チュニジアに行った話し4
チュニジアに行った話し、その4
(全6話)
前回のあらすじ
無事撮影を終えた我々だがプロデューサーのMr.ネジとビールでも飲みてえなという話しになった
そしてギャラの話しである
プロデューサーのMr.ネジから呼ばれてトラックの荷台にある簡易的な部屋に通された
今回の我々のギャラと、間に入って都合つけてくれた会社へのインセンティブなども手渡された
もちろん今回のエコノミー事件も契約違反金も含めてもらっている
けっこうな金額だ
仁也さんと共にギャラがいくらあるか数える
しっかりと数え終わり枚数を確認できた
そんな現金入りの封筒をもつ俺
ありがとうございましたってなもんでトラックを降りようとした所に
ノーメンが謎にやって来てこう言うのだ
『その現金は危ない』
は?
『しっかりとカバンのここに入れておくべきだ‼️チュニジアの夜は危ないから』
と
・・・は?
そんなことおめーに言われなくてもわかってるわ
しっかりカバンに入れるわボケ‼️
なんなんだコイツは
俺にいくらいくらチップをくれないか?って言うならまだ話はわかる
俺の持つカバンのチャックまで開けてそんな事を言うのだ
俺と仁也さんは一瞬固まった
なんやこいつ‼️本当だるい
どけこの野郎
ノーメンなんか一蹴してワゴンに乗り込む俺達
仁也さんがこう言う
『あいつマジでなんなんすかね?
室田さんが現金持ってるからっていきなり話しかけて来ましたよね
余計なことしかしないし、肝心の通訳出来てないし、マジでムカつきますわ』
そうなんです
俺と全く同じことを思ってくれている
そしてそれを今まさに俺が言おうとしていたんです
さっそく暗がりのワゴンの後部座席で約束のギャラを仁也さんに手渡す
ここで会社の人間として仁也さんへの約束を果たせて一安心してホッとする
あとはこの現金を日本に持ち帰るだけで、俺の大きな仕事は終わる
さっきまでめちゃくちゃビール飲みたかったけど
会社の金を持っている状態ともなると話は変わって不思議とあまりビールも飲みたく無くなってる
まぁやる事やったし
お疲れ様ってことで軽くビール一杯だけなら良いかな?とか思う
なあノーメン
俺達はどこに行くんだ?
はい〇〇エリアの〇〇ホテルでビールが飲めます
よしわかった
そこにMr.ネジが来るんだな
はい
よしよし
なら俺達の滞在してるホテルへの途中じゃないか!
ならビールぐらい飲むか
ノーメンがすかさず聞いてくる
『マサ!何年?』(日本語)
は?なんの事や?
芸歴でも聞いてんのか?
どうせこいつの事だ、またおかしな事を言ってるんだろう
おいノーメン
よく聞け
俺はまだまだ若手の13年目のおもしろ俳優だよ、好きなタイプは返信の早い人
よく食べて大笑いする人や
と答えた
?
?
?
「マサ、何年?」(2回目)
は?なんなんこいつ
なんの事言ってる
・・・
「仁也、何年?」
は?
このやり取りを何度もやってくる
おい俺達は疲れてるんだ
お前の日本語の練習に付き合う気はねーんだよ
だるいんだよ、おめえわ
何度もそのくそしょーもないやり取りがされイライラしてくる
どうやら「何杯酒を飲むんだ?」と聞いて来てるようだった
だから最初からGoogle翻訳アプリを使えボケ‼️
マジでこいつ本当使えねえ
何杯飲むかなんか知らねえよ、そん時の気分だし
もう時間も遅いし、疲れてるしビール一杯だけで帰るわ
と仁也さんと俺は強めに答えた
わかったか、わからないのか全然わからないが
そんな時
道路に警察4名が立って検問みたいなことをしている
とっさに隠れる俺
こうゆう所は何歳になってもどこの国に居ても変わらない習性みたいなものだろう
やいノーメン
これは何だ?何をしてるんだ?
なぜ止められてんだ?よくある事なのか?
「これは検問です」
わかってるわ!!!
検問なのはわかっとんねん
肝心なことは何一つわからないままだ
運転手がIDのチェックかなんかで車から出ていく
ちょっと焦る俺達
5分程待たされている時にノーメンがおかしな事を言う
「マサは可愛い、仁也は可愛くない」
みたいな事を言うてくる
は?なんだって?
「マサかわいい」
は?
今そんな事言う必要があるか?
なにこいつ
仁也さんが言う
「こいつ室田さんが大金持ってるのわかってるからって突然おべっか使うようになってるんですよ、しかも俺のこと下げてまで室田さんのこと上げてるんです
なにコイツ
ヤバい奴っすよね」
まさにその通りだ
俺が金を持ってるからって突然態度が変わったように感じる
胸糞悪い
おいノーメン
おめえマジで黙れや
昔ちょっと不良だったころの感性が湧き出てくる
さっきまで少しは飲みたかったけど
ビール欲もどんどん落ちてくる
てゆうかノーメンと同じ空間に居たくないとすら感じてくる
無事IDチェック的なものが終わり
再び動き出したワゴン
ビールが飲めるというホテルに到着
ワゴンから荷物を全部出してくれと言うノーメン
なぜだ?なぜワゴンを帰す必要がある?
俺達はビール一杯だけしか飲まないぞ
しかしうまく伝わらないままワゴンは去って行った
ノーメンの言うままに荷物を全部下ろしてホテルへ向かう
ホテルの入り口で数人の若い外人が陽気に酔ってる感じがした
なんか楽しそうな気がする
ホテルのロビーでまたも荷物をX線検査に通す
大柄の警備員のような男がいる
何やら話してるノーメンと警備員
「マサ、カイに電話出来るか?」
は?誰のことや?
「マサ、カイに電話して」
おい、マジでいい加減にしろよ
誰のこと言ってんだ
(はぁ〜、もう超だるいわ〜)
みたいな態度のノーメン
なんやねん‼️Google翻訳使えや‼️またも怒る俺達
するとMr.ネジの事だった
おいノーメン!!
俺達がネジって呼んでるんだからファーストネームだかなんだか知らねえけど
そっちで呼ぶなや
わかんねえだろボケ
こうゆう時も日本語が出来ない通訳でイライラする
本当にストレスが溜まる
後で気づくんだけどノーメンのスマホの充電が切れてて俺からMr.ネジに電話してくれとの事だったのだ
何やら話すノーメンとネジ
警備員にも代わることとなる
どうやらこの日はここらへんの信仰宗教の神様の誕生日とかでただでさえ酒飲めないエリアが多いのに飲める所ですら休みって所もあるんだとか
ここら辺の信仰宗教はイスラム教のスンニ派らしいその創設者?ムハンマド?
誕生日をいくら調べても出てこない
またしてもノーメンに適当なことを言われたのかもしれない
どうやらこのホテルにわざわざ赴いたのにビールが飲めないことが判明した
なんなんだよ
マジでダルいわー
もう帰りましょうよ
などと俺達は思う
するとノーメンはネジと話したのか
先日行ったマルサというエリアまで行こうと言う
なんでや?
なんでマルサまで行くんや?
ネジがそこに行くって言うから
とのこと
は?
本当か?
イライラする
なんだかきな臭い感じがして来た
こいつ本当に俺達を無事に送り届けるつもりあんのか?と
もうそこに行くのは、正直ってめんどくさいし身体もバキバキに疲れてる
「どうする?」
仁也さんと目を合わせる
そんな時早々にノーメンは近くに停車していた黄色いタクシーを拾いやがった
仕方なく俺達も乗り込む・・・
マルサまで向かうこととなる
15分ほど走っただろうか
空港近くあった目印にしていた観覧車の横を通る
けっこう遠い
やいノーメン
マルサはあとどのぐらい掛かるんだ?
あと30分です
は?遠いわ!!
だるい、だるい
すでに15分か20分ぐらい走ってる
ここから更に30分だと!?
これじゃ帰るのに50分ぐらい掛かるんか?
ざけんな
遠すぎる
ぜってー他で酒飲める場所あるだろ
とイライラする
おいどっか他にあるだろ
おいノーメン聞いてんのか!
しかしノーメンはマルサに行こうと揺るがない
なんなんだコイツ
まぁラストナイトだしなぁ
撮影も終わったしなぁ
などと葛藤する
すると仁也さんが冷静にこう言う
「室田さん、もう23時30分っすよ
マルサ行くの辞めません?
俺達明日朝早いですし
そこまでして酒飲みたくないっすよ」
え?もうそんな時間なの!?
わからなかった
ほんまや
これじゃ本当にちょっと飲んで帰るだけで帰りは2時や3時になるかもしれない
タクシーだって居るかもわからないし
せっかくかなり近くまで来ていたはずだが行くの辞めよう
なぁノーメン
やっぱり帰りたいわ
ちょっとタクシー停めてくれ
なにやらわからない言葉を話すノーメン
わかるか!!
なぁノーメン
俺達は帰りたいの!!シカトすんな
カムバックホテル!!
ストップタクシー
ほぼシカトで、変な反応してくるノーメン
おい!!ノーメン!!
すると運転手が何やらチュニジア語かなんかでノーメンに話しかける
きっとこんな感じだ
「なぁこいつら帰りたいって言ってるんじゃないか??車停めなくていいのか??」
きっとそんな感じだったはずだ
するとすかさずノーメンは
何やらチュニジア語で答えてる
きっと「大丈夫だ、マルサに向かってくれ」
とか言ってたんだと思う
おい!!
俺達は近くのホテルで酒が飲めるってことだからちょっと付き合おうかなと思っただけで
ここから車で更に30分以上かかるようなマルサまで行きたくねえんだよ
マジで今すぐ車停めろ
何語かわからない言葉でごちゃごちゃ言い返してくるノーメン
この押し問答が車内で何ラリーもしてる
おい!これは何か変だ、絶対ヤバいぞ
俺達ノーメンに変な所に連れてかれてるんじゃないか?とハラハラする
おい!!!本当に車停めろ!!!
「何言ってるかわからなーい」みたいな事を言ってくるノーメン
イライラがピークに達する
すると仁也さんが大声でキレた
ストップ!!!!
カンバックホテル!!!
ストップナウ!!!
‼️‼️‼️‼️
超びっくりした
狭い車内のせいもあるが
こんな大きな声は久々に聞いた
運転手も絶対びびったと思う
仁也さんは今にもノーメンを殴りかかろうかという感じだ
とりあえず車停めろ!!!!!
いや本当だよ
車停めろや
ようやくノーメンがしぶしぶ運転手に車を停めるようにいう
いきなり停まるもんだからタクシーも縁石にガガガと乗り上げちゃってちょっと事故ったみたいになる
なおもキレる仁也さん
俺達はホテルに帰りたいんだ
もうビールなんていらない
お前はなぜ言う事を聞かない
おめえはクビだ!
完全同感だ
こいつは狂ってる
車内に緊張が走る
なおも「マルサはもう近い!!」とか言って頑張るノーメン
あーーー
イライラする
こいつはマジでなんなんだ
もう近いって何回目だ
絶対近くねえだろ
ふざけんなよ
おいクソ野郎
よく聞け
もうマルサには行かない!!
今すぐホテルに帰る
ビールもいらない
わかったらホテルに戻せ
こう言ってるんだよ
すると何やらノーメンも大声でごちゃごちゃ言ったと思ったらタクシーを降りて強くドアを閉めて向こうの暗がりににズカズカと去って行った
あーーー
せいせいしたよ
アイツマジでやべえ奴じゃねえか
つーかここ何処なんだよ
充電もほぼ無い
俺なんか先の話に書いたが、そもそもahamoが使えるエリアじゃないしWiFiもないし
もう超やばい
普通こんな知らない場所で言葉も通じないのに俺達を置いて帰るってあり得るか?
あいつは通訳とコーディネーターみたいな奴だよな?仕事放棄もしてるよな
俺達外国人を訳のわからない変な所まで連れてきてバックれるとかやべえだろ
帰りたいと何度も行ってるのに帰してくれなかったし
どこに連れてかれるかも謎だった
拉致監禁と一緒だよな
ふざけてやがる
運転手も「やれやれだぜ」という感じだ
どうする?アイツはどうする?
と言った感じだ
もちろん俺達は帰る選択しかない
ホテルの所在地なのど情報は無いが名前と外観だけはわかる、昨夜写真も撮っていた
なんとかそれを頼りにホテルに無事帰ってこれた
タクシーの運転手もなかなか良い奴だった
この人のおかげでスムーズに帰ってこれたと言っても過言ではない
「散々だったな日本人‼️またな」
と言った感じで
颯爽と去っていく黄色いタクシー🚕
めちゃくちゃホッとした
めちゃくちゃ疲れた
やっとWiFiの環境になると今回のグループメールにじゃんじゃんメールが入ってくる
ノーメンの言い分はこうだ
「今回のトラブルの原因は仁也にある
私は耳が痛くなったから病院に来てる所だ
私は悪くない、むしろ被害者だと」
なるほど、そうなるのね
ふーんこいつ嫌いだわー
俺は初日に危うく火傷しかけたこの大きな湯船に慎重にお湯を張り
長風呂に浸かってこの出来事について考えていた
ふーう
よし、ノーメンにもし次会ったら
思いっきり殴ろう
こんなトラブルがあったから俺はこの日記を書こうと思ったんだ
そして部屋にあるノンアルコールビールをキメて長い1日は終わった
第4部 完