持論について書いていきます。
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今回はPdM講座第5回「ビジネス開発基礎④」の「顧客ファクトリーの設計図」についてです!
第5回は3編構成で書いていきます。
今回はその第1編目で、テーマは「顧客ファクトリーとその設計図」となっています。
顧客ファクトリーについて
顧客ファクトリーについては、PdM講座の第2回でも扱いましたが、
あらためておさらいをしておこうと思います。
顧客ファクトリーとは?
顧客ファクトリーとは、上手く機能するビジネスモデルを工場として視覚化したモデルのことです。
次の図が顧客ファクトリーのイメージになります。
そんな顧客ファクトリーの目的は、「顧客の価値を創造」して、より多くの「幸せな顧客」を生み出すことであり、ビジネスが目指すべき目標こそが、この顧客ファクトリーを構築することなのです。
そして、顧客ファクトリーを構築するためには、次のサイクルを繰り返す必要があります。
「初めての人にサービスを利用してもらう(顧客になってもらう)」
「顧客にサービスを繰り返し利用してもらう」
この2つを繰り返すことによって、幸せな顧客を生み出し続け、持続可能なビジネスモデルを構築することが大切なのです。
顧客スループット
顧客ファクトリーを説明するにあたって、重要な概念となるものの1つが「顧客スループット」です。
顧客スループットとは、顧客ファクトリーが幸せな顧客を生み出す割合を示すものです。
ここで注意点が1つ。
それは、お金を払ってもらえる人=「顧客」なのであって、無課金ユーザーは決して「顧客」ではありません。
なぜなら、お金を払ってもらっていない以上、無課金ユーザーの方から価値が生まれているわけではないからです。
そのため、無課金ユーザーはムダ(在庫や仕掛と同じ)と考える必要があります。
つまり、顧客スループットを言い換えると、顧客ファクトリーが有料顧客を生む割合=金銭的価値の回収率と言えるのです。
顧客ファクトリーの設計図を作るにあたって
前回までの記事でお伝えしてきた「トラクションモデル」は、ビジネスモデルの進捗や、ビジネスの成長度を把握するのには非常に有効なものですが、実は限界があります。
それは、日々の意思決定にはそれほど役に立たないということです。
どういうことかというと、「トラクションモデル」は中長期の戦略を想定して用いられるものであるため、日々の足元の意思決定には向いていません。
それでは、日々の細かな意思決定はどうやるのかというと、
重要な「20%のデータ」を追求することが必要になります。
皆様も心当たりがあるかもしれませんが、
日々の意思決定には細かなデータが必要になるため、データを集めることにのみ神経をすり減らしてしまった結果、手元にあるデータが多すぎて分析マヒになってしまい、かえって適切な判断ができなくなってしまいがちです。
このような状態に陥らないためにも、意思決定を行うにあたっては、すべてのデータを闇雲に集めようとするのではなく、重要な20%のデータにのみフォーカスして、追いかける姿勢が大切です。
この20%という数値は、「パレートの法則」から適用されるもので、
世の中にある80%の成果は、20%の労力から生まれているという考えに基づいています。
そして、ビジネスにおけるこの「20%のデータ」とは何かを考えるにあたって必要となる手法こそが、今回扱う「顧客ファクトリー」なのです。
顧客ファクトリーは「世界で最も幸せな場所」
先ほどもお伝えした通り、顧客ファクトリーの目的は、「顧客の価値を創造」して、より多くの「幸せな顧客」を生み出すことである以上、
顧客ファクトリーの最終的なアウトプット(=成果物)は、「幸せなお客様」です。
そんな「幸せなお客様」を作るために、顧客ファクトリーがどのような設計図を取るのかというと、次の5つのステップで表すことができます。
獲得
アクティベーション
定着
収益化
紹介
これら5つのステップを経て、最終的に到達する場所が「世界で最も幸せな場所」であり、お客様にこのステップを踏んでいただいて、「幸せなお客様」を作ることが、顧客ファクトリーの目的です。
そのため、これら5つのステップにおいては、「どうすればお客様が幸せになってくれるのかどうか」を考えるための情報が必要になります。
そして、ここで必要となる情報こそが、先ほどお伝えした「20%のデータ」に該当するものなのです。
つまり、「幸せなお客様を作る」という最終目標から逆算して、
顧客ファクトリーに関連する周辺情報こそが、ビジネスにおいて集めなければいけない重要な情報になります。
最後に
今回は、顧客ファクトリーとその設計図についてお伝えしてきました。
顧客ファクトリーとは、「幸せなお客様」を作るためのモデルであり、
この構築こそが、ビジネスが目指すべき目標です。
そしてこの設計図には、①獲得、②アクティベーション、③定着、④収益化、⑤紹介、という5つのステップがありますが、
それぞれのフェーズで「お客様を幸せにするために必要な情報」を見極める必要があります。
そのためには、上記5つのステップについてより詳しく知る必要がありますが、このステップについては、次の記事でより詳しくお伝えしたいと思います。