Muro Box 開発ストーリー(4)
開発ストーリーも四回目の投稿になりました。筆者の私も彼らの挑戦には驚かされることばかりです。それと同時に、それを知ることで私自身もMuro Boxへの気持ちや愛情が深まっていくように思います。
第二話、第三話は機械設計全般に関するお話でした。今回は彼らの一番のこだわりポイントCylinderとCombのデザインについてのお話です。こちらも色々と試行錯誤したようです。
3年間で4回
Muro Boxは2017年から3年間で4回もデザインを変えています。ユーザーの声を聞きながら、より良いものを作るため今も日々進化しています。なぜそこまで彼らがデザインにこだわるのか。答えは伝統的なオルゴールの仕組みにありました。
画像は従来のオルゴールの構造です。Cylinder(円柱)という部分に小さな粒が沢山埋め込まれていて、それがComb(櫛歯)を持ち上げて音が鳴るという仕組みをしています。彼らはただの電子オルゴールを作るのではなく、オルゴールの歴史に革命を起こそうとしていました。そのためには形から何までオルゴールの本質であるこの仕組みを完全に再現しなければいけませんでした。音楽に合わせて柔軟に動けるプログラミングされたCombとCylinderを作ること、それが彼らの一番の任務でした。
円柱が円盤に
CombやCylinderをつくるにあたり台湾の伝統オルゴール工場など様々な方面から協力を得ながら開発を進めていました。Combの形はスグに決定したものの、Cylinderを完成させるのには約二年かかりました【開発ストーリー2,3参照】。オルゴールがなぜ一曲しか流せないのか。それはCylinderにある粒の位置を変えることができないから。ならば、変えれるようにすれば無数の曲を流すことが可能になるのではないか。そこで思いついたのが、円柱の形をしているCylinderを音符ごとに分断する、つまり一つの筒ではなく様々な音の円盤を重ねて円柱の形を作り出す。ということです。Muro Boxは20音出せるので20枚Cylindersがあります。
このように、Muro Boxは機械設計だけでなく見た目にも大変こだわっています。それは、オルゴールが築き上げてきた何百年という歴史を尊重しながら、時代に合わせて形を変えていく。そんな彼らのオルゴールへの愛が伺えます。