組織のサイロ化って楽ちんだから起きる
こんにちは、スノードームのムロヤです。
組織が大きくなると、何かと問題が噴出する。例えば組織のサイロ化。
サイロ化に出くわすと、この言葉をよく頭に思い浮かべる。
「まるで一人で全部やってるように、みんなでいい感じに分業してできる組織へ」
こういう構造設計を目指すのです。
サイロ化について色々考えたことについて、思考の整理もかねてまとめてみます。
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サイロ化は楽ちんだから
私はいろんなステージの会社で働いてきて思ったことがあります。
新卒で入った会社は8000人規模の大企業でした。
2社目は社長と同僚と私の合計3名の規模のスタートアップ。
3社目は社員番号13番で入社し、在籍時にはMAX200名に急成長したベンチャー。
4社目のホットリンクも入社時50名くらいで退職時には100名くらいのベンチャー。
「どんな規模でもサイロ化する」ということです。
組織がサイロ化してしまうのは、それが簡単だからです。小さくまとまり、気楽だからだと思います。
「まるで一人で全部やってるように、みんなでいい感じに分業してできる組織へ」ができていない状態でしたよね。
まるで自分だけが仕事をやっているかのような集団ということです。 狭い 仕事、狭く完結した仕事をしている人たちの集合体、それがサイロ化している組織とも言い換えられるでしょう。
全体最適はめんどくさい
全体最適化は非常に手間がかかるのです。全体の視点を把握するための学習や各部門との調整にはエネルギーが必要です。全体を統括する役割が重要なのです。
例えば戦略的にターゲットに合わせて広告やメルマガ、サイト改善、アプリ、Web接客、店舗接客などをメッセージングを統合する必要があるとしたら、結構な労力がかかりますよね。めんどくさそうですよね。それでも、成果を最大化するためにはこのアクションが重要なのです。
例えば広告運用も採用広報もIRも社内広報もコーポレートブランディングもサービスPRも全部を調整するのはめんどうだと思いませんか?個別に「良きに任せた」の方が圧倒的に楽だと思います。統率する人が「詳細はわからん。現場のリーダーたちに任せてる」で動かなくてもいいのですから。
サイロ化してたら楽をすることができます。情報を共有しなくてもよく、自分たちの領域に閉じこもっていれば良いのです。でもこれって部分最適化になってしまいますよね。部分最適化は楽なのです。自分の領域に閉じこもり、改善に励むことができます。
一時期、ティール型組織がすごく流行った時期がありました。なぜ流行ったのでしょうか?
人間の心理を洞察してみるとこのようなことがあるのかもしれません。管理を必要とせずに自律分散型となっており各個人が自律的に動くことが可能という面が、組織運営に手間をかけたくないためや心が疲れている人の心の琴線に触れ、多くの人がティール型組織に憧れるたのではないかと思います。
単に「機能分化」だけを行ってしまうと、全体最適化がおろそかになってしまいます。本来ならば、機能分化と全体最適化は一体となっているべきです。
縦で割ったら横で繋ぐこと。「縦割り&横つなぎ」というフレーズをよく頭の中で思い浮かべています。部分と全体、縦と横。縦の糸はあなた、横の糸は私。
サイロ化の例
他部門からの情報が入ってこないこと(周囲からはブラックボックスとなっていく)や各部門との連携や協業が生まれていないことがあります。
たとえば、広告運用の担当者が広告のクリエイティブ改善に取り組んでいる一方で、他の部門から得たユーザーインサイトや訴求軸の効果に関する情報が共有されていないことがあります。また、LPの改善に関しても、他の部門で得た情報やアイデアが反映されないことがあります。
戦力が分散していると、競合よりも優れた印象を顧客に与えることができないかもしれません。また、コンバージョンに至るまでに十分な価値提案ができないかもしれません。
戦力の分散によって、本来目標達成するはずの成果を上げることができなくなってしまいます。
部分最適→全体最悪→自壊
という流れが待ち受けています。
(あと、敵によってサイロ化させられ、兵力を分散させられるのは避けたい展開ですよね。空いたところを突かれるから。バズワードに踊らされていないかとかほんと要注意だと思いますよ。)
サイロ化への抗い方
では、どのようにすれば良いのでしょうか。
サイロ化を
・サブシステム単体で成立させようとする状態
・サブシステム間の相互作用が働かない状態
と定義したら見えてきそうです。
「いかに組織全体を見ながら最適な行動が取れるか」これがすべてでしょうか。
そのための対策をブレイクダウンしていくと、部門間の相互作用を働せるか、全体とで足並みを合わせて同じ方法を向いたり、役割に応じて動けるかでしょうか。
対策として、中央集権的な管理と組織全体の適切なコントロールを見直すことにあるかもしれません。まずはちゃんと全容を捉える。トータルでコーディネートできていなかったら、そりゃあサイロ化に向かうよなと。
これについては以前に書いた「システム工学」のこれに通じるなと思った。体系化することで全貌を捉えられるし、ゼネラリストの役割でオーケストラの指揮者的な感じ。
あとは、なにをやるかはらくくってやらないかを決断。みんなのリソースを集中させること。
加えて、部門間の連携を図るために情報共有やコミュニケーションの活性化を行い、全体の目標達成に向けて行動することでしょうか。
例えばマーケティングコミュニケーションであれば、WHO/WHAT/HOWのうちのHOWが各々の部門でバラバラに動かないように、顧客セグメントごとにリソースを投下し、WHOとWHATの組み合わせを明示することも重要です。
サイロ化という状態では、部門ごとに個別最適化が進み、連携のないメッセージやターゲットがばらけるため、全体としての効果が薄まってしまいます。その結果、競合に対して強力な存在感を示すことができず、自社ブランドによる購買行動を促すことができないかもしれませんから。
単体の技になっちゃって、合わせ技ができなくなります。組織を率いている以上、サガフロンティアの連携技みたいなチームプレイをしたいじゃないですか。
部門間のコミュニケーションを活発化させるために、定期的な会議や情報共有の機会を設けることもあるでしょう。部門間での情報交換やアイデアの共有が行われることで、連携が生まれます。このような連携は、単なる情報の連携ではなく、共通のゴールに向けた行動変化の起点となるものです。
情報共有に関することであれば、例えば、
・広告チーム側で把握してるリスティング広告でCV取れてるキーワードをSEO担当にも共有する
・SNS運用担当者側で把握してるエンゲージメントの高い投稿を、SNS広告担当者にも共有してブースト対象として検討してもらう
・LPOでうまくいった訴求軸を広告クリエイティブにも盛り込む。広告運用担当とサイト改善担当は、顕在層向けの訴求軸を共有しあえます。
・メルマガ経由で集客がいい感じにできたセミナーを共有する
・このコンテンツをTwitterで紹介したら反響良かったからメルマガでも目立つように紹介しよう
・競合の新サービス情報をみんなに共有する
・セミナー中に得られた質疑応答の情報ニーズをコンテンツマーケのチームに共有する
・営業部門が商談で得られたお困り状況をマーケ部門にも共有
とか。いっぱいありますよね。どんどん垂れ流し共有したらいいですよ。ささっとslack投稿しちゃえばいいんです。
あと、こういう情報共有が「連携」なのです。ただの情報共有じゃないです。とりあえず情報をどっかに置いておくのが情報共有じゃないのです。共通ゴールの達成に向けた行動変化の起点となるお互いにとって有益な情報の共有、という連携です。
KPIの達成率とかデータも部門で閉じさせずに、全体で見えると良いですよね。
人材紹介とかB2Bとか店舗サービス型ビジネスとか、WebでCVして、その後に営業部門にパスするような事業なら尚更大事。マーケ部門と営業部門のKPI達成率を晒し合いましょう。どれだけリードを取れてるか、その後にどれだけ面談や成約できたかのパイプライン全体の数字を皆で眺められる状態です。
ちょっと緊張感あるように思えますが、担当部門だけの数字がわかってるよりも全体の数字が見えている方が自分の貢献の全体波及だったり、手を差し伸ばすべき部門とか見えやすくなります。「最近どう?手伝えることない?」って他部門の仲間に声かけするきっかけにもなるかもしれません。チームワーク発動のきっかけにもなるんです。
あと業績が良かったら褒められる機会が増えそうじゃないですか。そういうふうに使えばいいんです、データ共有という手段を。人間が喜ぶように使えばいいんです。人間たちが事業を営んでるわけですから。
各部門内だけで共有されているような業績管理シートを一元化し、ダッシュボードやデータ分析ツールを活用し、各部門の業績やデータを誰もがパッとアクセスできる環境を整えることも有益です。パッと見れなかったらめんどくさくて見に行きませんから人間は。
サイロ化は自然現象だと思って対処する
組織は人間の集合である以上、人間心理と向き合う必要があると思います。
そう思うと、サイロ化って自然現象だと思います。人間の脳はサボり癖がありますから。放っておいたらサイロ化して部分最適になってセクショナリズムがゴリゴリになるのは自然の摂理だと思って、それに脱却するにはメタ認知して意識して環境を構築することだと思います。
これらの取り組みによって、組織全体の効果的な連携が実現し、目標達成への道が開けるでしょう。
組織全体の成果を最大化するためには、サイロ化に対抗する意識と環境作りが不可欠。
連携や情報共有の仕組みを整え、全体最適な戦略を実現するための努力を惜しまないことが求められます。
さらに、組織内での意識の共有を図るために、サイロ化の弊害や連携の重要性について啓発活動を行うことも効果的です。経営者やマーケ部門責任者は、自己省察を行いながら、サイロ化に陥らないような環境づくりに取り組む必要がある。マーケティング担当者や経営者は、サイロ化の弊害を理解し、組織内の連携を推進する役割を果たすべきです。それによって、競争力の強化や顧客への最適な価値提供が実現できるでしょう。(自戒も込めて)
経営者やマーケ部門責任者は、この課題に真摯に取り組み、組織全体の成果を最大化するための取り組みが求められます。知的ハードシングス!
サイロ化に対抗したい人にとってのバイブル
あとこのnoteを書きながらサイロ化について調べてる中で、良書が世にはあることに今更気づきました。
昔読んでた記憶あるけど読み返そうと思います。必要に迫られた時にインプットするのが一番学びになるし。
『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』
マーケティング組織づくりについてお悩みの経営者の方、部門責任者の方、お気軽にムロヤへご相談ください。
内製化、いいデジマ人材の採用、研修や育成、組織開発などでお力になれればと思います。
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