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PdM講座4-2 再現性による段階的な展開&非線形の成⻑


はじめに

初めまして!現在、株式会社contento というコンサルティング会社で代表を務めている小川正樹と申します。

noteでは、これまで私が複数の会社で働き、そこで得てきた経験について会社ごとに紹介しながら、プロダクトマネージャーとして学んできたことや日々の持論について書いていきます。

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今回はPdM講座第4回「ビジネス開発基礎③」の「トラクションモデル(再現性)の構築」についてです!

PdM講座全体像

第4回は3編構成で書いていきます。
今回はその第2編目で、テーマは「再現性による段階的な展開&非線形の成⻑」となっています。


再現性による段階的な展開


再現性とは、システムが構築できれば、一定の許容範囲内でアウトプットを予測できる状態のことです。

プロダクトというのは、たまたま売れることもあります。
そのため、最初にドッと売れてしまうと、「このプロダクトには収益性がある!」と思ってしまいがちです。

しかし、たとえ一時的に売れたとしても、そのプロダクトが継続的に売れるかどうかは保証がありません。

そのため、プロダクトが本当に継続的に売れるのかどうか、繰り返し検証していく必要があります。

その中で、「こういう伝え方をすると、お客さんは買ってくれるな」とか、「こういう伝え方だと、お客さんは買ってくれない」など、トライ&エラーを繰り返し、

結果として、「こうすれば、プロダクトは確実に売れる!」という方法
=再現性を見つけていく必要があります。

このような再現性が構築できれば、人間の不合理性もモデル化できるため、予測することが可能になり、外部環境や市場の動向に左右されることなく、
安定した収益性を確保することができます。

そして、この再現性を構築するにあたっては、大量のテストは必要ありません。
10回ほどの顧客インタビューを通じて、オファーに対する見込み客の反応は計測することが可能です。

そのため、焦って市場に製品を出す前に、最低でも10回ほどは顧客にインタビューを実施すると良いでしょう。

もちろん製品を市場に出した後も、顧客インタビュー等を通じて、
PV、PV/UU、CVR、優良顧客数、解約数等の定量計測を行うことは重要です。

しかし、継続的な収益性を見込めるプロダクトを作るためには、
製品を出す前にも顧客インタビューを実施し、再現性を構築したうえで、
市場に展開する
というステップを踏むことを忘れないようにしましょう!


非線形の成⻑


ここからは、スタートアップや新規事業が目指すべき『非線形の成長』についてお話していきます。

世の中には、たくさんの形態の企業やビジネスがあります。

その中でも、地方にある印刷工場のような中小企業や、個人で営む田舎の八百屋さんなどは、前年比130%といった売上を達成する必要はありません。

毎年一定の金額が売れて、102%〜103%ほどの成長が見込めれば問題ありません。

もっと言えば、不景気や不作で売上がへこんでも、前年比90%ほどであればそこまで問題視する必要はないのです。

一方で、スタートアップや新規事業では、このような「横ばいの成長」は求められていません。
急激な傾きの成長=『非線形の成長』を実現することが、これらのフェーズのビジネスでは求められているのです。

具体的には、前年比120%~130%でも少ないと言われるような世界です。
2倍、3倍と成長していくことが、スタートアップや新規事業には求められています。


非線形の成長の実現方法


それでは、こうした『非線形の成長』を実現するためには、具体的にどのようなことをしていけば良いのでしょうか?

ここで必要になってくるのが、先ほどお話した『再現性』です。

たまたま当たっただけかもしれないプロダクトでは、継続的に2倍、3倍と成長を続けていくことはできません。

そのため、まずは継続して成長が見込めるビジネスモデルを作っておく必要があります。

このようなビジネスモデルの再現性があれば、今後自信をもってビジネスを展開していくうえでの『心強い事実』にもなるため、大胆なアイデアを積極的に試せるようになります。

創業期あるいは新規事業の初期フェーズでは、ビジネスを高速に育てるよりも、再現性の発見を重視するようにしましょう。


それと同時に、このフェーズでは加速よりも減速が重要です。

というのも、再現性のない計画を高速に回したところで、ビジネスモデルの速度は上がりません。

そのため、ビジネスモデルの再現性をしっかりと確認できるまでは、
焦って加速するのではなく、減速してじっくりと再現性の構築に重きを置きましょう。


再現性を見つけるプロセス


それでは、どうやってこの再現性を見つければ良いのかと言うと、
顧客の観察を通じて、顧客特性・顧客行動パターンを発見する必要があります。

再現性はお客様に売れてこそ構築できるものなので、顧客の動向や心理を観察しない限りは、そこに潜む再現性を見つけることができません。

ここでは、明確な答えがあるわけではなく、最終的には直感で判断することになりますが、

購入の意思決定につながる顧客の「属性」や「心理」などを自分で観察して、自分で見出さなければいけません。

そして、再現性が分かったら、次にやることが『非線形の成長』です。

何度も繰り返されるような平坦なグラフを、急成⻑のグラフ=『非線形グラフ』に変えることが次のフェーズでは求められてきます。

前回の記事で言うところの、いわゆる『拡大』のフェーズですね。

そして、この『非線形の成⻑』こそが起業家・事業開発者の役割であり、
徹底的に顧客を観察し、画期的な気付きを得る・見つける必要があります。

非線形の成長を実現する上では、この「画期的」という言葉も1つのキーになってきます。

なんとなく想像がつくかとも思いますが、
世の中にあるプロダクトやサービスと似たものを作っても、そこそこの売上は見込めると思います。

しかし、そのプロダクトが提供する価値というのは、既に解決済みの課題に対しての解決策であり、画期的な価値ではないため、

2倍、3倍と売上を見込めるような『非線形の成長』を実現することはできません。

そのため、起業家や事業開発者といったポジションに立つ人は、
常に顧客の動向を観察し、画期的な成長を実現できそうなプロダクトを作るために、解決できそうな「課題」がないか、目を凝らしておく必要があります。

これを上手く実現した例こそが、まさしく「Facebook」なのですが、
こちらについては、またの機会で詳しくご紹介できればと思います。


最後に

今回は、再現性と非線形の成長についてお話しました。

継続的な収益性の見込めるビジネスモデルを作るためには『再現性』の構築が欠かせません。

この再現性を見つけるためには、トライ&エラーを繰り返しながら、どのような伝え方が顧客に響くのかを見極め、確実に売れる方法を見出すことが求められます。

そして、この再現性が構築できれば、2倍、3倍と売上が見込めるような
『非線形の成長』を実現することができます。

新規事業やスタートアップにおいては、前年比2倍、3倍という急激な成長が求められます。
そのためには、再現性のあるビジネスモデルを基盤にして、大胆なアイデアを積極的に試し、平坦でない非線形の成長を実現していきましょう!

次回の記事では、そんな非線形の成長を具体的にイメージするために、
『トラクションモデリング』という手法について解説しますので、
ぜひそちらもご覧ください。

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