Muro Box 開発ストーリ―(3)
さて、前回はMuro Boxの設計,デザイナーを担当したFeng氏が試作品の製作に取り掛かる際に起こった苦難についてのお話でした。今回はFeng氏がLiao氏からアドバイスを受け、Muro Boxの開発がさらに進んでいきます。
一歩ずつ着実に
全く機械設計やデザインの経験がなかったFeng氏はLiao氏からアドバイスをもらいながらアイディアのプロトタイプ(模型、原型)の制作を進めていきます。まず初めに、一番要となる電磁石を作ることに成功しました。この電磁石はMuro Boxのシリンダー(回る円柱の部分)を作るうえで非常に大切な部品になります。(画像参照)
完成した次は、この電磁石が櫛歯(くしば)を十分に引っ張ることが出来るのかどうかを実験しなければいけませんでした。(画像:櫛歯(画像奥の板)、シリンダー(手前の円柱))
Liao氏からのアドバイスもあり、Feng氏は一つ一つの部品を3D化するために3Dデザインを学び始めました。それを現物にするのですが、デザインスタジオに委託すると非常にコストがかかるため、自ら3Dプリンターを買い何度もテストを繰り返しMuro Boxの部品を完成させていきます。
機械デザインの次は
機械デザインがひと段落してきた時、Feng氏はふと思いました。機械のデザインは完成してきたものの、見た目のデザインはどうなるのだろうと。Feng氏はデザインを有名な会社のデザイナーに依頼をしましたが意思疎通が上手くいかず中断。結局、機械デザインと同じように自らが行うことに決めました。
Muro Boxのデザイン案は3つあり、議論の末C案に決定。キーポイントである中身が見える透明のふた、透き通った音色を奏でるために必要な部品たち、問題はありながらもMuro Boxの試作品は完成したのです。
今思うこと、できること
「ここまで多くの失敗をし、多くのことを学んだ。そして、僕は経験した失敗を僕の様なエンジニア達にシェアすることにしている。Muro Boxは間違いなくここ200年のオルゴールの歴史のなかで一番大きな革命だと思う。Muro Boxを手にした人たちが自分だけの曲、自分だけのプレイリストを作り、それをまた世界中のMuro Boxを持ってる人と共有してくれたら嬉しい。」とFeng氏は語っていました。